2006/11/29
底抜けラウンドテーブル われら幻の映画を見たり 第49号
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ 底抜けラウンドテーブル われら幻の映画を見たり 第49号 2006年11月29日発行 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ 出席者 21世紀映画発見委員会 代表 佐藤学 委員 ジルダ トム ジョージ 本日の映画はこちらです。 『過去のない男』 MIES VAILLA MENNEISYYTTA 2002年 フィンランド 97分 35ミリ イーストマン・カラー ヴィスタ・サイズ(1:1.66) ドルビー・デジタル 監督・製作・脚本 アキ・カウリスマキ 撮影 ティモ・サルミネン 録音 ヨウコ・ルッメ テロ・マルンベリ 編集 ティモ・リンナサロ 美術 マルック・ペティレ ユッカ・サルミ 主演 マルック・ペルトラ(M) カティ・オウティネン(イルマ) 佐藤 『過去のない男』というタイトルとは裏腹に、 この映画の監督をしたアキ・カウリスマキは映 画的過去のある男ですね。 映画的過去というのは、彼がかなりの数の映 画を見ているはずだという意味だけど、彼の映 画はその記憶がなければ成り立たないものだと 思う。 トム その記憶とはおもに小津安二郎とロベール・ ブレッソンの映画を見たという記憶のことだろ う? 佐藤 そう、例えば列車の中で椅子に座るマルック・ ペルトラは、『彼岸花』(1958)を見たこ とがある人には、あれは小津だっていうことが すぐに分かるでしょう。 ジョージ でも、カウリスマキは小津の真似を通り 越して、自分だけにしかできない映画というも のを手にしたところが凄いと思うな。 佐藤 ブレッソン映画の記憶としては、カウリスマ キは自分の映画の中で、手のクローズ・アップ を多用するよね。 『過去のない男』では、例えば救世軍の事務所 で金の受け渡しをする手と手のクローズ・アッ プはブレッソン的だけどブレッソンではない。 ジョージ 画面に緊迫感が漂わないところがカウリ スマキ的と言えるかもしれないね。 ジルダ 暴漢たちに襲われて過去の記憶をなくした 男(役名の「M」はフリッツ・ラング監督の名 作『M』(1931)から来てるのかも)が、 どうやって幸福をつかむか。 カウリスマキの映画って、そんなような小市 民を題材にした地味な映画が多いでしょう。 製作費をどうやって掻き集めているのかが不 思議でね。パトロンでもいるのかしらね(笑)。 トム 映画一本撮るのにも四苦八苦しなければなら ない現代の映画監督たちの鑑(かがみ)のよう な存在だよ、彼は。 ジョージ 何年にもわたって同じような題材を撮り 続けた小津の境地に近づいてきたのかもしれな いね。 佐藤 それにしても、あの男が寿司を箸で不器用に つまみながら日本酒を飲む、あの列車のシーン は良かったな。 アキ・カウリスマキ監督作品 『過去のない男』が 21世紀の映画に及ぼす影響度は 100% <廃刊のお知らせ> 当メールマガジン「底抜けラウンドテーブル われら幻の映画を見たり」は、諸般の事情により、 今号をもちまして廃刊させていただきます。 しばらくしてから、また別のかたちでお会いす るかもしれません。 今までお読み頂きました皆様、どうもありがと うございました。 21世紀映画発見委員会 代表 佐藤学 委員 ジルダ トム ジョージ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ 当マガジンは、「まぐまぐ」より発行しております。 解除は下記よりお願いします。 http://www.mag2.com/m/0000179566.html HP(BLOG) http://thelifecinematic.seesaa.net/ MAIL(編集発行人 佐藤学) thelifecinematic@yahoo.co.jp 当メールマガジンの無断転載を禁じます。 Copyright(c)2006.Manabu Sato.All Rights Reserved. ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■


