2007/08/23
メールでわかる最新金融事情Vol.21
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ メールでわかる最新金融事情 H19.8.23 Vol.21 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 企業評価を専門とするビバルコ・ジャパン(株)が新株予約権、優先株式、 M&A、株式公開(IPO)などの最近の金融市場の動向を解説いたします。 ※このメールマガジンは等幅フォントでご覧ください。 ▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼ 本┃日┃の┃記┃事┃ ━┛━┛━┛━┛━┛ ■ 日米公認会計士協会の企業価値評価業務に関するガイドラインの公表 ---------------------------------------------------------------------- ●経営研究調査会研究報告第32号「企業価値評価ガイドライン」の公表 日本公認会計士協会(経営研究調査会)からは、平成5年11月に「株式等鑑 定評価マニュアル」、平成7年に同「Q&A」が公表されていましたが、その 全面改訂版として経営研究調査会研究報告第32号「企業価値評価ガイドライン 」(以下「本ガイドライン」といいます)が平成19年5月16日に公表されまし た。 本ガイドラインの位置付けは、企業価値評価に関する日本の実務をまとめた ものであっても、公認会計士が企業価値評価を実施するために準拠しなければ ならない「基準」や「マニュアル」ではないとされています。 本ガイドラインは、1.総論、2.企業価値評価基本ガイドライン、3.企 業価値評価における価値形成要因、4.評価アプローチと評価法、5.取引目 的の価値評価業務、6.裁判目的の価値評価業務、7.今後の企業価値評価業 務と検討課題、8.書式集という構成になっています。 注目すべきは、2.企業価値評価基本ガイドラインにおいて、企業価値評価 業務を行う公認会計士は、評価業務に関して専門的知識と経験を有していなけ ればならず、職業的倫理と誠実性をもって評価業務を遂行しなければならない と定められています。また、評価業務を実施する際に、評価対象会社等と独立 性、中立性を保持しなければならず、評価業務を実施するに際して正当な注意 義務を払わなければならないこと、及び守秘義務を遵守しなければならないこ とが記載されています。 また、評価アプローチとしては、インカム・アプローチ、マーケット・アプ ローチ、ネットアセット・アプローチの3手法を取り上げ、評価対象会社の特 性を考慮の上どの評価手法を適用するかを決定すべきとしています。総合評価 を決定する方法としては、イ.上記3手法のうち最適な手法による評価額をも って総合評価の結果とする方法(単独法)、ロ.複数の評価手法による評価額 から得られる評価額の幅をもって総合評価額とする方法(併用法)、ハ.複数 の評価法を適用し、それぞれの評価結果に一定の折衷割合(加重平均値)を適 用する方法(折衷法)が挙げられています。 5.取引目的の価値評価業務では、企業がM&Aや事業再編等の取引を行うに 当たって、意思決定の参考とするために、公認会計士等に対象会社や対象事業 の価値算定を依頼する場合の評価実務について記載されています。一方、6. 裁判目的の価値評価業務では、合併等の組織再編行為に反対する少数株主や定 款変更等に反対する株主の株式買取請求に関連して、裁判所が公認会計士等の 専門家に鑑定人として意見を求める場合等の価値評価業務を規定しています。 また、7.今後の企業価値評価業務と検討課題では、フェアネスオピニオン業 務、PPA 目的の評価業務、MBO等における第三者評価、種類株式の評価、ストッ ク・オプションの評価に関して概略が記述されています。また、8.書式集で は、業務契約書、報告書閲覧のための差入書・要請書、取引目的における評価 報告書骨子、裁判目的における鑑定書骨子が記載されています。 (本文をPDF形式でお読みになりたい方は、ウェブサイトをご覧下さい。 http://www.bevalco.com/report/) ●米国公認会計士の実施する評価業務に関する基準書の公表 一方、米国においては、米国公認会計士協会(以下、「AICPA」)のコンサ ルティング・サービス・エグゼクティブ委員会(The Consulting Services Executive Committee)より、2007年6月21日付で、評価業務に関する新しい 基準書「Statement on Standards for Valuation Services No. 1 “Valuation of a Business, Business Ownership Interest, Security, or Intangible Asset”(以下、「SSVS」)」が公表されました。 米国においてSSVSが公表された背景には、評価業務が提供されるケースと しては、M&A等の取引、訴訟関連、財務報告あるいは税務コンプライアンス、 各種プランニングなどがあり、評価業務に対するニーズは著しく増加してい る中、評価業務の実施には特別な知識と経験が必要になってきていることが あります。 SSVSでは、評価業務を提供する米国公認会計士は、業務を実施するに際し て、十分な能力(professional competence)を有していなければならないこと が規定されています。即ち、評価担当者は、評価原則及び理論に関する知識 を有し、それらの原則を実際の案件に適用する技術を有していなければなり ません。また、評価業務の実施において、評価に関連する様々な情報を選別 ・収集・分析し、最適な評価アプローチとメソッドを適用し、専門家として 評価額に関する判断を行うことが求められます。 評価業務を受託する際には、十分な能力(professional competence)を有し ているか否かを判断するために、評価担当者は最低でも以下の事項を考慮す る必要があります; a. 評価対象企業及びその業界 b. 評価対象株式持分 c. 評価基準日 d. 評価業務のスコープ 1. 評価業務の目的 2. 評価業務の前提と制約 3. 評価の類型(例えば、fair valueあるいはfair market valueの算定) 4. 評価報告書の種類 e. 業務に関連する規制、他の専門家の定めた基準 また、評価業務の受託に当たっては、客観性の保持(Objectivity)、利益相 反の有無(Conflict of interest)を確認しなければならず、クライアントに 監査等の保証業務を提供している場合には監査等の独立性を害さないように 留意するべきであることが述べられています。また、業務受託前に、クライ アントとの間で業務内容に関して可能な限り文書化されるべきであること、 及び報告書の前提及び制約条件は通常報告書に添付されるものであること、 もし評価業務の実施に制約がある場合にはその旨を報告書に記載すべきであ ることが記載されています。 評価業務の種類としては、Valuation Engagement(評価業務)と Calculation Engagement(計算業務)の2種類があり、Valuation Engagement (評価業務)は評価担当者が自ら最適と判断する方法で評価額を求める業務 であるのに対して、Calculation Engagement(計算業務)は評価担当者がク ライアントと合意した手法に基づいて評価額を算定する業務であると規定さ れています。 評価のアプローチとしては、最も一般的な3つのアプローチ(インカム・ アプローチ、アセット・アプローチ、マーケット・アプローチ)を検討しな ければならないとされています。 インカム・アプローチとしては、Capitalization of benefits methodと Discounted future benefits methodが最も一般的に使用されるメソッドであ り、それぞれ以下の事項を検討しなければならないとされています: a. Capitalization of benefits method 正常化のための調整(Normalization adjustments) 臨時的収益、費用 税金 資本構成とファイナンスのコスト 適正な資本投資 非現金項目 資産化レート(Capitalization rates)に影響を与えるリスク項目の評価 将来収益の動向 b. Discounted future benefits methodを検討するためにはaに加えて 以下の項目を検討する必要があります。 将来予測の前提 将来利益あるいはキャッシュ・フローの予測 最終価値(Terminal Value) c. Intangible assets(無形資産)の評価の際には以下の検討も必要 となります。 経済的耐用年数 無形資産の現在及び将来の利用 法的権利 無形資産のライフサイクル 無形資産評価の割引率 追加的な資本的支出 無形資産の価値を維持するための試験・研究費 無形資産に配分されるべき収益 無形資産の償却から生ずる節税額 割引超過収益 市場ロイヤリティ ロイヤリティ免除 マーケット・アプローチとしては、a. Guideline public company method (公開企業比較法)とb. Guideline company transactions method(類似取引 比較法)及びc. Guideline sales of interests in the subject entity, such as business ownership interests or securities(対象企業株式取引 比較法)が最も一般的に使用されるメソッドであり、無形資産の評価の際に は以下の3つの手法が最もよく利用されるマーケット・アプローチであると されています: Comparable uncontrolled transactions method(市場取引比較法) Comparable profit margin method(利益率比較法) Relief from royalty method(ロイヤリティ免除法) また、評価担当者は、上記3手法によって得られる評価額(Pre- adjustment value)に対する評価上の調整を考慮しなければならないとされて います。評価上の調整の例示としては、流動性に関するディスカウント (discount for lack of marketability or liquidity)、非コントロールディ スカウント(discount for lack of control)、及び無形資産評価に関する陳 腐化(obsolescence)が挙げられています。 評価の結論を検討する際には、さまざまな評価手法から算定される評価額 の検討・調整を行い、評価業務において収集された情報に基づいてそれぞれ の評価手法による算定結果の信頼性を吟味し、(1)特定の手法に基づく評 価額に依拠するか、(2)複数手法の評価額の組合せとするかを決定するも のとしています。 以上がSSVSの本文概略となりますが、その他にAppendixとしてビジネス評 価における「前提と責任限定の例示リスト」及び「ビジネス評価に関する国 際的な用語」が添付されています。 また、この基準書(SSVS)は、2008年1月1日以降に実施される評価業務 に適用される予定で、早期適用が奨励されています。 ●日米における公認会計士が実施する評価業務の違い 奇しくも日米の公認会計士協会より企業価値評価のガイドラインが公表さ れたのは、企業取引におけるM&Aや株式価値に関する争いの増加、財務報告 等における公正評価の必要性の増加などが影響し、従来にまして公認会計士 等が実施する企業価値評価業務の重要性が増しているためと考えられます。 その一方、日米においては企業価値業務の実務成熟に差があることも明白 となりました。例えば、米国のビジネス評価基準書(SSVS)は、米国公認会 計士が評価実務を実施する際に遵守が求められる基準書ですが、経営研究調 査会研究報告第32号「企業価値評価ガイドライン」は、企業価値評価に関す る日本の実務をまとめたもので、公認会計士が企業価値評価を実施するため に準拠しなければならない「基準」や「マニュアル」ではないとされていま す。 米国公認会計士協会には33万人の会員が在籍し、2.5万人の公認会計士が 評価や訴訟関連業務のサービスを提供しており、評価の専門性を証明する ABV(Accredited in Business Valuation)の資格を有する米国公認会計士も 2,500名いるとのことです。一方、日本の公認会計士数は準会員も含めて 2.3万人に過ぎず、評価業務に関する専門資格も特にない状況です。 また、訴訟大国のアメリカでは、企業価値算定業務に関連して公認会計士 等の評価人が訴えられるケースも増加しているようで、その備えとして、十 分な能力(professional competence)を有する場合のみ業務を引受けるとす るコンペテンシー・ルール、業務内容を必ず書面化する(契約書の作成)、 報告書における前提と責任免除の記載などが盛り込まれています。米国のビ ジネス評価基準書(SSVS)では、日本ではあまり実施されていない無形資産 (Intangible Asset)の評価手法が具体的に記載されている点も興味深いと ころです。 以 上 (文責 小林 憲司) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ __________________________ ▼▼▼▼▼ ビバルコ・ジャパンでは以下の業務を行っております ▼▼▼▼  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ○企業評価 ○ストックオプションの評価 ○新株予約権・優先株式の評価 ○無形資産の評価 ○デューディリジェンス ○M&Aアドバイザリー業務 ○M&A・エクイティファイナンスに伴う第三者意見の表明 ○株式公開の助言 ____________________ ▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲ お問い合わせは info@bevalco.com まで ▲▲  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■免責事項 このメールマガジンに掲載されております情報は、内容及び正確さに細心の 注意をはらい、万全を期しておりますが、人為的なミスや機械的なミス、調 査過程におけるミスなどで誤りがある可能性があります。 ビバルコ・ジャパン株式会社では、当該情報に基づいて被ったいかなる損害 についても一切の責任を負うものではありません。 ■配 信 元 ビバルコ・ジャパン株式会社 東京都千代田区三番町14番地MLC三番町ビル http://www.bevalco.com/ 本メールマガジンおよび当社が提供するすべての情報について、当社の許 可なく転用・販売することを禁じます。 2007(C) BVCJ All rights reserved. ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


