底抜けラウンドテーブル われら幻の映画を見たり  RSSを登録する

スクリーンに現われては散ってゆく映画という幻を、何とかこの手に握りしめたい。そんな熱い心意気の映画狂たちがお届けする居酒屋談義(ネタバレなし)です。どうぞグラスを片手に気軽にご参加ください。映画の知識が知らぬ間に身につくことをお約束します。

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2006/02/07

第42号

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                第42号

             2006年2月7日発行

              居酒屋映画談義



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                出席者

            21世紀映画発見委員会

               代表 佐藤学

          委員 ジョージ  トム  ジルダ


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   きょうの映画はこちらです。


   『ステキな彼女』

   (Lovable You/Cute Girl)

    1980年 台湾(臺灣/Taiwan)

       89分(分鐘/min)

    監督 ホウ・シャオシエン

    (導演 侯孝賢/Directed by Hsiao-hsien Hou)



     佐藤  侯孝賢33歳のときのデビュー作だね。これを見

        て、後の彼の映画の進展ぶりを予想できた人なんて

        一人もいないんじゃないだろうか。

     ジョージ  昔は日本映画にもこの種のものがたくさんあ

        ったよね。アイドル映画が。この『ステキな彼女』

        もなんのてらいもない娯楽映画で、終わってしまう

        のが惜しいくらいの楽しさだね。

     ジルダ  中国語で「恭喜發財」(お金もうけができます

        ように)というエンド・タイトルが出たところをみ

        ると、お正月(日本の旧正月)に封切られたのかも

        しれないね。

     佐藤  台北の財閥の娘パン・ウェンウェン(フォン・フ

        ェイフェイ)は、父親の決めた相手との結婚に悩み、

        田舎のおばを訪ねていくんだけど、そこで測量技師

        のクー・ターカン(ケニー・ビー)と出会い、二人

        は恋心をつのらせていく。

         まあ、よくある話だけど、侯孝賢が撮ったという

        だけで、なぜこれほどおもしろくなるんだろうか。

     ジョージ  侯孝賢はおそらく、出演者を映画に乗せるの

        がうまい人なんだと思うな。大人から子供まで、い

        ろいろな人物が出てくるけど、見ている観客はすん

        なりと彼らに同化できるでしょう。

     ジルダ  ヘビに咬まれたケニー・ビーをめぐって大騒ぎ

        になる田舎のシーンなんか、ちょっと1970年代

        の香港のカンフー映画っぽく見えるね。役者たちの

        芝居がにぎにぎしく猥雑で。

     佐藤  そうした芝居をとらえるのに、この映画ではかな

        りズームが使われているんだけど、ズーム嫌いのぼ

        くが許してもいいと思うほど、生き生きとした画面

        になっているのにはまいったなあ。

         出だしの台北の路上シーンから、もうズームだら

        けでしょう(笑)。

     ジョージ  今思うと、1970年代の日本映画にも、そ

        の手のだらしなくも猥雑な、たとえば鈴木則文の『

        トラック野郎』シリーズ(1975〜79年)のよ

        うな映画がいっぱいあったけど、そんな批評家が見

        向きもしないようなものが、映画を底から支えてい

        たことは間違いないよね。

     ジルダ  ほんとに、この『ステキな彼女』みたいな気楽

        に見れる映画が少なくなったのは事実ね。

     ジョージ  田舎道でケニー・ビーが座頭市のまねをした

        ところは、ちょっとビックリした。

     ジルダ  そういえば、テープレコーダーや電話を使った

        ギャグがあったりして、この映画の脚本を書いた侯

        孝賢はかなりのアイディア・マンだと言えるわね。

     佐藤  フォン・フェイフェイがミュージカル映画のよう

        に歌ったりするのも良かったけど、ケニー・ビーの

        幻想として描かれる砂浜での決闘シーンが、ちょっ

        と唐突でおもしろかったな。



                 三人が出した結論

          『ステキな彼女』が映画史に残る確率は?

                 86%



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              《架空映画館》



          きょうの二本立てはこちらです。


                         __________
               □ |                   □
                 |   ステキな彼女   |
               □ |      ×      □
                 |          |
                □ |ファースト・デート □
                  |    夏草の少女 |
                □ |                  □
                ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


         『ファースト・デート 夏草の少女』は、見た方は

      少ないと思いますが、1950年代後半の台北を舞

      台とした青春映画の佳品(1989年、台湾=アメ

      リカ)です。ピーター・ワン監督の自叙伝的作品で、

      この映画を見ると、侯孝賢監督の映画を見たときと

      同じように、台湾に行ってみたいと思うはずです。

      わたしは実際に行ってきました。



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