底抜けラウンドテーブル われら幻の映画を見たり  RSSを登録する

スクリーンに現われては散ってゆく映画という幻を、何とかこの手に握りしめたい。そんな熱い心意気の映画狂たちがお届けする居酒屋談義(ネタバレなし)です。どうぞグラスを片手に気軽にご参加ください。映画の知識が知らぬ間に身につくことをお約束します。

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2006/02/11

第46号

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  □ |   底抜け    □  第46号/2006年2月11日発行
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  □ | ラウンドテーブル □
    |         |   出席者 21世紀映画発見委員会
  □ |   われら    □    代表 佐藤学
    |         |     委員 ジョージ  トム  ジルダ
  □ | 幻の映画を見たり □  
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  *スクリーンに現われては、すぐに消え去ってしまう映画という幻を、
  なんとかして記憶にとどめたい。そんな熱い心意気を持つ同志たちが
  寄り集まり夜な夜な繰り広げる、居酒屋談義の延長のような円卓会議
  です。どうぞグラスを片手に、気軽におつきあいください。

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  The Contents  1.ラウンドテーブル 2.架空名画座 3.編集後記

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   きょうの映画はこちらです。

  『愛と希望の街』
  (Ai to kibo no machi/中国語題名 愛與希望之街
     直訳英語題名 A Street of Love and Hope  
     英語題名  A Town of Love and Hope
     ドイツ語題名 Stadt voller Liebe und Hoffnung, Eine) 
  1959年 日本/松竹大船(Japan/Shochiku Ohuna)
    62分(min/分鐘)
   
  監督 大島渚
  (Directed by Nagisa Oshima/導演 大島渚)
  脚本 大島渚
  撮影 楠田浩之
  音楽 真鍋理一郎
  主演 藤川浩志(正夫) 富永ユキ(京子) 望月優子(くに子)
     渡辺文雄(勇次) 伊藤道子(保江) 千之赫子(秋山)

  35ミリ モノクロ 
  シネマスコープ・サイズ(1:2.35)
  モノラル(日本語発声)
  
  <ネタバレなしのあらすじ>
   川崎の街に、病気の母に代わって靴磨きをする少年正夫の姿があっ
  た。彼には精神を病んだ妹がいた。そまつなバラック小屋での貧乏生
  活の足しにしようと彼が考えたのは、鳩を売ることだった。帰巣本能
  を持つ鳩は、買い手の家から正夫の家に戻ってくるという習性を利用
  した商売である。ある日、京子という少女がその鳩を買い持ち帰った
  ことで、少年は社会の階級格差という事実に直面する。
  
     佐藤  大島渚監督のデビュー作として名高い映画だね。
        見直してみても、最初に見たときとまったく印象は
        変わらなかった。‘松竹ヌーヴェル・ヴァーグ’と
        いう呼称は、始めから映画とはほとんど関係なかっ
        たということを改めて認識したね。単に撮られた作
        品に社会性や政治性が著しく認められるというだけ
        の話で。

     ジョージ  表現のしかたが生硬なのは、この監督の資質
        なんだけど、どこかに、今言った社会的題材さえ提
        示しておけば安泰だというような甘えが見え隠れす
        るんだな。まだ27歳の若さだったからか。

     ジルダ  いかにも問題作っぽく始まるでしょう。川崎の
        街を右へのパンでとらえたりして。でも、悪いけど
        あのタイトル・バックに流れる不条理というか不安
        定な感じの音楽、今聞くとなんだか伊福部昭の『ゴ
        ジラ』(1954年)の音楽みたいに聞こえてしま
        うのよね(笑)。

     佐藤  松竹という会社の枠の中で撮ってるから、あたり
        まえかもしれないけど、大島渚はこの映画を、ほと
        んど破綻のない安定した画面で成り立たせている。
        デビュー作なのに、老人が撮った映画に見えてしま
        うのはぼくだけだろうか。

     ジョージ  撮影は木下惠介映画のベテラン楠田浩之だね。

     佐藤  画面が斜めになったりするのは、エリア・カザン
        の『エデンの東』(1955年)の影響かな。あれ
        が唯一の冒険といえば言えるけど、大島渚はまだ若
        かったのにもかかわらず、ベテランのキャメラマン
        に遠慮してしまったような感じがするね。

     ジョージ  大島渚の映画で初めていいと思ったのは、こ
        の映画のずっと後に撮られた『マックス、モン・ア
        ムール』(1986年)だったけど、それまでのど
        の映画を見ても、何か釈然としなかったな。

     佐藤  この映画もそうだけど、どこか窮屈で息苦しささ
        えおぼえてしまうね。せりふもまるでディスカッシ
        ョンをやってるように長いし。

     ジルダ  このときの大島渚は、演じる役者を見ているよ
        うで見ていなかったんじゃないかしら。

     ジョージ  大島渚が望月優子を母親役に使ったというの
        は、それなりに分かるけど、同じ望月優子を使った
        中川信夫の映画を見ると、監督の力量の違いがまざ
        まざと浮かび上がってきて、同じ女優さんなのかと
        思ってしまうほどだね。

     三人が出した結論
     『愛と希望の街』が
     映画史に残る確率(21世紀の映画に及ぼす影響度)は
          27%

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      《架空名画座》  きょうの二本立てはこちらです。
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               □ |                   □
                 |   愛と希望の街  |
               □ |              □
                 |    ×     |
                □ |「粘土のお面」より □
                  |    かあちゃん   |
                □ |                  □
                ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
       『「粘土のお面」より  かあちゃん』は、中川信夫監督作品
    (1961年・新東宝)。映画的な若々しさにあふれた傑作
     です。ぜひご覧ください。

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  《編集後記》
   今年のベルリン国際映画祭(2月9日から19日まで開催)では、
  中川信夫監督特集として9作品が上映されているようです。4月には
  香港国際映画祭での上映も決まっているとのこと。久しぶりに中川信
  夫監督作品を見たくなりました。しかし先立つものが・・・・・・。
                            代表 佐藤

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  お知らせ
  すでに発行済みの号に間違いがありましたので、訂正します。
 *第25/26号 『突貫小僧』『和製喧嘩友達』は、フィルムセンター
  の資料によると、両作品とも14分とのことです。
 *第25号 「阪本武」は「坂本武」という表記が正しいようです。 
 *第32号 佐藤による発言内の《「おれは、がんばるぞ」とという》は
  《「おれは、がんばるぞ」という》です。
 *第36号 ジョージによる発言内の《「キャロル・ロンバードの夫役を
  別の俳優で取り直す」》は《「キャロル・ロンバードの夫役を別の俳優
  で撮り直す」》です。
 *第43号 『結婚の夜』。モノラル(米語・ポーランド語発声)は、モ
  ノラル(米語・日本語・ポーランド語発声)です。
  以上、お詫びいたします。

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