2008/03/05
メールでわかる最新金融事情Vol.25
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ メールでわかる最新金融事情 H20.3.5 Vol.25 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 企業評価を専門とするビバルコ・ジャパン(株)が新株予約権、優先株式、 M&A、株式公開(IPO)などの最近の金融市場の動向を解説いたします。 ※このメールマガジンは等幅フォントでご覧ください。 ▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼ 本┃日┃の┃記┃事┃ ━┛━┛━┛━┛━┛ ■ IFRSの基礎知識 ---------------------------------------------------------------------- 1.東京合意 2007年8月8日、企業会計基準委員会(ASBJ:Accounting Standards Board of Japan)とIASB(国際会計基準審議会)は、日本の会計基準とIFRSのコンバー ジェンス(convergence:収斂)を加速化させることの合意を公表し、両者の重 要な差異につき2008年までに解消し、残りの差異については、2011年6月30日ま でに解消を図ることとなった。この合意は、「東京合意」という固有名詞で呼 ばれるようになっているが、この東京合意以降、我が国の会計業界のIFRSの動 向に対する関心は、間違いなく高まってきている。 現に、年が明けた2008年1月17日に行われた新春全国研修会において、日本 公認会計士協会が選んだテーマは、「『東京合意』に基づく今後の展望につい て」であった。また、2008年3月の日本公認会計士協会の機関紙である「会計・ 監査ジャーナル」の巻頭記事では、IASB議長であるDavid Tweedie氏が「2007 - a milestone year」と題し、IFRSの導入状況を巡る動きと、今後の活動予定 を、力強く紹介している。 このような流れを受けて、本レポートでは、以下にIFRSの概要を紹介する。 資本が国境を超えた大きな動きを見せる現在、IFRSの動向は、単なる会計の技 術的な問題には留まらず、国際問題へとつながる。したがって、IFRSに関する 基礎知識を身につけ、その動向を抑えていくことは、会計の専門家はもちろん、 専門家以外の方達にとっても、有益なのではないかと思われる。 (本文をPDF形式でお読みになりたい方は、ウェブサイトをご覧下さい。 http://www.bevalco.com/report/) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2.IFRSとIASB、IASとIASC IFRSについて知ろうとする際、最初の壁となるのが様々な略称である。そこ で、まず簡単な略称の整理を行いたい。 IFRS、いわゆる国際会計基準は、正式名称をInternational Financial Reporting Standards(国際財務報告基準)という。そして、IFRSを作成する 会計基準設定主体がIASBであり、正式名称はInternational Accounting Standards Boardである。 さらにもう一つ、IASBの前身組織の名称を覚えることも重要である。という のは、IASBの前身IASC(国際会計基準委員会)の設立が、実質的な国際会計基 準のスタートであるためである。IASCは、正式名称をInternational Accounting Standards Committeeといい、1973年に9カ国(オーストラリア、 カナダ、フランス、ドイツ、日本、メキシコ、オランダ、英国、米国)の職業 会計士団体としてロンドンに設立されている。IASBは、2001年4月1日に会計基 準設定主体としての機能をIASCから譲り受けたものである。 IASCもIASBと同様に、会計基準設定主体であるから、作成した基準書が存在 する。このIASCが作成した基準書は、IFRSではなく、IAS(International Accounting Standard:国際会計基準)という名称で呼ばれる。つまり、IASBが 作成した基準書はIFRSであり、IASCが作成した基準書はIASという関係である。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 3.IFRSの導入状況 IFRSの導入方法としては、IFRSを自国の基準としてそのまま採用する Adoptionと自国の基準をIFRSに近づけていくコンバージェンスの二通りがある。 現在、IFRSを採用している、若しくは採用を表明している代表的な国は以下 の通りである。 ・ EU加盟国(上場企業) ・ オーストラリア・ニュージーランド ・ 南アフリカ ・ ブラジル(2010年から) ・ カナダ(2011年から) ・ 韓国(2011年から。2009年より早期適用化) ・ インド(2011年から) 一方、コンバージェンスの方法を選んでいるのは、我が国と、米国と中国の みである。 米国は、早くからFASB(Financial Accounting Standards Board:財務会計 基準審議会)を設立し、世界の会計基準をリードしてきた会計先進国である。 US GAAP(US Generally Accepted Accounting Principles:米国会計基準)に より作成された財務諸表は、日本を含め、世界中どの国の証券市場においても 認められ、US SEC(US Securities and Exchange Commission:米国証券取引委 員会)は、米国で上場する外国企業に対しては、IFRS適用企業も含め、US GAAPとの差異調整を求めてきた。すなわち、US GAAPこそが国際的に通用する 会計基準であり、IFRSを国際的に通用する会計基準である、とは認めてこなか ったといえる。しかしながら、2007年11月に、SECは、米国で上場する外国企 業がIFRSに基づいて財務諸表を作成する場合、US GAAPとの差異調整を求めな いことを発表し、自国の企業に対しては、IFRSの適用を認めるべきか否かを問 う公開草案を出しており、現在では、IFRSに対して明らかに歩み寄りが見られ る。また、並行して、FASBとIASBは、2006年2月に公表したMOU(Memorandum of Understanding:覚書)に基づいて、自国の会計基準とIFRSとのコンバー ジェンス作業を進めている。 中国では、2006年2月、CASC(China Accounting Standards Committee:中国 会計基準委員会)が自国の新しい会計基準CASs(New Chinese Accounting Standards)を公表し、2007年度から全ての上場企業に対し新CASsに基づいて 財務諸表を作成することを義務付けている。CASsは、IFRSとのコンバージェン スを達成した基準であるとされている。 IFRSの導入状況を見れば、IFRSが国際的な会計基準としての地位を着々と固 めている状況は、米国さえも例外とならないことからも、明確に認識されるべ きであろう。世界第2位の資本市場である我が国日本が、IFRSと無関係でいら れるはずもなく、東京合意において、その立場を明確に表明したことになる。 それでは、そもそもIFRS導入の意義とは何なのであろうか。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 4.IFRS導入の意義 IASBは、2001年の発足以来、「急速に統合する世界の資本市場に、共通の財 務報告用語を提供する(to provide the world’s rapidly integrating capital markets with a common language for financial reporting)」こと を目標として掲げている。 財務報告において、共通言語が採用されるようになれば、投資家は、国境を 超えても、企業の業績を容易に比較できるようになる。そのことは、「投資先 で使われている会計基準がわからないから」という理由の投資リスクを減少さ せ、国境を超えた投資機会を拡大させるはずである。つまり、会計基準・言語 の国際化は、国際資本の移動の更なる促進剤となると思われている。しかしな がら、それは良い側面だけを持つものではない。 会計基準は規則であるが、規則は守られなければ、規則としての意味がない。 すなわち、IFRS導入を表明するということは、自国に対してのみではなく、国 際的にIFRSを守るという責任を表明するということに等しい。正確にいえば、 規則を守る責任という意味では、IFRS導入前においても、同じ責任を有してい るであるが、IFRS導入を表明した場合、その責任の実質的な重みは明らかに増 してくるはずである。つまり、基準が国際的になることにより、それを守ると いう義務も、国際的な視点が不可欠となる。それは、守れなかったことに よる責任も、国際的な影響をもたらすと考えられるためである。 冒頭に述べた「新春全国研修会」では、国際会計基準の歴史、日本の対応等 を紹介した『国際会計基準戦争』(日経BP社:2002年10月初版)の著者、磯山 友幸氏もゲストとして参加していた。同書が出てから既に5年以上経過してい るが、国際的な会計基準の覇権を巡る「国際会計基準戦争」は、未だに終わっ てはいない。 現在、IFRS導入の流れは規定路線であり、我が国は当面、合意したコンバー ジェンス作業を行っていかなければならない。一方、現在、順調な流れに乗っ ているように見えるIFRSも、その試みはおそらく人類史上初のものであり、こ の先、どのような課題・障害にぶつかるかは未知数である。そのため、我々は、 IFRSを巡る動きを他人事と思い、見て見ぬ振りをするべきではないと考える。 IFRSは国際問題であり、会計専門家だけの話ではない、という視点が必要であ ろう。 以 上 (文責 新井 康友) ------------------------------------------------------------------------ ■セミナーのご案内 弊社出版の『新株予約権・種類株式の実務』(第一法規刊)に関連して、投資 銀行及びベンチャーキャピタルの方々を主に対象に、以下のセミナーを行います。 まだ若干名席に余裕がございますのでご興味のある方は是非ご参加ください。 (定員数に達しましたら締切とさせていただきます) 「新株予約権の評価、会計、税務セミナー」 開催日時:2008年3月14日(金) 15:00−17:00 開催場所:アルカディア市ヶ谷(東京都千代田区九段北) 料金 :無料 講師 :公認会計士 小林憲司(ビバルコ・ジャパン株式会社代表取締役) 主な内容: 1.新株予約権の会計・税務の概要 2.新株予約権の評価 3.戦略的活用事例 質疑応答ほか お申込み・詳細はこちらからどうぞ↓ http://www.bevalco.com/seminar080314.pdf ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼▼▼▼▼ ビバルコ・ジャパンでは以下の業務を行っております ▼▼▼▼  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ○企業評価 ○非公開株式の評価 ○ストックオプションの評価 ○新株予約権・優先株式の評価 ○無形資産の評価 ○デューディリジェンス ○企業再生・事業再生アドバイス ○M&Aアドバイザリー業務 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