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2006/06/08

メールでわかる最新金融事情 Vol.10-新株予約権の評価方法について考える(1)

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          メールでわかる最新金融事情     H18.6.8  Vol.10
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 ■ 新株予約権の評価方法について考える(1)

 昨年から活発化していた新株予約権の発行がTRN事件を境として激減している。
新株予約権の発行差し止め事件は、TRN以前にもいくつかあったが、TRN事件は
新株予約権の評価方法まで踏み込んでいる判決として実務家たちの注目度が高
い。新株予約権の発行を萎縮させたこの事件の内容を、3回に亘って検証して
みたい。
 1回目は事件の概要とその論点、2回目から評価に関する論点について述べるこ
ととする。


1.事件の概要

 TRN事件は、TRNの筆頭株主であるHIS-VLOH投資事業組合が、平成17年12月28日
開催のTRN取締役会において決議された第4回新株予約権の発行を仮に差し止め
ることを求めた事案である。

問題となった新株予約権の主な発行内容は以下のとおりである。

発行する新株予約権:56,000個
新株予約権の目的たる株式の種類及び数:普通株式56,000株
新株予約権の発行価額:298円
行使価額:1個につき312,480円
行使可能期間:H18.6.1からH20.4.11
消却条件:
 TRN取締役会が必要と認め決議した場合は、新株予約権の発行日の翌日以降い
 つでもTRN取締役会が定める消却日において残存する新株予約権の全部又は一
 部を新株予約権の発行価額相当額をもって消却することができる。消却する
 場合は、消却日前営業日までに新株予約権者に通知するものとする。
譲渡制限:取締役会の承認を要する


2.事件での論点

 この事件で問題となったのは、1.新株予約権を消却する場合には、消却日
の前営業日までに新株予約権者に通知することにより新株予約権を消却するこ
とができるとの定めが、商法280条の36の規定に反しているか。2.新株予約
権の発行が有利発行といえるかの2点であった。


3.消却に関する定めが商法280条の36に違反しているか

 商法280条の36の規定に違反しているかどうかについては、同条の趣旨が、
新株予約権者に対し、公告又は通知がなされた後、新株予約権の消却の効果が
生じるまでの間に新株予約権を行使して株主になるか、消却されるかを選択を
することができる機会を与えることにあると考えられるので、「消却日の前営
業日までに通知するものとする」「行使期間は、消却のための通知がなされた
日までとする」の部分は商法280条の36の規定に違反している。また商法280条
の36は強行規定であり、これに反する事項を取締役会で定めたとしても、それ
は無効となると判示したものと考えられる。
 その結果、消却する場合は新株予約権の消却の効力が生じる日の1ヶ月以上以
前又は2週間前までに公告又は通知が必要となり、新株予約権者は公告又は通知
がなされた後消却の効力が生じるまでの間は、新株予約権を行使することがで
きることになる。


4.新株予約権の発行が有利発行といえるか

 新株予約権の発行が有利発行といえるかについては、
(1)採用したオプション評価モデル
(2)原資産価格の適否
(3)原資産価格に希薄化を考慮することの相当性
(4)ブラック・ショールズ式に代入した行使期間の妥当性
の4点を議論し、TRNが決議した新株予約権の発行が有利発行といえるかどうかを
判断している。

 次回は、上述した(1)から(4)について裁判所の考え方及びそれに対する弊社の
考え方(私見を含む)を述べることとする。

 
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