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2007/04/25

メールでわかる最新金融事情Vol.19-TOB(公開買付)プレミアムはいくらが妥当か?(2006年全データ分析)

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          メールでわかる最新金融事情     H19.4.25 Vol.19
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 このメールマガジンでは、ビバルコ・ジャパンが新株予約権、優先株式、
 M&A、株式公開(IPO)などの最近の金融市場の動向を解説いたします。
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 ■ TOB(公開買付)プレミアムはいくらが妥当か?(2006年全データ分析)

ここ数年のM&A件数の増加は目を見張るものがあった。それに伴って、経営陣同
士で合意していた経営統合を株主が否決したり、逆に大株主であるファンドが経営
統合の触媒になるケースも増えてきた。今後はM&Aをすることそのものではなく、
M&Aの質も問われるようになっていくひとつの兆候だろう。
M&Aにおける重要な関心事は、プレミアムがいくらかということだ。今回のレポート
では2006年のTOBデータをもとにプレミアム分析を行った。

●2006年TOBプレミアム分析

(2006年TOBプレミアムデータはウェブサイトをご覧下さい。 
                    http://www.bevalco.com/report/) 

一般的にM&Aの際にプレミアムとして30%程度上乗せするといわれているが、現
実には時価よりディスカウントされているものが20〜30%もあることが分かる。
中にはセボンによる旭ホームズのTOBのように株価より50%安い価格、つまり
時価の半額でTOBが成立しているものもある。逆にアサヒビールによる和光堂の
買収では過去6ヵ月平均株価に対し98%のプレミアム、つまり倍ほどでTOBを行
っている。
各個別案件にはそれぞれの事情があるものと推測されるが、プレミアムがプラス
となっている案件の平均値をみれば、直前株価に対して20.5%、1ヶ月平均株価
に対して24.7%、3ヶ月平均株価に対して24.3%、6ヶ月平均株価に対して25.8%
のプレミアムが付されており、「プレミアム30%説」がおおむね正しいことを裏付
けている。
ただし、データの読み方には注意が必要で、たとえば3ヶ月平均株価を例にとる
と、プラスの平均プレミアムは24.3%となっているのに対し、件数ベースでは
10〜20%のプレミアムの案件が構成比では31.6%と最大となっている。つまり、
大きなプレミアムをつけた案件が含まれていると平均値も押し上げられてしまう
ということである。念のため、3ヶ月平均株価に対するプレミアムデータを記載
しておく。

(3ヶ月平均株価に対するプレミアムランキングはウェブサイトをご覧下さい。 
                    http://www.bevalco.com/report/) 


●TOB後の持株比率とプレミアムの関係

一般的に株式は、小口で取引する際には安く、大口で取引するほど高く売買さ
れる。これは小口投資家は企業の配当や利益拡大による株価の上昇といった株
式の利潤証券としての価値にしか期待していないのに対し、大口取引では利潤
証券としての側面のほか、支配証券としての価値が生じてくるためだ。売買高
が増加すると株価が上昇するのは直感的にも分かりやすい。平たくいえば「株
はまとめて買うと高い」のである。
これを2006年のデータをもとにTOB後の持株比率と株価(公表前3ヶ月間の終値単
純平均株価)に対するプレミアムをグラフにプロットしてみると、その傾向が明
らかに見て取れる。

(TOB後の持株比率とプレミアムの関係はウェブサイトをご覧下さい。 
                    http://www.bevalco.com/report/)

●TOB価格の算定根拠

M&Aの際の買収価額は主にDCF法などのインカムアプローチや市場株価を基礎とし
たマーケットアプローチ、類似会社比準方式が採用されることが多い。中には利
益体質の会社であるにもかかわらず、PBR(株価純資産倍率)が1倍を下回っている
ケースでは純資産価額方式で評価・分析を行っている事例もあった。
2006年の12月に東京証券取引所からTOBの価格算定根拠の開示充実の通達が出さ
れてからは比較的詳細な情報が得られるようになったが、価格算定は1種類のみ
の評価方法ではなく、複数の企業評価方法で複数の株価を算定し、収益状況、財
務状況、株価状況、経営環境などを総合的に勘案して決定しているケースが多い。
株価はTOBを決定する上で重要な要素であるが、決して市場株価のみでTOB価格を
決定しているわけでない。
また、利益相反の可能性が指摘されているMBOによる非公開化案件では、利益相
反リスクを避けるため、フィナンシャルアドバイザーを起用しているほか、リー
ガルリスクをケアするためにリーガルアドバイザーとして弁護士・法律事務所を
起用している旨をディスクローズしているものもあった。
いずれにしても、TOBの対象となった企業の経営陣は賛同・反対の意見を漫然と
述べるだけでなく、株主への説明責任を果たすためにフィナンシャルアドバイザ
ーやリーガルアドバイザーから第三者意見を求める慣行が定着していくだろう。
ちなみにアドバイザーの名称を開示しているものも多く、アドバイザーの仕事は
市場から監視にさらされるようになっていきそうだ。

●EBITDA倍率

M&Aの際にもう一つものさしとして、EBITDA倍率がある。EBITDA(Earnings Before 
Interest , Taxes , Depreciation and Amortization;利払前税引前償却前営業利
益)の何倍まで評価されたかとする指標である。
EBITDA倍率は平均で9.4倍であったが、このうちEBITDAがマイナスとなっているも
のが4件あったため、これを除外するとEBITDA倍率は平均で13.1倍となった。(な
お、EBITDAはブレの影響を除外するため2期平均値を採用した。)
最大となったのはファーストリテイリングがキャビンを買収した案件であるが、
これは前々期のEBITDAがマイナスで平均EBITDAが低く算出されていることによる
ものである。1期のみのEBITDAでの倍率は22.8倍となっている。プラスで最小とな
っている大和証券グループ本社による日の出証券のTOBではEBITDA倍率は1.99倍と
極端に小さくなっているが、これは買収価額の算定に主として純資産価額を適用
したためであると見られる。

(EBITDA倍率、EBITDA倍率の分布はウェブサイトをご覧下さい。 
                    http://www.bevalco.com/report/)

EBITDA倍率の分布をみると、5〜10倍付近で全体の約30%、5〜20倍で全体の約
70%を占めていることがわかる。
全体の傾向はともかく、企業価値は一面的に捉えられるものではなく、個別案件
のおかれている状況によって異なってくる。収益状況、財務状況、株価状況、経
営環境のみならず、TOBにいたるまでの経緯、大株主の意向などまでも総合的に
勘案しなければ取引は成立しない。多面的に分析した後は最終的には「意思決定」
の問題になるのである。
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出┃版┃案┃内┃
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