2007/10/04
底抜けラウンドテーブル われら幻の映画を見たり 号外
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ 底抜けラウンドテーブル われら幻の映画を見たり 号外 ♪2007年10月4日発行 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ 【当メールマガジン休刊と移転のお知らせ】 いつも当メールマガジンをご購読いただき、まことにありが とうございます。 このたび諸般の事情により、今号をもちまして当メールマガ ジンを休刊することにいたしました。 今までのバックナンバーは以下のわたしのブログへの移転を 開始させ、予告編などがある映画作品は YouTubeから動画を 貼り付けたりしておりますが、まだ完了しておりません(も う少しで完了する予定です)。 ⇒ http://thelifecinematic.seesaa.net/ このサイトは携帯電話からも閲覧可能となっておりますので、 バックナンバーを読み返したいという方がおられましたら、 どうぞご覧くださいませ。 今後、気が向きましたら、あるいは号外の続きを書くことに なるかもしれませんが、忙しさで身動きがとれず、今のとこ ろはどうなるか分かりません。 どうかご了承ください。 今までの皆さまのご購読に感謝いたします。 どうもありがとうございました。 2007年10月4日 佐藤学 ♪出席者 21世紀映画発見委員会 代表 佐藤学 委員 ジルダ トム ジョージ みなさん、お元気ですか。 ♪本日の映画はこちらになります。 ★『オリーブの林をぬけて』 (アッバス・キアロスタミ監督、1994) ★『世界の始まりへの旅』 (マノエル・デ・オリヴェイラ監督、1997) 佐藤 映画監督が主役の映画というと、フランソワ ・トリュフォー監督の『アメリカの夜』(1 973)という傑作があるね。彼は名前こそ 変えていたけど、自分自身で監督役を演じて、 映画製作の裏側を描いた。 トム キアロスタミとオリヴェイラは、自分自身を 投影した別の俳優に監督役を演じさせている。 ジルダ オリヴェイラのほうは、映画の撮影に入る 前のプライヴェートな時間を描いているから、 少し趣きは違っているわね。 ジョージ キアロスタミのほうは『アメリカの夜』 をさらに進化させた作品と言っていい。一本 の映画の撮影現場をとらえているにしても、 そこには監督役を演じる男が映っていて、そ れをさらにキアロスタミが監督して見ている という、重層的構造になっているんだ。 佐藤 映画製作を題材にした物語だからか、画面は ドキュメンタリー的に見えるけど、カットが ひんぱんに変わるたびに、なにか手品でも見 せられているような気持ちになるね。 トム 同じシーンを何度も演じさせたりするでしょ う、主役の青年が階段を下りてくるところな んか。そこから監督やスタッフの側にドンデ ンで切り返して、また被写体に戻ると、キア ロスタミのニヤニヤした顔が浮かんで来ると いうか(笑)。 ジョージ それはトラックで移動するシーンの、運 転している監督と、助手席にいる青年との切 り返しについても言えるよ。あのひんぱんな カット割りがくせ者なんだ。実にうまいとい うか巧妙な編集だね。 ジルダ あの映画中映画の主役を演じた青年や女の 子に限らず、画面に映っている大人や子供が 俳優か素人か、ほとんど区別がつかないのよ ね。 佐藤 向こうでは有名な人でも、こっちには分から ないからな。よけいに胡散臭さを感じさせら れてしまって(笑)。 トム そこがミソだと言えるかもね。『オリーブの 林をぬけて』は。 ジョージ 現実とフィクションの区別がつかないと いう凄さね。 トム こんなことができるのはキアロスタミくらい しかいないと思うね、今や。 佐藤 オリヴェイラのほうは、マルチェロ・マスト ロヤンニに自らを投影してはいるけど、純粋 なフィクションと言えるんだろうか? ジルダ でも、ポルトガルの風景がきわめてドキュ メンタリー的に流れて行くのを見ていると、 ちょっとフィクション映画そのものとは言え ないよね。 トム あの何とも言えない雰囲気の彫像をとらえた カットや、後半のポルトガルの寒村で羊の群 れが移動するカットなんかもそうだよ。 ジョージ アメリカ映画的なカットつなぎはまった くしていないでしょう、オリヴェイラは。あ の移動中の車の中の会話にしたって、人物の 目線は一致しないわけで。 佐藤 あの車に乗っているのは五人なんだね。その 中で、運転手はまったく会話に加わらず、顔 も映らない。車を止めた場所で、小さく全身 が映るけど。 トム あれ、オリヴェイラ自身が演じているんじゃ ないの? 佐藤 おそらくそうだね。顔はよく見えないけど。 ジルダ キャメラはレナート・ベルタ。もう至芸と 言うほかない撮影よね。あの光と影の生かし 方の見事さ。 ジョージ あれが映画の画面ですよ。イーストマン カラーのあの画面を見ていると、なにかオリ ヴェイラの伝えたいことが、言葉を介さずに 伝わって来るような気がする。 トム 台詞で語られた内容が、そっくりそのまま画 面から立ち上がって来るようだね。 ジルダ 通訳をするシーンがいっぱいあるけど、「 言葉はいらない。血が流れていればいい」と いう、まさにあの台詞どおりの映画になって いるよね。 佐藤 映画の血が流れているわけだ、オリヴェイラ の映画には。 トム まるで『昭和残侠伝・死んで貰います』(マ キノ雅弘監督、1970)みたいだな(笑)。 ♪当委員会の委員による結論 アッバス・キアロスタミ監督作品 『オリーブの林をぬけて』 が 21世紀の映画に及ぼす影響度は 100%(暫定的数字です。) マノエル・デ・オリヴェイラ監督作品 『世界の始まりへの旅』 が 21世紀の映画に及ぼす影響度は 100%(暫定的数字です。) ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ 発行元:「終らない映画」(ホームページ) http://www.forevercinemas.com/ 当マガジンは、「まぐまぐ」より発行しております。 ご購読の登録・解除は下記よりお願いします。 http://www.mag2.com/m/0000179566.html 「地球映画遺産 編集日記」(ブログ) http://thelifecinematic.seesaa.net/ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ 編集発行人 佐藤学(メール) どうぞお気軽にご意見・ご感想・ご要望などをお寄せください。 thelifecinematic@yahoo.co.jp (上記アドレスの@を半角@に直してご送信ください。) 当メールマガジンの無断転載を禁じます。 Copyright(c)2005-2007.Manabu Sato.All Rights Reserved. ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■


