2009/09/18
【本から峠 No.276】怨霊と鎮魂の日本芸能史
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ □□ □□ □ 本から峠の向こうの明日を見よう! 第276号 □ □□ □□ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 芸能史って言うと何を想像されますか? 歌舞伎が一番最初に出てくるのですが、それをたどっていくと 神楽までさかのぼると言われています。 今日は、そんな日本の芸能が何に影響を受けてきたかをちょっと 違った角度からひもといた本の紹介です。 ----------------------------------------------------------- ●子供達の世代に残してゆかないといけないもの そんな想いで「世界遺産ブログ」はじめました …→ http://blog.livedoor.jp/sekaiisan_navi/ ------------------------------------------------------------ ────────────────────────────── ■ 怨霊と鎮魂の日本芸能史 井沢元彦 ■ ────────────────────────────── 芸能とは、本来、神を讃え慰めるものでした。 その原形を一番良く残しているのが神楽です。 神楽は、演者が神に扮し、悪鬼に扮する演者を叩きのめす神への 賛歌なのです。 芸能は、神に奉納するものであったため、もともとは演者は神の いる神殿に向かって演じていました。 やがて、見物客が神からお客様に変わります。 神事から興行に変わってゆくのです。 神楽のスポンサーは、社寺です。芸能が社寺から独立した仕組みが 興行なのです。 そして、能こそ、このシステムの中で出来上がった芸能であります。 ◎怨霊信仰 日本は、怨霊信仰の国です。最もポピュラーなのは菅原道真です。 道真は、宇多天皇の藤原氏抑制策の一環として、学者の身であり ながら、右大臣に抜擢された人物です。 でも、藤原時平の陰謀によって、九州大宰府に流され憤死して しまいます。 それから、ほどなく宮中に雷が落ちたりする、不幸な出来事が たくさん起こったので、人々は、道真の怨霊のしわざと考えました。 そして、道真を天神として祭り上げ怨霊の鎮魂を行ったのです。 この国は、本来、平和なはずです。なぜなら、神の子孫である 天皇がこの国と人々の平和を祈っているからです。 でも、それでも、地震、疫病、不作といった災厄がおこります。 それは、怨霊がいるからというのが昔の人の考えだったのです。 だから、悪霊を祭り上げて、逆に人々を守ってくれる善神に なってもらうために鎮魂することには大きな意味があったのです。 ◎平家物語も怨霊鎮魂の書 平氏は、栄華をきわめますが、源平合戦のすえ、一族は海の藻屑 と消えてしまいます。 そして、彼らは強い悪霊に変わります。 平家物語は、文字だけでなく、琵琶の音とともに音で聴く 物語でもありました。 だから、よりたくさんの人々が聞き、それが鎮魂につながったのです。 ◎源氏物語も怨霊鎮魂の書 源氏物語は著者は、紫式部。中宮(天皇の奥さん)彰子付の女官 です。彰子は、藤原道長の娘です。 源氏物語の内容は、天皇の皇子でありながら、源氏となった (これは臣籍降下と言って、皇族でなくなることです。) 若者が、右大臣家を圧倒し、勝利を収める物語です。 この右大臣家のモデルは、どう考えても藤原氏です。 藤原氏は、娘を皇后にして権力を握っていました。 そして、そのライバルが源氏だったのです。 藤原氏は、源氏を追い落とします。 当然、そこには怨みがたくさん残っていますから、これを 鎮魂しないといけない。さもないと祟られるからです。 だから、藤原氏側で源氏を勝たせるような物語を作ったのです。 ◎能による鎮魂 平家物語が、音でたくさんの人々に伝えたのに対し、さらに 一歩進んで、映像として鎮魂を行ったのが能です。 ただ、ここで、怨霊の鎮魂のため怨霊を演じたために、霊に 取り付かれるということが起こります。 そして、それを回避する方法として面を着けるようになったの です。 さらに能を芸術の域に引き上げた世阿弥は、夢幻能を考え出します 夢幻能は、怨霊が主人公の能です。 怨霊の化身が現れ、過去の事跡を語ります。そして、法師に鎮魂 されて帰ってゆきます。 怨霊を呼び出して、きちんと鎮魂して帰すロジックを夢幻能で 確立したのです。 ────────────────────────────── □ たけみつの言いたい放題 □ ────────────────────────────── 漫画の「陰陽師」を読んでいるとたくさんの怨霊が現れます。 そして、どれほど怨霊を恐れていたのかもよく解ります。 できるだけたくさんの人々に鎮魂してもらうことで、より強い怨霊 の力を鎮めることができると考えたのでしょうね だから、音を使い、さらには映像を用いて、よりたくさんの人々の ところに届けたのでしょう? それは、たくさんの人々が怨霊となった人の怨みのもとを知っていた ことの裏返しかもしれません。 日本には、「お天道様に顔向けができない」という言葉があります 常にお天道様は見ているのです。 目には見えない何かとの繋がりを常に感じている。 日本人にはそういうところがあると思うのです。 ────────────────────────────── ■編集後記 ■ ────────────────────────────── 明日から、5連休です。帰阪して、自宅で家族とゆっくり過ごそう と思っています。彼岸なのでお墓参りにも行こうと思っています。 そういえば、日本人ほど先祖のお墓にお参りする民族はいないそう です。 無意識のところで先祖との繋がりを感じているのかもしれません 晴れたらいいなぁ~ ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 本日も、おつきあい頂きまして、ありがとうございました これからも、ご愛読よろしくお願いします。m(_ _)m メルマガの感想やご意見など、ぜひぜひお寄せ下さい。 いつも、お寄せいただくメールに元気を頂いています。 ────────────────────────────── ◇今日の1冊情報 題 名:怨霊と鎮魂の日本芸能史 著者:井沢元彦 出版社:檜書店 ISBN978-4-8279-09784 アマゾンのリンクです-> http://tinyurl.com/kw9bu9 ────────────────────────────── 発行者: たけみつ(武田 光司) 連絡先: takemitsu07@gmail.com 本から峠の向こうの日本をみよう! 発行システム:『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ 配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000177710.html ──────────────────────────────


