電子公告制度とその実務対応  RSSを登録する

会社の法定公告(募集株式発行、株式分割など)が官報、日刊新聞紙に加え、電子公告(インターネット)が選択できるようになりました。コストダウン、ディスクロジャーに最適であるこの制度について、概要、導入、実施、電子公告調査等についてその実務対応を紹介します。

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2008/01/28

新会社法とその実務対応 No.45

━━☆ 2008/01/28  ☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  ☆ ━

       ★☆★  新会社法とその実務対応  ★☆★

    「商法改正とその実務対応」からタイトル変更しました!!!

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  [ No.45 ] ━★━

★今号のあらまし

 ○ 所在不明株主の株式売却制度

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● 所在不明株主の株式売却制度

 いただいたご質問に対して、Q&A形式に編集してみました。読者の皆様方の
参考になれば幸いです。

***今回のQ&Aです***

Q:2009年1月より「株券の電子化」が始まりますが、上場企業の対応の一つと
して、さしあたり所在不明株主への対応がクローズアップされているようです。
その理由や具体的な対応、公告の実施等について教えてください。


A:来年2009年1月より、いよいよ株券の電子化が実現され、上場株式が電子化
(ペーパーレス化)されます。すでに株券を証券会社を通じて証券保管振替機構
(通称:ほふり)に預託していれば株主としての権利が保護されますが、ここで
問題になるのがタンスに眠る株券(いわゆるタンス株券)や所在不明株券です。

 昨年2007年3月末現在の日本証券業協会の調べでは、実にその数は約479億株!
これほど膨大な数にのぼる株券が個人の自宅や会社に眠っているのです。
 具体的な会社名を挙げますと、例えば、新日鉄のような老舗会社では、配当金
や株主総会のお知らせを送付しても、宛名知らずによって戻ってきてしまう所在
不明株が全体の約5%もあるとか・・・

 ところで、大切な株券なのに「所在不明株主」が出現してしまうのは、そもそ
も何故なのでしょうか?
 その理由は「株券の名義書換をせずに、他人名義のまま放置している場合」や、
「本人名義でも、住所変更等の手続きを行っていない場合」など、様々なケース
が想定されます。

 上場会社にとっては、音信不通となっている「所在不明株主」であっても、株
主名簿に記載がある以上、発行会社としてはこのまま無視するわけにもいかず、
株券電子化に伴って“ほふり”に株券を預託していない株主の権利保全のための
〔特別口座〕の開設・記録手続きは行わなければなりません。また、株券電子化
以降は各会社が“ほふり”の専用システムに株式を電子的に登録し、管理費を負
担しなければならなくなり、かなりの経費や事務負担が必要となる可能性が高い
と言えます。

 そこで必須となるのが、所在不明株主の株式売却制度です。会社法第196条か
ら第198条にその定めがあります。

 まず、会社法第196条第1項において「株式会社が株主に対してする通知又は催
告が五年以上継続して到達しない場合には、株式会社は、当該株主に対する通知
又は催告をすることを要しない」としたうえで、その後の措置として、第197条
に定めをおいています。

 具体的には、通知又は催告が五年以上継続して到達せず、その株式の株主が継
続して五年間剰余金の配当を受領しなかった場合は、下記の方法のうちいずれか
をとることができます、

●該当する株式を競売し、その代金をその株式の株主に交付する。
●競売に代えて売却し、その代金をその株式の株主に交付する。
●売却する株式の全部又一部を発行会社自身が買い取ってしまう。

 以上の措置をとるに先立って、所在不明株主その他の利害関係人に対して一定
の期間内に異議を述べることができる旨その他の法務省令で定める事項を公告し、
かつ、当該株主(登録株式質権者含む)には各別に催告しなければなりません。
 なお、一定の期間については「三箇月を下ることができない」とされており、
電子公告にて公告を実施される場合は、公告期間は3ヵ月以上ということになり
ます。(会社法第198条第1項)

 具体的に、公告事項についても下記のとおり、参考までに挙げておきます。
(会社法第198条第1項、会社法施行規則第39条)
○異議申述ができる旨
○競売対象株式を競売又は売却する旨
○競売対象株式の株主として株主名簿に記載又は記録がされた者の氏名又は名称
 及び住所
○競売対象株式の数
○競売対象株式につき株券が発行されているときは、当該株式の番号


 上記の期間内に利害関係人の異議がなかった場合は、当該株式に係る株券は、
当該期間の末日に無効となります。(会社法第198条第5項)
 法定上では、競売や売却が可能となり、その代金は元の株主に支払うことにな
りますが、そもそも元の株主は所在不明であり、代金を支払うことが困難である
ことが多いと思われます。実際には、公告後に異議のなかった株式については発
行会社が買い入れ、その際に会社が拠出する現金は信託銀行の口座で10年間保管
します。元の株式所有者は株主の権利を失いますが、10年以内に名乗り出れば現
金は返してもらえます。もしも、10年以内に株主が現れなければ債権の消滅時効
が適用され、現金は発行会社の雑収入になります。


 実際に、所在不明の株主の株式を買い入れて現金化する動きがすでに広がって
きています。昨年2007年3月末までに新日鉄、文化シヤッター、凸版印刷が現金
化しましたし、また、自社のホームページで株主に注意喚起する上場企業も少な
くないようです。

 ちなみに、現在、所在不明株主への異議申述公告を行っている会社の電子公告
の概要をご覧になりたい方は「法務省電子公告システム」にて検索ができます。、
こちらにアクセスしていただき、検索語欄に表示されている文字を消したうえで、
会社法の条文「198」を半角にてご入力ください。一覧表示されます。
 アドレスは下記です↓
http://e-koukoku.moj.go.jp/


 さて、所在不明株主への異議申述公告の概要について少しは理解を深めていた
だけましたでしょうか? 株券電子化への第1ステップとして、皆様の1日も早い
ご対応をおすすめいたします!


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「新会社法とその実務対応」No.45  2008年1月28日発行 (不定期刊行)
 E-Mail: magazine@office-doi.com URL: http://www.officedoi.com/shouhou13/
 編 集 者:司法書士 泉水  悟 (Satoru Sensui)(兵庫県司法書士会会員)
      司法書士 鈴木 浩巳 (Hiromi Suzuki)(兵庫県司法書士会会員)
      司法書士 土井 万二 (Manji Doi)(大阪司法書士会会員)
  発 行 者:土井 万二
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