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2007/02/28

メールでわかる最新金融事情Vol.18-2006年TOB(公開買付)全データ

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          メールでわかる最新金融事情     H19.2.28 Vol.18
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 M&A、株式公開(IPO)などの最近の金融市場の動向を解説いたします。
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 ■ 2006年TOB(公開買付)全データ

2006年度(2006年1月−12月)に行われたTOB(公開買付)は届出が行われたも
のが全部で68件、成立したものが64件、金額ベースで3兆3193億円であった。
金額ベースで最大はソフトバンクによるボーダフォン買収(1兆6612億円)で、
1件で50%を超えた。

(2006年度TOB(公開買付)全データはウェブサイトをご覧下さい。 
                    http://www.bevalco.com/report/) 

金額ベースではソフトバンクによるボーダフォン買収が目を引くが、そのほか
にもMBOによって上場を廃止したすかいらーく、当初は友好的M&Aを提案してい
ながら結果的に敵対的TOBに発展した北越製紙、ドン・キホーテによる敵対的買
収を仕掛けられてイオンがホワイトナイトとなって幕を引いたオリジン東秀、
同じくスティール・パートナーズに敵対的買収を仕掛けられライバルであった
日清食品の傘下に入った明星食品、など、話題となったTOBも多い。
2006年に行われたこれらのTOBはいくつかの特徴でくくることができるので、
以下では傾向を分析してみる。

(参考:2006年TOB金額上位10件はウェブサイトをご覧下さい。 
                    http://www.bevalco.com/report/) 

●敵対的買収

本題に入る前に、ここであらためて敵対的TOBの定義をしておきたい。さまざま
な意見はあるかと思うが、ここでは敵対的TOBの定義を「経営陣が意見表明報告
書で『反対』意見を表明したTOB」としておく。したがって、王子製紙による北
越製紙へのTOBは「提案型TOBであって敵対的TOBではない」という意見があるこ
とも承知しているが、ここでは敵対的買収として定義する。

(2006年に行われた敵対的TOB一覧はウェブサイトをご覧下さい。 
                    http://www.bevalco.com/report/)

2006年に行われた敵対的TOBは全部で4件であった。この敵対的TOBにはある共通
したパターンがある。まず、(1)市場または大株主との相対取引で株式をある程
度まで買い進め、次いで(2)会社側に友好的M&Aの協議のテーブルにつくように
仕向けて協議が整わないと、(3)敵対的TOB を仕掛ける、という手順だ。オリジ
ン東秀では創業者一族からドン・キホーテが相対取引で23.6%(発行済株式ベ
ース)取得してから提携協議につくように提案したにもかかわらず拒否反応が
強かったため、敵対的TOBに発展した。サンテレホンではJMBOファンドがTOB前
に市場を通じて31.4%まで買い進めていたし、明星食品ではスティール・パー
トナーズが23.1%まで買い進んでからTOBを仕掛けた。
しかし、会社側が反対するTOBでは、友好的な関係が構築しにくいためか、(4)ホ
ワイトナイトが現れて対抗TOBを行い、敵対的買収者がこれに応じて手打ち、と
なるケースが多い。実際にオリジン東秀ではイオンが、サンテレホンでは別の友
好的投資ファンドが、明星食品では日清食品が対抗TOBを行い、いずれの敵対的
買収者もそれに応じている。特に投資ファンドが仕掛けた敵対的TOBではこの傾
向が顕著だ。経営をする意思がなければ、大量に取得した株式を売却する出口が
必要になるからだ。
表を見る限り、敵対的TOBに応じる株主は一見少ないようにみえる。しかし、
JMBOファンドによるサンテレホンのTOBは買付予定数には及ばなかったものの、
予定の91%に当たる株主が敵対的TOBに応じ、株式を売却している。最終的に友
好的ファンドが対抗TOBを行ったため、事なきを得たかに思えるが、一旦は敵対
的買収が成立したと認めても良いだろう。もはや敵対的M&Aは対岸の火事ではな
いのだ。
2007年5月から三角合併が解禁される。三角合併は友好的M&Aとしてしか使えない
から脅威にならない、という意見もあるが、ではTOBによって力技で3分の2以上の
株式が買い集められたら話は別だ。株主総会を開催して敵対的買収者の意に沿う
取締役を選任すれば、「友好的」に敵対的買収を行うことができるようになる。
ファンドを触媒とした敵対的三角合併が成立しないとは断言できないだろう。
敵対的TOBを脅威と捉えるならば、今からでも買収防衛策を導入するなどの備え
をしておくことが必要かもしれない。

●MBOによる非公開化

2006年は大型のMBO(経営陣による企業買収;この日本語訳に対しても異論があ
るところであるが、とりあえず一般的な日本語訳としてこのように訳しておく)
が多かった。買収目的会社を設立し、経営陣がファンドや銀行などから資金調達
を行って会社を買収して非公開化する取引である。

(MBOによる株式非公開化一覧はウェブサイトをご覧下さい。 
                    http://www.bevalco.com/report/)

大企業がMBOによって株式を非公開化する流れは2005年のワールドから始まった。
2006年はその流れを受けて一気に加速した感がある。三角合併解禁や世界的なカ
ネ余りの状況を考えると2007年以降もまだその流れは続く可能性がある。
一方で経営陣が売り手と買い手の両方の立場になるため、利益相反問題があると
の指摘がなされている。買い手としては安く買収したいわけであるが、この買収
者が経営者の場合、売り手である株主からの受任者として高く売れるように交渉
する義務を負うわけだ。このため、TOB価格の決定には通常のM&A以上に公平さが
必要だ。こういった意見を取り入れる形で東京証券取引所が2006年12月にTOBの
際の価格算定根拠の開示を厳格化した。ただし、それでも本質的な問題解決には
いたらないだろう。

●上場子会社の完全買収

もうひとつ、上場子会社をめぐる問題だ。以前は「子会社も上場して一人前」と
のコンセンサスから、優良な子会社を上場させることは概ね好感されていた。株
式市場での売却を通じて親会社の資金調達にもなった。しかし、会計制度が連結
主体になったころから、逆に優良な子会社に外部株主がいるということは企業価
値の流出につながるとの認識に変わってきた。
また、敵対的買収が実際に行われるようになってくると、親会社以外の大株主が
現れる可能性もありうる。そうなっては子会社の経営がやりにくくなるし、ガバ
ナンス上の問題が生じるケースも起こりうるだろう。このような流れから、戦略
上の理由で上場子会社を完全子会社化するためのTOBも多く行われた。

(上場子会社を完全子会社化するためのTOB一覧はウェブサイトをご覧下さい。 
                     http://www.bevalco.com/report/)

TOB実施後、株式交換、合併、その他の方法により、上場子会社を完全子会社若
しくは合併等により親会社に吸収している(予定している)。
従来、TOB実施後に完全子会社とする手法としては、株式交換によって完全親会
社の株式を交付することにより完全子会社とするか、産業活力再生特別措置法の
活用により、金銭等を交付する手法が用いられてきた。
会社法の施行により、株式交換の対価として完全親会社の株式以外の金銭等の交
付が認められたため、会社法の範囲内で株式交換の対価として金銭等の交付が可
能となっている(実務上は、会社法施行後1年間は完全親会社株式以外の金銭そ
の他の交付は認められていないため、対価として金銭等を交付する場合には産業
活力再生特別法が用いられている)。
また、会社法によって新たに種類株式が導入され、種類株式を用いた完全子会社
化の手法もとられている。インターネットセキュリティシステムズの完全子会社
化では、全部取得条項付株式を活用する手法が予定されている。具体的には、ま
ず、現在の発行済み株式を全部取得条項付株式に変更する。会社法の規定に基づ
き、インターネットセキュリティシステムズで全部取得条項付の株式を取得して、
当該取得の対価として新たにインターネットセキュリティシステムズの株式を株
主に付与するが、その際に親会社以外の株主に対しする交付株数が一株未満の端
数となるような割合で株式を付与する。一株未満の端数となるため、一株未満の
端数の合計数に相当する株式を売却することによって得られた代金を株主に交付
する。結果として、少数株主に対して、金銭を交付したのと同様の効果を生じさ
せるのである。

(TOB実施後の完全子会社化のための手法はウェブサイトをご覧下さい。 
                     http://www.bevalco.com/report/)

●関連会社の子会社化

最後にもうひとつの類型として、関連会社(出資比率20%以上50%以下)の会
社を子会社化する流れも加速している。出資比率20%以上50%以下というのは、
実は出資比率としては中途半端で、そこを突いてくる買収者がいても何ら不思
議ではない。特に自社を買収防衛策で守れたとしても、関連会社やあるいは重
要な部品を作っている取引先などが敵対的買収者の手に落ちてしまえば、本業
に被害が及ぶことも想定される。
関連会社や取引先であれば小額で買収できるうえにガードが緩いケースが多く、
敵対的買収者にとっては狙い目である。サプライチェーンのもっとも弱いとこ
ろを攻撃しようという戦略だ。
こういった背景もあって関連会社をまずは子会社化しようという動きも目立っ
た。

(関連会社を子会社化するためのTOB一覧はウェブサイトをご覧下さい。 
                     http://www.bevalco.com/report/)
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