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戒厳令下の韓国、冷戦下のポーランド、経済発展萌芽の時代のタイに駐在し、現在も世界を飛び回る筆者がお届けする、リスクマネジメントに関わる雑学知識

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2008/07/15

[雑学の泉 No. 5]ついに叩かれたH.I.S.

日付:2008-07-16

[雑学の泉 No. 5]ついに叩かれたH.I.S.


 6月23日発売の週刊現代2008年7月5日号に、こんな見出しの記事が載った。記
事が掲載されたタイミングとしては、これから旅行業界は繁忙期を迎えるなかな
か絶妙な時期である。


危険な「格安商法」「HIS」澤田に<逆ギレ>された「被害者」の怒り

 これは、2006年10月17日に発生したH.I.S.主催のトルコ旅行で起きたバス横転
事故に対するものだ。ゲンダイネットに、この記事の概要が掲載されている。

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http://gendai.net/?m=view&g=syakai&c=020&no=37400

2008年6月23日 掲載HIS「06年トルコ バス事故」のその後夏休みの海外旅
行はご用心

●今なお16人の被害者が会社側と大モメ

 まもなく夏休みの海外旅行シーズン。だが、日本とは勝手が違う海外で交通事
故などに巻き込まれると大変だ。現地の治療費のほかに、駆け付けた家族のエア
代、帰国のチャーター機代など、ベラボーな金がかかるからだ。

 2006年10月、エイチ・アイ・エス(HIS)主催のトルコツアーで発生
したバス横転事故では、HIS側と被害者側がいまだにモメている。ツアー客は
24人が参加。1人死亡、2人重体という大事故だったが、そもそも、旅行中の
事故については、旅行会社の責任が限定されていることもあり、今なお16人が
会社側と争っている。

「旅行約款に基づく『特別補償規定』で、旅行会社は過失の有無にかかわらず死
亡補償2500万円、入院見舞金4万〜40万円(海外旅行の場合)などを支払
うことになっています。しかし、これ以上の補償は、旅行会社の過失責任を認め
させなければ、なかなか難しいのです」(大手損保の旅行保険担当者)

 当初HISは治療費支給のほか「医療費以外の損害については具体的な損害内
容や損害発生時の状況にかんがみ対応する」という文書を社長名で被害者に送っ
た。

 ところが、その後HISは和解金15万〜105万円を提示し、この和解に応
じなければ、家族の救援費用などの返還を求めると言い出した。交渉は事実上の
決裂状態で、事故原因を巡るトルコ側との話し合いも進んでいない。

 ある被害者が、この事故でかかった費用(1人分)は、「医療費(180日以
内)1000万円」「帰国チャーター便1500万〜3000万円」「家族救援
費100万〜200万円」だという。少人数で帰国したためだが、目の玉が飛び
出る額だ。

 ついでにいうと、イラン武装勢力に誘拐された横浜国大生、中村聡志さんの事
件も「航空費、滞在費等直接的な経費は保護された邦人の自己負担が原則」(外
務省報道課)という。

 子供が外国旅行に行く時は、保険をかけておくのが大前提だ。
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 この記事には書かれていないが、週刊現代の記事では、被害者との交渉の席で
澤田会長が切れて席を立ち、退席してしまう様子が写真入りで解説されている。

 そもそも、H.I.S.がなんで格安であるかと言うと理由は簡単。「安全」と「リ
スク対処」の経費を削ったからである。「安全」と「リスク対処」に金をかけな
かったら、いくらでも旅行費用は安くできる。

 例えば、同じ座席に座るのに、航空運賃の価格になぜ何種類もあってものすご
い金額の差があるのか、そのからくりがわかっていたらH.I.S.なんていう会社は
とてもではないが、怖くて使えない。

 澤田会長がH.I.S.をなぜ作ったかと言うと、かつて自分がバックパッカーとし
て旅行した時の経験から来ている。バックパッカーの旅行と言うのは当たるも八
卦、当たらぬも八卦、常にリスクを抱え込んで格安旅行をしている。なにもトラ
ブルに巻きこまれなければそれが当たり前だと思ってしまうだろう。そんな成功
体験からH.I.S.を作ったということが、ありありとわかる。

 H.I.S.の格安航空券は、日付指定便指定の航空券であり、おそらくエンドース
もできないであろう。すなわち、なんらかの理由でその航空券のフライトが飛ば
ない場合、他社への振り替えができないから一瞬にして航空券は紙くずと化す。
なんの保証もないのである。


やさしいエアライン・ホテル用語辞典よりhttp://dictionary.tabig.com/a/
2005/09/post_40.htmlエンドース(Endorse)とは…裏書することで、航空会社用
語では発券航空会社が他の航空会社の便に振り替えることです。エンドースは何
らかのトラブルが発生した際の措置として行われますが、格安航空券などでは航
空券に「NON-ENDORSABLE」と記載されていることが多く、これはエンドース不可
という意味になります。


 澤田会長にしてみれば、「安いのを承知でリスクを取ったのだから、なんで保
証しなければならないのだ」という論理なのだろう。しかしながら、週刊現代の
記事を読んでみると、明らかに度が過ぎた安全無視をやっている。具体的には,
本来旅行代理店としてやるべき現地調査を全くやらず,金額を叩いて現地業者を
使っているだけである。トルコの事故は,断食月でろくに飲食していないバスの
ドライバーが強行日程で過労運転をやり,事故を起こしている。

 それにしても、これまで「ベンチャー企業の雄」として称賛ばかりされてきた
のが不思議である。旅行業界でH.I.S.ほど嫌われている会社もない。

 さらに,最近は東京都内で急速に店舗を増やしている。

 わたしの知人は仕事で4日後に台湾に行くためH.I.S.で航空券を手配したが,店
舗がすぐ近所にあるのに店頭で支払いができず,振込でしか入金できなかったそ
うである。出発前日の夜8時になっても発券が確認できず,焦ったそうである。旅
行代理店でこんな信じられ内帯を牛化できないことを初めて聞いた。急速に組織
が膨張しているから全く柔軟な対応もできない。こういう対応しかできないとい
うことは,澤田会長は自分の部下達も全く信用していないのだろう。

 また,急速に営業所を増やしているということは,会社の業績が苦しくなった
時の兆候でもある。そうではないことを祈りたいが,お客の立場からすれば,ヘ
タに近づかないことである。

 週刊現代よよくやったと言いたい。が、記事の最後はなんとなく奥歯に物がは
さまったような書き方で終っている。それに比べればゲンダイネットの記事はす
ぱっと切れ味が良い。

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リスクマネジメント・雑学の泉

・発行人 荒木純夫(あらきすみお)・転載は発行人の署名を必ず含めてくださ
い。署名なしの転載は固くお断りします。・発行システム:『まぐまぐ!』
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