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2007/11/28

メールでわかる最新金融事情 Vol.23 -財務諸表の新潮流-

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          メールでわかる最新金融事情     H19.11.28 Vol.23
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 企業評価を専門とするビバルコ・ジャパン(株)が新株予約権、優先株式、
 M&A、株式公開(IPO)などの最近の金融市場の動向を解説いたします。

 ※このメールマガジンは等幅フォントでご覧ください。

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本┃日┃の┃記┃事┃
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 ■ 財務諸表の新潮流−公正価値の導入について−
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●FASB 157の公表

 筆者が公認会計士二次試験の勉強をした時期(20年ほど前)は、会計の基本
原則として「取得原価主義」は当たり前のことと考えられていました。しかし、
財務諸表の利用者にとっての有用性を突き詰めていくと、時価主義会計の方が
勝っているというのが近年の有力説であるようで、欧米では取得原価主義から
時価主義への大転換が進みつつあるようです。

 2007年11月号のJournal of Accountancyで紹介されていたFASB Statement 
no. 157, Fair Value Measurementは、財務報告目的のFair Value(公正価値)
の意味を明らかにすると共に、財務諸表作成におけるFair Valueの計算・開示
に変更をもたらすものであるため注意が必要です。以下解説しましょう。

(本文をPDF形式でお読みになりたい方は、ウェブサイトをご覧下さい。 
                    http://www.bevalco.com/report/)

●FASB 157公表の背景

 始めになぜFASB 157が公表されたのかという背景について。まず、財務諸表
を作成する際に公正価値で資産・負債を測定する機会は多かったにもかかわら
ず、公正価値の定義が決められて来なかったということ、およびFASB 
Statement no. 159, The Fair Value Option for Financial Assets and 
Financial Liabilitiesを今後採用する企業のための地ならしを行ったという
ことが考えられます。また、財務諸表の測定について取得原価主義から時価主
義に変化していくことが望ましい方向性であるという認識がFASBの根底にある
ものと考えます。

 FASB157では、公正価値を“評価日において通常取引として市場参加者の間
において売買される金額”であると定義しました(“the price that would 
be received to sell an asset or paid to transfer a liability in an 
orderly transaction between market participants at the measurement 
date”)。公正価値の定義をめぐってはentry valueとexit valueのうち、ど
ちらを公正価値とするか長い論争がありました。すなわち、中古機械を購入、
売却しようとする場合、中古機械の流通業者に中古機械を売却する時の値段
(entry value)と流通業者がその機械を最終ユーザーに売却する値段(exit 
value)の間には差額があり、そのいずれかを使用するかという問題です。
FASBはこの長い議論に終止符を打ち、entry valueとexit valueのうち、exit 
valueをもって公正価値とすることを決めたものです。その決定は、資産の保
有者は、市場の参加者のうち、その資産の最有効使用(highest and best 
use of the asset)を達成する市場参加者に当該資産を売却するだろうとい
う前提を置いたことを根拠としています。

 その上で、公正価値には3つの段階(Hierarchy)が存在することを示しま
した。それは、同一物に関して市場価格が観察できるケース(Level 1)、類
似資産の市場価格が観察できるケース(Level 2)、および類似資産の市場が
ないケース(Level 3)という分類です。その詳細を以下解説します。


●公正価値の3段階

 Level 1
 同一資産・負債の売り買いが直接観察できる場合に得られる市場価格を意
味します。信頼性は最も高いが、有形資産の売買においては実際にはあまり
存在しません。

 Level 2
 同一資産・負債の売買が直接観察できるのはまれであることを認識した上
で、FASBは以下の3つの状況において計算できる市場価格をLevel 2と判断
しました:
(1) 同一資産・負債の実際の取引がまれに観察できる場合
(2) 実際に観察できる市場取引が同一資産・負債の取引ではないが、十分類
似している取引であるため、ある一定の前提を置くことにより、保有資産・
負債の時価が推定できる場合
(3) 類似資産の活発な市場は存在しないものの、観察可能な市場取引より保
有資産・負債の公正価値が計算可能である場合

 例えば、固定金利の社債を評価する場合には、同様の信用リスクと返済期
間を条件としている社債の利回りを社債市場より選択し、評価対象社債の将
来キャッシュ・フローを市場で観察される利回りで現在価値に割戻し計算す
る場合に計算される現在価値はLevel 2であるとされています。

 Level 3
 Level 1および2における情報が得られない場合に計算される公正価値が
Level 3になります。財務諸表の利用者に対してバイアスがかかった情報を提
供しないように注意深く収集された情報を基に計算されている場合には、
Level 3の公正価値は、利用者に有用な情報となります。


●FASB 157の意義

 FASB 157の主要な意義は、今までの会計基準書により厳格な公正価値の概念
を導入することになったことにあります。例えば、FASB 13におけるリース資
産の公正価値は、“独立の第三者間で売買される金額”という定義から、“評
価日において通常取引として市場参加者の間において売却によって獲得される
金額”に変更されることになります。

 また、FASB 157は今後公表される公正価値に関連する基準書や会計フレーム
ワークとの関連を無視して議論することも出来ないでしょう。FASB 159はその
一つです。取得原価主義より時価主義へという大きな転換の中でFASB 157と
159は理解されるべきであると考えます。
 
                               以 上

                         (文責 小林 憲司)

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