2007/07/04
メールでわかる最新金融事情Vol.20-株式買取請求事件における公正な価格とは
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ メールでわかる最新金融事情 H19.7.4 Vol.20 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 企業評価を専門とするビバルコ・ジャパン(株)が新株予約権、優先株式、 M&A、株式公開(IPO)などの最近の金融市場の動向を解説いたします。 ※このメールマガジンは等幅フォントでご覧ください。 ▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼ 本┃日┃の┃記┃事┃ ━┛━┛━┛━┛━┛ ■ 株式買取請求事件における公正な価格とは ---------------------------------------------------------------------- ●株式買取請求事件の増加 カネボウの事業譲渡に関連して、500名余りの反対株主が、株式買取請求 の決定を東京地方裁判所に求める事件や、レックス・ホールディングスの経営 陣によるMBOに関連して、TOBへの反対株主が東京地方裁判所に株式価格 決定を求める事件など、最近株式買取請求を求める事件が増加してきている。 会社法では株主総会の特別決議を必要とする会社の基礎的変更がある場合には、 反対を表明する少数株主の投下資本の回収の機会を保障するために、株主総会 で反対した株主に対して、会社に対する株式買取請求権が認められている。 そのような株式買取請求権が認められるのは、公開・非公開企業の事業譲渡、 合併、会社分割、株式交換・株式移転等の組織再編行為に反対する少数株主の 他に、非公開企業において、株式譲渡制限を定める定款変更決議に反対する株 主や、定款に株式譲渡制限がある会社で、株式の譲渡を希望する株主と会社ま たは指定買取人との間で売買価格の協議が整わなかった場合等がある。 (本文をPDF形式でお読みになりたい方は、ウェブサイトをご覧下さい。 http://www.bevalco.com/report/) ●旧商法における公正な価格 旧商法の規定では、以上のような株式買取請求権が行使された場合には、 会社は「決議ナカリセバ、其ノ有スベカリシ公正ナル価格」すなわち、決議の 日を基準として、決議がなかったならば有したであろう公正な価格で、株式を 買取らなければならないとされていた。取引相場のある株式の場合には、取引 において形成された価額がこの場合の交換価値としてみてよいとされてきた。 一方、取引相場のない株式については、相続税及び贈与税における非公開株式 の評価指針である「財産評価基本通達」によって定める手法によって評価され ることが一般的であったようだ。財産評価基本通達は、会社の規模に応じて、 ア)大会社は類似業種比準方式、イ)中会社は類似業種比準方式と純資産方式 の併用、ウ)小会社は純資産方式によるものとし、更に、株主の会社に対する 支配力の大小に応じて配当還元方式を導入したものである。 ●会社法における公正な価格 一方現行の会社法においては、株主が適法に株式買取請求をしたときには、 会社にその株式を公正な価格で買い取るべき義務が生ずることになる。また買 取価格の協議が整わないときには、株主または会社は、裁判所に対して価格の 決定の申立てをすることができる。 また、合併等の組織再編行為に関するものである場合には、株式買取請求に係 る「公正な価格」は、必ずしも「会社が合併をしなければ当該株式が有したで あろう価格」とは限らない。合併条件は、合併から生ずる相乗効果(シナジー) の分配も含めて公正に定められる必要があり、株式買取請求に係る「公正な価 格」も、シナジーをも反映したものである必要があるからである。また、市場 価格のない株式については、その行為がないと仮定して、将来キャッシュ・フ ローの割引現在価値で買取価格を算出すべきであると解されている。 ●実務の観点から 株式買取請求権については、価格の算定に伴う鑑定費用の負担が重いこと、 及び公正な価格の算定が難しいなどの問題点が指摘されており、これまで一般 的に利用されてきたとは言い難い。 確かに非公開株式の株式をキャッシュ・フロー法で評価するといっても、非公 開株式の少数持分(マイノリティ・シェア)の公正な価格を評価する際には、 いくつかの基本的問題が存在する。第1の問題は、非公開株式の評価に当たっ ては、公正な価格(Fair Value) は公正な時価 (Fair Market Value) ではない と明確にしてよいかという点である。 そもそも、非公開株式の少数株主持分の公正な時価は非常に廉価にならざるを 得ない。株式評価の理論でいえば、非流動性のディスカウントと非コントロー ルのディスカウント(Discount for lack of control and Discount of lack of marketability) が著しく大きくならざるを得ないためである。 しかし、第三者に売却しようとすればゼロ当然の株式でも、支配株主の立場か らは間違いなく価値があることは注意が必要である。すなわち、非公開株式の 少数株主持分のロジカル・バイヤーは当該会社の支配株主以外に存在しないの である。 第2の問題は、公正な価格を評価する際に適用すべき、非流動性のディスカ ウントと非コントロールのディスカウント(Discount for lack of control and Discount of lack of marketability) のケース分析が日本では十分行わ れていないことである。 アメリカでは、これらのディスカウント及びプレミアムの実証分析が数多く実 施されており、少数株主の買取訴訟において非流動性のディスカウントと非コ ントロールのディスカウントをどのくらい考慮すべきかが係争事件の積み重ね によって明らかにされている。 そのような意味でカネボウとレックス・ホールディングの株式買取請求事件は 会社法の定める公正な価格の意味を判断する貴重な事例として十分に検討する ことが必要となるであろう。 以 上 (文責 小林 憲司) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ こちらもあわせてお読みください! M&Aの動向がわかる!「大量保有報告書速報メールマガジン」(日刊) ---------------------------------------------------------------------- M&Aの動向がわかります!当日締切分の大量保有報告書全提出データを どこよりも早く、即日メール配信いたします(証券市場休業日を除く)。 ☆ご登録はこちらから → http://www.mag2.com/m/0000236145.html __________________________ ▼▼▼▼▼ ビバルコ・ジャパンでは以下の業務を行っております ▼▼▼▼  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ○企業評価 ○ストックオプションの評価 ○新株予約権・優先株式の評価 ○無形資産の評価 ○デューディリジェンス ○M&Aアドバイザリー業務 ○M&A・エクイティファイナンスに伴う第三者意見の表明 ○株式公開の助言 ____________________ ▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲ お問い合わせは info@bevalco.com まで ▲▲  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■免責事項 このメールマガジンに掲載されております情報は、内容及び正確さに細心の 注意をはらい、万全を期しておりますが、人為的なミスや機械的なミス、調 査過程におけるミスなどで誤りがある可能性があります。 ビバルコ・ジャパン株式会社では、当該情報に基づいて被ったいかなる損害 についても一切の責任を負うものではありません。 ■配 信 元 ビバルコ・ジャパン株式会社 配信担当:渋谷 大(公認会計士) 東京都千代田区三番町14番地MLC三番町ビル http://www.bevalco.com/ 本メールマガジンおよび当社が提供するすべての情報について、当社の許 可なく転用・販売することを禁じます。 2007(C) BVCJ All rights reserved. ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


