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2009/10/27

◆進券ゼミ◆ 本編52号 データ分析する前に

     ■進券ゼミ☆中級講座---競馬必勝法作成術■
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  2009年10月27日

○本編52号 データ分析する前に


こんにちは、とくさんです。


ものすごい長文になってしまいました。
結論部分だけ先に書きましたので、残りの部分は
ヒマなときにゆっくり読んでいただければと思います。


科学哲学を切り口に
競馬データについて語ろうとしたのですが・・・
なかなか難しいですね。


下に紹介するサイトの文章を読んで感激し、私も

「数字の羅列をいじるよりも大切なことがあるのだ!」

と書いてみたくなったのですが、寺田さんのような
迫力のある文章にはならなかったようです。


寺田寅彦『量的と質的と統計的と』
http://www.aozora.gr.jp/cards/000042/files/2350_13816.html




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10章の要点 データ分析する前に
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【要旨】

データ分析よりも先に、

1.競馬社会やレースで起こる様々な出来事の間の
  因果関係を正しく把握すること

2.その正しい把握のためにルールや生態についてよく学ぶこと

が大事である。



【本文】


さて、前回から競馬データ分析について書いています。

正確に語る必要のある事柄や、数式を使った説明が
必要な事柄は専門書に譲るとして、


私はデータ分析に際して念頭に置くべきこと、
それを知っておくと無意味なデータ分析をしなくて
済むかもしれないこと、について2つ書きます。




1つ目は、

『因果関係の勘違いに注意する』

ことです。


最近では、
他の人の競馬データ分析の結果を見て、

それを鵜呑みにせずに、


「過去の傾向はわかったが、
 なぜそのような傾向が生じたのか説明不足だ。
 その過去の傾向は単なる偶然にしか思えないから、
 未来のレース結果を予想するためには使えない。」


という批判ができる人がずいぶん多くなりました。


また、ある傾向が生じる理由についての説明を受けて、


「その説明は間違っている。」


という批判ができる人も多くなりました。



例を挙げて考えてみましょう。


----

たとえば、データ分析の結果、


「夏は牝馬が活躍する。」

という過去の傾向を発見できたとしても、


その過去の傾向が、未来のレースにおいて、
「夏に牝馬が活躍すること」を、直接に保証する
ことはありません。



一定の傾向が生ずる合理的な理由があってはじめて、
その傾向が未来においても観察でき得ると判断できるのです。



具体的には、


「牝馬は夏負けに強いから、夏は牝馬が活躍する。
 実際に過去のデータを見ても、夏は牝馬が活躍している。」


「繁殖時期のちょうど中間の時期であり、心身ともに安定して
 いるから、夏は牝馬が活躍する。実際に過去のデ(以下同文)」



というような合理的理由に基づく説明があってはじめて、
未来のレースにおいても同じ傾向が続くかもしれないと
予想できます。




もっとも、この説明は正しくないと批判することも可能です。


「上2つの説明はインチキだ。
 単純に考えて、平坦コースでの開催が多いからこそ、
 夏は牝馬でも活躍できるのだ。実際に過去のデ(以下同文)」


のような批判を加えることもできるでしょう。

----



「ある一定の傾向の存在だけでなく、
 その傾向が生じる因果関係を合理的に説明できないと、
 その傾向は、未来のレース予想には役立たない!」


「その説明がインチキである場合にはもちろん役立たない!」



なるほど、正しい主張です。



しかし、こう主張できる人も、


『では、どうすれば因果関係を勘違いせずに済むか。』


その問題解決策を尋ねられると、おそらくほとんどの人が
答えられないのではないでしょうか。


因果関係をどのように考えるかは難しいですね。


「より深く考えれば、おのずと因果関係がわかるのではないか?」



そう考える方もいるかもしれませんが、
そんなに単純な問題ではありません。



下のニュース記事をご覧下さい。


犬に吠えられやすい人に共通する特徴って?
http://www.excite.co.jp/News/bit/00091212417958.html


犬は「自分が吠えたから」郵便配達員が立ち去ったと
思い込んでいる、という説明が面白いです。

どう考えても、彼らは「用事が済んだから」立ち去ったと
考えるのが正解ですよね。

犬に吠えられたから立ち去ったのではありません。



あなたは、

「あのヘルメットを被った人達は、いろいろな家に荷物を
 届けることで生計を立ている人達である。
 決して怪しい人ではない。したがって、
 荷物を届ける仕事が完了すれば、吠えなくても
 彼らは帰ってゆく。だから、吠える必要はない。」


ということを犬達が理解する日は来ると思いますか。


どんなに賢い犬でも、前半部分までは理解できないでしょう。


犬の立場から人間の営みについていくら考えてみても、
その因果関係を十分に理解するのは不可能です。


同様に、

私達が一競馬ファンの立場で、馬という生き物について、
また、競馬の何たるかについて、どれだけ深く考えてみても、
因果関係を完全に理解するのは困難でしょう。


必ず、自分の都合に合わせて勝手な理解をしている
事柄があることと思います。


「自分の立場を変えずとも、突き詰めて考えれば正解に
 たどり着く。」


というのはウソです。


これは、「認識」にまつわる問題であり、データ分析
というより哲学の問題です。


人間は必ず何らかの先入観をもって物事を認識するため、
物事の本質を純粋に認識することはできない、という
類の問題なのです。


犬のたとえ話を常に頭の片隅に置いて、競馬について
考える必要があるでしょう。


もっとも、犬のたとえ話自体が人間の先入観によって
作られたものかもしれませんけれども。




さて、問題が明らかになったところで、

『競馬において、因果関係を正しく理解するための
 現実的な方法』

を次に考えます。本日2つ目のテーマです。



一番の解決策は、馬になりきることですが、
それは不可能です。

騎手や調教師になること、も解決策のひとつ
ですが、それでは馬券が買えなくなってしまいます。


私が提案する解決策は、

『ルールと生態についてよく学ぶこと』

です。


競馬施行のルール、馬の生態、競馬社会の慣習、競馬関係者の
仕事の内容などについて、根本から徹底的に学ぶことです。


幸いにも、競馬は人間が作った法令に基づいて施行されます
から、私が人間であることに起因する先入観は、致命的な
問題にはなりません。


したがって、他人の競馬観(つまり先入観)を排除することが、
ルールと生態について学ぶ際にとりわけ重要となります。


競馬本や新聞の予想コラムに書いてある説明を疑ってみること
から始めるのが良いでしょう。



ところで、

私は、データ分析よりも先に、ルールと生態について学ぶこと
が必要だと考えています。



なぜなら、ルールから個々のデータを導き出すことはできても、
その逆、つまり、個々のデータからルールを導き出すことは
出来ないからです。



競馬の例を挙げます。


過去のレース結果についてデータ分析をすると、
芝1200メートル戦はだいたい1分10秒くらいの決着であることが
わかります。



しかし、たとえレースタイムのデータを何万件集めたとしても、
それらの分析結果から


「騎手は、競走において、馬の全能力を発揮させなくてはならない。」
(日本中央競馬競馬施行規程 第111条)


というルールの存在を直接に導き出すことはできません。



『データからルールを導き出すことが出来ない。』

というのはそういうことです。




しかしながら、


111条のルールを守るために、騎手は競走馬を全力で走らせる。

 →よって馬は全力で走る。

 →したがって、
  馬の筋力、斤量やコース形態、馬場状態などを考慮すると、
  芝1200メートル戦のタイムは約1分10秒になる。


と導くことはできます。


『ルールからデータを導き出すことはできる。』


というのはそういうことです。



もうひとつ、ちょっとたとえは悪いですが、仮に
あなたが地球のことを何も知らない宇宙人だとしましょう。


それで、日本人が自動車を運転できるようになる年齢、
について調査を命じられたとします。


これは地球上に降りて、日本人と会ってルールを教えてもらえば
すぐにわかることです。


しかし、偵察衛星からの画像データ解析によって、その年齢を
知ろうとすると、それは相当困難ではないでしょうか。


どんなに画像の解像度が高くても、明確な結論は出せないでしょう。

普通自動車にしろ二輪車にしろ、運転者の年齢層は幅が広すぎます。



たとえ何万人の画像データを調べても、

「自動車の運転者の年齢は、10代後半から90歳代まで幅広い」

ということしかわかりません。



「普通免許18歳以上。普通二輪免許16歳以上。」

というルールの存在を、データ分析から直接に導くことは
できません。



テレビやラジオの電波を傍受してもわからないと思います。


「お酒は二十歳になってから。」

というCMは見たことありますが、



「クルマは免許取ってから。」

なんてCMは見たことも聞いたこともありませんから。



ルールが当たり前であればあるほど、部外者の立場から
観察することによって知るのは難しいのでしょう。



何も知らない宇宙人でも、
データ分析を進めるうちに、ルールの存在に気づくはずだ、

と思う方もいるかもしれませんが、



それはあなたが、

「人間の生活が人為的に作られたルールに縛られていること」

をあらかじめ知っているからこそ気づくことができるのです。




宇宙人にルールという概念がなければ、ルールの存在には
気づくことができないでしょう。



もし、ルールの概念がない宇宙人が、データ分析のみによって、
日本人が自動車の運転を開始する年齢について考えたとすると、

まったくバカバカしい議論が展開されるに違いありません。



A博士:「日本人は16歳で股関節が丈夫になるから、
     自動二輪車に乗り始めるのです。

     子どもの頃は柔らかかった関節も、
     大人になるにつれて硬くなってくるようです。
     偵察衛星が傍受したテレビCMでも、
     そのように言っていました。」


B博士:「異議あり! 二輪車なら4歳の子供でも乗っている。
     そのことをどう説明するのだ?」


A:「あなたが仰っているのは自動車ではなく、自転車です。
   自転車はスピードがあまり出ません。」


B:「乗り物のスピードと股関節の硬さに何の関係があるのだ?」


A:「お答えしましょう。

   二輪車に乗るときは開脚姿勢になっていますね。

   私たちが最新の観測機器を使って、データに
   基づいて試算したところ、

   4歳児が時速60キロであの姿勢をとると、
   空気抵抗で太ももがちぎれる恐れのあることがわかりました。

   16歳くらいになると、股関節が丈夫になり、その恐れが
   なくなるのです。」


B:「いかにももっともらしい事を言うが、まったく間違いだ。

   そもそも日本人が自動車に乗るのは一種の性適応、
   つまり、異性にモテるためなのだ。

   日本人は18歳くらいで生殖器が完成するというデータがある。

   この年齢は、普通自動車を運転し始める年齢と見事に
   合致している。」


A:「それは偶然ではないですか?

   それに16歳で自動二輪車を運転し始めるという
   データと矛盾しますが、どう説明するのでしょうか?」


B:「私はここで大胆な仮説を提唱したい。

   日本人は生殖器の発達に合わせて、運転する乗り物を
   切り替えるのだ。

   自転車から自動二輪、そして普通自動車へと!」


A:「・・・C先生、いかがでしょうか?」


C博士「君たちは、股間のことしか頭にないようじゃのう。

    科学者がそれではいかん。
    物事はもっと多角的に考えねばならん。」


A・B:「申し訳ありません。」


C:「つまりだな、問題の本質は
   車のミラーの数と脳の情報処理能力なのじゃよ。」



などと、インチキな議論が延々と続くことでしょう。




どんなにデータ分析の技術が高くても、個々のデータから
直接にルールを導き出すことは出来ません。


したがって、データ分析の技術を学ぶより先に、
ルールについて学ぶ必要があるのです。



かなり長くなりましたが、まとめると、


データ分析よりも先に、

1.競馬社会やレースで起こる様々な出来事の間の
  因果関係を正しく把握すること

2.その正しい把握のためにルールや生態についてよく学ぶこと


が大事である、という結論になります。




おわりに。


かつて、菊池寛は『我が馬券哲学』の中でこう言いました。


----

一、サラブレッドとは、いかなるものかも知らずに馬券を
  やる人あり、悲しむべし。馬の血統、記録などを、
  ちっとも研究せずに、馬券をやるのはばくち打ちである。

----


菊池寛『我が馬券哲学』
http://www.jra.go.jp/topics/column/etc/tetsu.html


私は、この一節は心構えを説いたものだとばかり思っていました。


しかし、よく考えてみると、この一節は単に心構えを説いたもの
ではなく、競馬予想の本質を説いたものだったのだと気づかされた
のでした。



「ルールや生態についてよく学ぶことの大切さ」は、すでに
70年以上も前に説かれていたのです。



新たな解釈とは、新たな知識が身についてはじめて出来るもので
あります。



「自分の立場を変えずとも、突き詰めて考えれば正解に
 たどり着く。」

というのはウソだ、と先ほど書きましたが、



【自分の立場は変えられなくても、新たな視点を持って、
 突き詰めて考えれば正解にたどり着くかもしれない。】


そういう希望は、私も持っています。



私は、まだまだ競馬について勉強を続けたいようです。


次回は第11章(終章:競馬必勝法作成術)の要点を書きます。





(補足説明)

『個々のデータからルールを導き出すことは出来ない』

ここで言うルールとは、明文化されているか否かを問わず、
人々が意識的に従っている、人為的に作られたルールを指します。


データからルールを導き出すことはできないと思うんですけどね。


イマイチ歯切れが悪いのは、この主張には裏付けがないからです。
個人的な経験からなんとなくそう思う、というレベルに留まる
からです。


もちろん、無機的な物質の運動については個々のデータから
物理法則を求めることが可能でしょうし、


動物の行動についても、個々のデータから
『犬の群れの中では個体間の序列がある』
というような規則を生物学的解釈に基づいて考え出すことが
可能なのでしょう。


可能だからこそ、物理学や生物学が学問として成立しているの
だと思います。


しかし、人間の意思で作られたルールを、個々のデータから
導くのは、やっぱり不可能だと思うんですよね。


人間の行為規範や行為の目的というのはデータ分析してみても
わからない、というのが日常的な感覚であるはずだからです。


「あの人はなぜあんな行動をするのか」

「一体あの人は何を考えているのか」


それらはデータ分析から知ることはできないでしょう。
少なくとも、本人に話を聞いてみないと本当のところを
知ることはできません。


いや、できるのかな?
どうなんだろ。


どんなことを学べばこの問いに対して明確な答えが
出せるのでしょうかね?


その辺は勉強不足でよくわかりません。


詳しい方がいらっしゃれば、ぜひ教えていただけませんか。


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