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スクリーンに現われては散ってゆく映画という幻を、何とかこの手に握りしめたい。そんな熱い心意気の映画狂たちがお届けする居酒屋談義(ネタバレなし)です。どうぞグラスを片手に気軽にご参加ください。映画の知識が知らぬ間に身につくことをお約束します。

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2007/09/25

底抜けラウンドテーブル われら幻の映画を見たり 号外

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 底抜けラウンドテーブル われら幻の映画を見たり

 号外

 ♪2007年9月25日発行

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 ♪出席者 21世紀映画発見委員会

  代表  佐藤学

  委員  ジルダ トム ジョージ

  みなさん、お元気ですか。



 ♪本日の映画はこちらになります。

★『周遊する蒸気船』
     (ジョン・フォード監督、1935)
★『戦艦ポチョムキン』
     (セルゲイ・M・エイゼンシュテイン監督、
      1925)



佐藤  一見するとまったく無関係に思えるこの二本
    の映画にも、つながりはあるでしょう?

トム  トーキーとサイレントという違いを乗り越え
    て見てみると、フォードもエイゼンシュテイ
    ンも映画という表現媒体に全幅の信頼を置い
    ているね。

ジルダ  フォードはコメディ・タッチで、エイゼン
    シュテインはシリアスなタッチだけど、どち
    らも乗り物を生かすという映画の王道を歩い
    ていることは間違いないわ。

ジョージ  蒸気船と戦艦。どちらも映画になくては
    ならない存在だよ。その外観と内部を克明に
    見せてくれるね、二本とも。

佐藤  『戦艦ポチョムキン』を今見直すと、主役は
    あの反乱を起こす船員たちでも誰でもなく、
    オデッサの階段を下りていく乳母車なのでは
    ないかと、改めて思った(笑)。

ジョージ  役者たちにはちゃんと名前が付けられて
    いるんだが、そのうちの誰をもエイゼンシュ
    テインは中心に据えてはいないね。

トム  あの戦艦が主役だとも言えないしな。

ジルダ  『周遊する蒸気船』のほうは、ちゃんと人
    物たちがキャラクター別にキャスティングさ
    れているね。

トム  ウィル・ロジャースがもちろん主役であり、
    タイトルどおり蒸気船が影の主役と言っても
    いい。

ジョージ  エイゼンシュテインはドキュメンタリー
    的に役者たちを動かしているというか……。

トム  構図が決まっている、つまりコンテが先にあ
    るわけだ。そこに生身の役者をはめこんでゆ
    く。

佐藤  フォードのほうは逆だね。役者たちの演技が
    最初にあって、そこから構図が決まってゆく
    んだと思うな。

トム  これはどっちがいいかという話ではなくて、
    それぞれの監督のやり方なんだから仕方ない
    よね。

ジョージ  エイゼンシュテインのほうは、役者の演
    劇的要素は抑えられている。芝居をやってい
    ないというのではなくてね。

ジルダ  現実にいかに似せるかという演出ね。

ジョージ  そう。フォードのほうは芝居をたっぷり
    やらせて、役者の良さを引き出そうとする。

佐藤  『戦艦ポチョムキン』は今見たら退屈するん
    じゃないかと思っていたんだけど、そんなこ
    とはなかった。ただ、どの役者にも感情移入
    できないのがつらいところだね。

トム  フォードのほうは役者たちすべてに血が通っ
    ている。

佐藤  アン・シャーリーが良かった。あんな女優は
    もう現代の映画には登場しないよね。

ジルダ  可憐な乙女が好きなの?(笑)。ウィル・
    ロジャースの甥と鉄格子ごしにキスするとこ
    ろ、良いシーンよね。

ジョージ  あの留置場、今と比べるとかなりのんび
    りしたムードだね。あそこで結婚式まで挙げ
    ちゃうんだから(笑)。

佐藤  河と海という違いはあれ、船の煙突から煙が
    出ているだけで、何とも言えずに良いねえ。

トム  フォードのほうは炎まで出てくるから(笑)。

ジョージ  船が並行して進むところもいいね、どち
    らも。

佐藤  新興宗教の教祖みたいなのが出てきたりして、
    フォードの映画は面白い。あのロウ人形館の
    ギャグなんか、今でも真似してる人がいるで
    しょう、それとは知らずに。

トム  『戦艦ポチョムキン』に乗ってる、あれ神父
    さんなんだろうか? 十字架を手にしてる人。
    あの存在が分からないというか。当時は現実
    の戦艦にあの手の宗教者を乗せていたのかど
    うか。

佐藤  意外とエイゼンシュテインの思いつきかもね。

ジョージ  だとしたら、フォードみたいなでたらめ
    さを彼は持ってたということになるな(笑)。

トム  いや、エイゼンシュテインはけっこう無邪気
    な人なんだと思うな。ライオンが立ったよう
    に見えるでしょう、三つのカットがつながっ
    て。あんなことをやるのは子供っぽさがない
    人には無理だよ(笑)。




  ♪当委員会の委員による結論:


   ジョン・フォード監督作品

   『周遊する蒸気船』

      が

      21世紀の映画に及ぼす影響度は

   99%(暫定的数字です。)


   セルゲイ・M・エイゼンシュテイン監督作品

   『戦艦ポチョムキン』

   が

   21世紀の映画に及ぼす影響度は

   70%(暫定的数字です。)



   それでは次の号外をどうぞお楽しみに!!!



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