底抜けラウンドテーブル われら幻の映画を見たり  RSSを登録する

スクリーンに現われては散ってゆく映画という幻を、何とかこの手に握りしめたい。そんな熱い心意気の映画狂たちがお届けする居酒屋談義(ネタバレなし)です。どうぞグラスを片手に気軽にご参加ください。映画の知識が知らぬ間に身につくことをお約束します。

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2006/02/12

第47号

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  □ |   底抜け    □  第47号/2006年2月12日発行
    |         |
  □ | ラウンドテーブル □
    |         |   出席者 21世紀映画発見委員会
  □ |   われら    □    代表 佐藤学
    |         |     委員 ジョージ  トム  ジルダ
  □ | 幻の映画を見たり □  
     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  *スクリーンに現われては、すぐに消え去ってしまう映画という幻を、
  なんとかして記憶にとどめたい。そんな熱い心意気を持つ同志たちが
  寄り集まり夜な夜な繰り広げる、居酒屋談義の延長のような円卓会議
  です。どうぞグラスを片手に、気軽におつきあいください。

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  The Contents  1.ラウンドテーブル 2.架空名画座 3.編集後記

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   きょうの映画はこちらです。

  『涙を、獅子のたて髪に』
  (Namida o shishi no tategami ni
   英語題名  Tears on the Lion's Mane) 
  1962年 日本/松竹大船(Japan/Shochiku Ohuna)
    92分(min/分鐘)
   
  監督 篠田正浩
  (Directed by Masahiro Shinoda/導演 篠田正浩)
  脚本 寺山修司/水沼一郎/篠田正浩
  撮影 小杉正雄
  音楽 武満徹/八木正生
  出演 藤木孝/加賀まりこ/南原宏治/岸田今日子/山村聰/早川保
     神山繁/丹波哲郎/小池朝雄/浜村純/細川俊夫/ハロルド・
     S・コンウェイ

  35ミリ モノクロ 
  シネマスコープ・サイズ(1:2.35)
  モノラル(日本語発声)
  
  <ネタバレなしのあらすじ>
   チンピラのサブ(藤木孝)は、横浜港で働く労働者たちから、給料の
  上前をはねて生きていた。労働者たちが賃金の低さにいきどおり反乱を
  起こそうとしていたころ、サブはウェイトレスのユキ(加賀まりこ)と
  出会い付き合うようになる。サブは、子供のころの命の恩人(南原宏治)
  の言うことを聞き、労働者の一人を殺してしまう。

  
     佐藤  これ、寺山修司が脚本に参加したせいなのかは分
        からないけど、どうも焦点が定まらない映画に思え
        るんだけど。

     トム  藤木孝と加賀まりこが主役の青春映画のつもりで
        見ていくと、おかしなことになってゆくね。

     ジルダ  横浜の港湾労働者たちの反乱のほうがメインだ
        と言っていいんじゃないの?

     トム  そこに、彼らを上から搾取する資本家の優雅な暮
        らしぶりを対比させて描き、社会の矛盾を告発して
        いく。

     佐藤  藤木孝は命の恩人の言うがままに、労働者たちの
        給料の一部を頂いて生活しているという設定だから、
        いちおう一本の筋は通っているとは言えるけどね。

     ジルダ  なんだか『波止場』(1954年)を下敷きに
        しているような気がしない? またもやエリア・カ
        ザンの映画が出てきたけど。

     佐藤  マーロン・ブランドみたいな男が出てくるなら、
        この手の題材は生きただろうけど、藤木孝はどうも
        いい男すぎてね。

     ジルダ  加賀まりことデートするシーンの藤木孝のせり
        ふ、あれはほとんど寺山修司が書いている気がする
        な。きどりがあって、妙に理屈っぽいでしょう。

     トム  画面作りの点から言うと、照明の当て方はいいね。
        特に雨の夜のシーンなどは。

     佐藤  雨の降らし方は良かったね。松竹大船の映画の雨
        は優秀だな。『愛と希望の街』(1959年)にし
        ても。

     トム  だけど、篠田正浩は、そうした細部の良さを殺し
        てしまうような演出をしてるんだな。カット割りが
        無節操すぎる。なぜこのカットにつなぐ必要がある
        のかという、その根拠があいまいだし、なんだか映
        画監督として自信がないようにも思える。

     ジルダ  いきなり俯瞰のカットを入れたりしてね。松竹
        ヌーヴェル・ヴァーグとしてもてはやされた監督た
        ちは、吉田喜重、大島渚、この篠田正浩にしろ、映
        画との関わり方がひどく真面目すぎたね。何か映画
        ではない表現手段のほうが向いていたような感じを
        受けるでしょう。

     佐藤  武満徹の音楽は良かったね。この映画の画面に付
        けるにはもったいないくらいだったな。

     三人が出した結論
     『涙を、獅子のたて髪に』が
     映画史に残る確率(21世紀の映画に及ぼす影響度)は
          28%

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      《架空名画座》  きょうの二本立てはこちらです。
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               □ |                   □
                 | 涙を、獅子の    |
               □ |      たて髪に  □
                 |    ×     |
                □ |                   □
                  |   めぐりあい    |
                □ |                  □
                ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
      『めぐりあい』は、恩地日出夫監督作品(1968年・東宝)。
   青春映画ですが、恩地監督のまったくきどりのない演出が、今と
   なっては貴重に思えます。主演は、酒井和歌子、黒沢年男。この
   映画の音楽も、武満徹です。

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  《おわび編集後記》
   これまで日刊でこのメルマガを配信してきましたが、ついに限界が
  訪れたようです。今まで一人で編集・発行を行ってきたために、なか
  なか思うように自分の時間がとれないのが悩みの種となっていました。
   人生とは、もともとままならないものですから、突発的にやって来
  る、様々な日常の出来事にも対処しなければなりません。
   読者のみなさんには申し訳ないのですが、今号からしばらくの間、
  「不定期発行」とさせてください。
   余裕があれば、今までどおり毎日発行する場合もありますが、何日
  も続けて発行できないこともあるかと思います。
   ときどき穴は開きますが、発行をやめたわけではありませんので、
  登録はそのままでいてください。
   どれくらいの期間がかかるかは分かりませんが、態勢が整い次第、
  再び「日刊発行」に戻る予定ではいます。
   どうぞご理解をお願いいたします。
                            代表 佐藤

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  お知らせ
  すでに発行済みの号に間違いがありましたので、訂正します。
 *第25/26号 『突貫小僧』『和製喧嘩友達』は、フィルムセンター
  の資料によると、両作品とも14分とのことです。
 *第25号 「阪本武」は「坂本武」という表記が正しいようです。 
 *第32号 佐藤による発言内の《「おれは、がんばるぞ」とという》は
  《「おれは、がんばるぞ」という》です。
 *第36号 ジョージによる発言内の《「キャロル・ロンバードの夫役を
  別の俳優で取り直す」》は《「キャロル・ロンバードの夫役を別の俳優
  で撮り直す」》です。
 *第43号 『結婚の夜』。モノラル(米語・ポーランド語発声)は、モ
  ノラル(米語・日本語・ポーランド語発声)です。
  以上、お詫びいたします。

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   編集・発行 21世紀映画発見委員会 代表 佐藤学
   Copyright (c) 2005-2006 Manabu Sato. All rights reserved.

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