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2006/11/27

メールでわかる最新金融事情Vol.15-ベンチャー企業に求められる期待成長率

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          メールでわかる最新金融事情     H18.11.27 Vol.15
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 このメールマガジンでは、ビバルコ・ジャパンが新株予約権、優先株式、
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 ■ ベンチャー企業に求められる期待成長率


 2006年の新興市場は1月のライブドアショックに始まり低迷を続けています。
新興市場では明るい話題は比較的少ない中、今年注目を集めたのが株式会社
ミクシィのマザーズへの上場です。上場当日は取引が成立しないほどの過熱
ぶりで、一時は株価が300万円を超えていました。日本企業の将来収益の見通
しが悪化したこと等の理由により、日本の株式市場全体が低迷していること
にもよりますが、ミクシィの株価は平成18年11月21日時点で159万円となって
います。上場直後と比較した場合には、半値程度まで落ち込んでいますが、
依然として高水準にあります。では、ミクシィの現在の株価が適正株価である
とした場合、ミクシィが今後どれだけの将来キャッシュフローを確保すること
ができれば、現在の株価と理論株価と比較して妥当と言えることができるので
しょうか。前回まで、企業評価手法についてご説明をしてきましたが、その中
からDCF法(Discounted Cash Flow;ディスカウント・キャッシュフロー)に
着目して、ミクシィに求められる期待成長率を考えてみたいと思います。期待
成長率を考える前に、DCF法について簡単に復習したいと思います。

■DCF法により算定される理論株価

 DCF法は、企業が生み出す将来のキャッシュフローを見積り、将来キャッシュ
フローを現在価値に割引いたものの総和を事業価値とする評価手法です。事業
価値は当該事業から獲得される価値を表すため、株主に帰属する価値のみでは
なく、債権者に帰属する価値も含んでいます。理論株価を算出するには、株主
にのみ帰属する価値を算定する必要があるため、事業価値をもとに株主にのみ
帰属する株主価値を算定します。具体的には次のように算定されます。
1.事業から生み出される営業フリー・キャッシュフローをWACC(加重平均資
本コスト)で割引くことにより事業価値を算出します。
2.事業価値に非事業用資産を加算することによって、企業全体の価値を表す
企業価値を算出します。
3.企業価値から有利子負債時価を控除することによって、株主にのみ帰属す
る株主価値を算出します。
 
(DCF法のイメージ図及び株主価値のイメージ図はウェブサイトをご覧下さい。 
                    http://www.bevalco.com/report/) 
 
 算定された株主価値を発行済株式総数で控除することにより 理論株価が算
出されます。

理論株価 = 株主価値 ÷ 発行済株式総数

 

■ミクシィに求められる期待成長率

 企業の理論株価がこのように算出される一方、実際の株式市場においては、
理論株価とは乖離した株価で取引されているのが実情です。特に新規上場株式
(IPO銘柄)は上場後株価が高騰し、理論株価と実際の株価が乖離する傾向にあ
ります。新規上場銘柄を実際に売却しているのは証券会社になりますが、新規
上場株式をすべて売却したい証券会社は当初の公募価格を低めに設定している
ことや、新規の募集・売出株式数が少ないため需給関係で需要が圧倒的に供給
を上回ること等の理由により初値が公募価格よりも高値となり、その後も株価
が上昇していく傾向にあります。
 先にも述べたように、ミクシィも上場初日は初値がつかず、終値で300万円を
越えている時もありました。株式市場全体の低迷に伴い一時の株価よりも落ち
着いていますが、現在でも高水準で株価は推移しています(2006年11月21日の
終値で159万円)。
 ミクシィの現在の株価が妥当な水準であるとするならば、DCF法において今後
どの程度の将来キャッシュフローが必要となるのでしょうか。
 DCF法では、将来の安定成長期までの期間の事業計画を作成し、各期の将来キ
ャッシュフローを現在の価値に割引き、安定成長期に入ってからの価値を継続
価値として求めます。安定成長期に移行するまでの期間を5年、7年、10年と想
定し、安定成長期に移行した後の永久成長率を0%、1%、2%と仮定して検討を
実施してみたいと思います。
 それぞれの場合において、今後ミクシィに求められる期待成長率がどの程度
になるかを求めてみたところ、要求される期待成長率は次の通りとなります。
 
(ミクシィに求められる期待成長率の算定結果はウェブサイトをご覧下さい。
                    http://www.bevalco.com/report/)

 安定成長期までの期間を5年間とした場合のキャッシュフローの成長率は、
その後の継続的な成長率が横ばいだとすると、今後5年間は毎年97.7%の成長
率が求められます。安定成長期までの期間が10年間とした場合でも毎年45.5%
の成長率が求められます。年間45.5%の成長率と言えば、さほど困難ではない
ように思われるかもしれません。確かに1年や2年の間であれば、成長著しい新
興企業にとって達成可能な場合も少なくないでしょう。むしろ、それ以上の成
長を達成することも珍しいことではないかもしれません。しかし、10年間もの
長期間に渡り年間45.5%の成長を達成することは現実的には厳しいと思います。
日本経済全体が低迷する可能性もあり、また、新規市場が飽和することにより
既存のビジネスのみで成長を続けることは困難であると考えられるからです。
10年間45.5%の成長を継続すると、売上高は10年後には現在の売上高の41倍とな
ります。2006年3月期のミクシィの売上高は約19億円ですが、約770億円の売上
高が必要となるのです。ちなみに今後10年間の成長率が20%、安定成長期の永
久成長率が1%とした場合の理論株価は31万円で、現在の株価の1/5になります。

(今後10年間の成長率20%、安定成長期の永久成長率が1%とした場合のミク
シィの株価算定の過程についてはウェブサイトをご覧下さい。
                    http://www.bevalco.com/report/)

 こう考えてみると、マーケットはミクシィにいかに期待をかけているかが分
かります。同時に現在の株価水準が妥当かどうかも分かりやすくなります。

 実際の株価の決定要因は複雑であるため、将来の予測キャッシュフローのみ
からで株価が算定できるものではありませんが、ミクシィについては、株式上
場により調達した資金使途が明確でないこと、今後の成長のためのビジネスモ
デルが不透明との指摘もありました。同社の今後の株価の動向と業績動向を引
き続き注視していきたいと思います。 

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