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2008/10/06

■□プレ鬼!第5号 〜 だけどなんで、プレゼンするんだっけ・・・□■

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研修とコンサルティングの株式会社チェンジ Presents

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『プレ鬼!』第5号:だけどなんで、プレゼンするんだっけ・・・
(プレゼンテーションの鬼!)

プレゼンテーション、好きですか?
プレゼンテーション、得意ですか?
好きな人も嫌いな人も、得意な人も苦手な人も。
プレゼンテーションの鬼の指導を受けて、一段上に抜け出そう。
プレゼンテーションの鬼!

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読者の皆さま

こんにちは。株式会社チェンジの鈴木菜穂子です。
この頃めっきり寒くなってきましたね。
皆様風邪などひかれていませんか?

さて、今週も中島さんの登場です。
若手社員の中島さん(25)は、プレゼンが苦手でした。
見かねた彼女のカオリさんに紹介されて、謎の道場に通い、
鬼の指導を受けながら、自信もついてきたようです。

・・・が、また落ち込んでいるようですよ。

第5回のテーマは、『だけどなんで、プレゼンするんだっけ・・・』
プレゼンが得意な方も、実はちょっと苦手な方も、
お楽しみ頂けると幸いです。

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◆◆◆プロローグ:朝の電車にて◆◆◆

中島は、大きくため息をついた。
その息で、通勤電車の窓ガラスが少し曇った。

初めて鬼を訪ねた、あの暑い日以来、中島はぐんぐんプレゼンに
自信がついてきた。
以前はしかられてばかりだったが、このところ、花沢課長も会議や
セミナーでの説明を任せてくれるようになった。

そして中島は、下期の取り組みについて、お客様に説明をするよう
指示された。
鬼に教わった通りに準備を進めてきたが、今回はどうしても気が重い。

「俺、疲れてんのかな・・・」
ぼんやりした中島を、乗客の波がホームへと押し出した。


◆◆◆悩みその5:だけどなんで、プレゼンするんだっけ・・◆◆◆

「そうか、気が重いのか。」
「はい。教えていただいたことは全てやってみて、まあ順調に
準備は進んでいるんですけど、でも気が重いんです。」
「そうか。気にかかっていることは何だ?」
「それがよくわからないんです。」

鬼は腕を組み替えた。

「なぁ中島。落ち着いてよく考えて、答えてくれ。君は今回のプレゼン
を聞いて、お客さんがどんな気分になると思う?」
「それは・・・」

中島は答えに詰まった。
説明するよう指示されている内容は、お客様にとって予定よりも
大きい負担を強いることだったからだ。
反発されたり、不愉快にさせるだろうな、と中島は思った。

「それが原因だよ。」
鬼は静かに言った。


◆◆◆答え1:メリットは?◆◆◆

「プレゼンをしないわけにはいかないのか?課長に言ってやったら
いいじゃないか。」
「そんな、逆らったりできません。」
「内容に納得いかないんだろ?そんなプレゼンやめちまえ。」
「でも、うちの会社とお客さんとで契約が交わされたことなんです。
僕の立場では、いかんともしがたいことなんです・・・」

しばらく、鬼は黙っていた。

「中島、プレゼンテーションっていうのはな、良いと自信を持って
自分が伝えられることで、なおかつ相手のためにもなると信じられる
ことを伝えるための作業なんだ。相手のメリットがないプレゼン
なんて、する価値がない。」

中島は、何もいえなかった。
そう言われたって、上で決まったことを覆せるだけの力のない自分が
歯がゆかった。

「本当に、君がプレゼンする相手にとって、今回君が伝える事柄には
何のメリットも無いのか?見つけられないか?捉え方を変えたら、
プラスになる事柄は無いのか?」
「・・・」
「今、予定より大きい負荷を追ってもらうことが、もしかしたら
半年、1年後にプラスになるかもしれない。君の今の考えではマイナスに
受け止められることも、お客さんから見れば実はプラスかもしれない。
落ち着いて、よく考えてみるんだ。」

中島は、涙を拭いた。

「プレゼンテーションは自分と相手の両方にメリットがないとダメだ。
相手にとってよくない事柄を伝えなければいけないときでも、メリット
を考え抜くんだ。そしてそれを軸に伝えるんだ。」
「・・・はい・・・」
「さぁ中島、資料を見せてくれ。一緒に、お客さんのメリットを考えて
みようじゃないか。」


◆◆◆答え2:意味のある仕事か?◆◆◆

鬼はその後、2時間かけて中島にアドバイスをした。
これまでの経緯やお客さんの立場、自社の側としてどうしても伝え
なければならない内容を踏まえて、資料や台本を書き直した。

鬼に手伝ってもらって整理しなおすと、自分が説明する内容がお客さん
にとってもプラスになるような気がして、中島は少し安心した。

「なぁ、中島。」
「はい。」
「自分の伝える内容に自信が持てないんだったら、そんなプレゼン
やめろ!・・・っていっても、まぁ、色々あるよな。」

鬼はメガネを拭きながら、続けた。
「プレゼンっていうのは、自分の考えや気持ちがはっきりするいい機会
なんだ。自分が説明する内容について、自信があるのか。それはなぜ
なのか。相手にとって本当にメリットがあるのか、相手から奪うだけの
企画なのか。それが嫌でもはっきりするんだ。そこをつきつめないと、
プレゼンなんてできないんだ。」
「はい。」

「プレゼンの準備をしながら、これはお客さんのためにならない、と
思ったら、そんなことをしなきゃいい。もう一度考え直せばいい。
自分と相手にとって意味のある仕事ができているか、プレゼンを通して
確認できるんだ。」

そうか、意外とプレゼンって深いんだな。
そう思いながら、中島はメモ帳を開いた。

「とはいってもだ。君はまだ若い。自分の権限で変えられる範囲はまだ
小さいだろう。そんなときでも、相手にとってのメリットを考えて、
それを中心に伝えていくことができるんだよ。」
「はい。」

「君は今日、歯がゆい思いをいっぱいしただろう。」
中島は黙ってうなずいた。

「君が経験を積んで、力をもっとつけて、権限が増えていけば、君の
判断で変えられる領域はどんどん増えてゆく。君自身が納得のいく仕事
ができる機会だって増えていくはずだ。だから・・・」

鬼は、じっと中島を見据えた。
「がんばれ。」

はい、と言おうとしたが、声にならなかった。

「今日で道場は卒業だ。おめでとう。君は一人前のプレゼンテーション
ができるようになった。だがこれからが、君の本当の第一歩だ。
どう仕事をしていくか、どう生きていくのか。楽しみだよ。」
鬼は、ニヤリと笑った。


◆◆◆エピローグ:夜の電車にて◆◆◆

中島は7人がけの端の席に座ることができた。
郊外へ向かう夜の電車はいつも通り混みあって、ピリピリした雰囲気
だったが、中島の心は軽かった。

その日、中島はお客様に下期の取り組みをプレゼンテーションした。
鬼と作り直した資料を基に、鬼にアドバイスしてもらった台本を使って、
これまで身に付けたことを思い出しながら、懸命にプレゼンした。

最初は苦々しい表情だったお客さんも、次第に柔和になってきた。
「わかりました。厳しい状況に変わりはありませんが、希望も見え
ました。これからも一緒にがんばっていきましょう。」
先方からこう言われ、中島は本当にほっとした。

「中島くん、ありがとう。うまく説明してくれて。もうすっかり
一人前だね。」
花沢課長がビールを注ぎながら、褒めてくれた。

中島はにやっとしながら、こう思った。
「プレゼンテーションの鬼、どうもありがとう!
・・・ところで、あの人誰だったんだろう?」

2048年秋。
東京郊外のマンション。
「ただいまー」
クローゼットを開けて、男が出てくる。

「もう、靴のまま部屋に入らないでって言ってるじゃない!」
「あ、ごめん。やべっ、忘れ物。」
男はクローゼットの奥の小さな扉を開けた。
そこには、プレゼンテーションの鬼の道場が広がっていた。

「で、どうだった?中島くん。」
「うん、あいつもだいぶ自信を持ったみたいだし、卒業させたよ。」
「ふふふ。」
「なんだよ。」
「だって、あなたが中島くんを見てるなんて。っていうか、あなたも
向こうも中島くんだなんて。なんか面白いじゃん。」
「お前だって、カオリに会ってたんだろ?カオリがカオリに。
お互い様だよ。」
「そうね、お互い若かったってことね。」
「腹減ったよ。」
「うん、ご飯、できてるよ。」

2043年、一般家庭向けのタイムマシンが発売され、中島家でも
退職を機に購入した。

(プレゼンテーションの鬼!は今週で最終回です。
ご愛読ありがとうございました!!)


◆◆◆今週の中島メモ◆◆◆

だけどなんで、プレゼンするんだっけ・・・
・メリットは?
  →自分にも相手にも、メリットがあるのがプレゼンテーション。
   それがないプレゼンはしなくていい
  →一見、相手にメリットがない事柄であっても、捉え方を変えれば
   メリットが伝えられる場合もある
・意味のある仕事か?
  →自分の仕事が、自分と相手にとって意味のあるものなのか、
   嫌でも確認せざるを得ないのがプレゼン
  →プレゼンの機会を通して、自分の仕事を振り返り軌道修正
   することで、よりよい仕事ができるように、よりよい人生が
   送れるようになるはず

 
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