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戒厳令下の韓国、冷戦下のポーランド、経済発展萌芽の時代のタイに駐在し、現在も世界を飛び回る筆者がお届けする、リスクマネジメントに関わる雑学知識

  • 発行周期 不定期
  • 最新号 2008/09/08
  • 部数 350部
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2008/07/14

[雑学の泉 No. 4]中国人とお墓参り

日付:2008-07-14

[雑学の泉 No. 4]中国人とお墓参り


 またまた前回の記事から時間が経ってしまいました。今回は中国人について別
の角度から書いてみました。


 先週の土曜日、2年ぶりくらいになるであろうか,実に久しぶりにお墓参りを
した。新暦のお盆に近いが、母と,13年ぶりにに来日していた、父のいた大学
の,かつて80年代前半に留学生だった中国人がもうすぐ帰国するので、それに合
わせてである。彼女が前回来日した時父はまだ元気だったが,4年前に亡くなって
いる。今,西多摩霊園の墓の中には,我が祖父母と父が眠っている。祖父は田舎
(と言っても父からもう東京生まれであるが)の渥美半島の墓から分骨して納骨
している。 

 池袋から最寄りの駅を降りたとたん、雨がぽつっと来て、午後3時過ぎに家に着
いたらいきなりの豪雨である。彼女もほぼ同時に我が家にたどり着いて,傘も
持っていなかったのだが全く濡れずに済んだ。さらに,我が家でお茶している間
にものすごい落雷があったと思ったら,なんと東横線の多摩川鉄橋のところで架
線に落雷があり,電車がストップ。もうちょっと落雷が遅ければ,しばらく帰っ
てこれないところであった。運が良い。 

 車であきる野市の西多摩霊園を目指して出発した3時半過ぎには雨も上がり,中
央高速までやってくると路面は全く濡れていなかった。途中永福町から首都高速
に乗ろうと環七経由で出たら環七が大渋滞。永福町で乗ったと思ったら目の前で
見物渋滞。しかしながら,今回初めて圏央道を通ったが,圏央道の威力抜群,さ
らに最寄りの日の出インターではなく手前のあきる野インターで降りてしまった
が,我が家からなんと1時間10分で霊園まで着いてしまった。かつてはどんなに頑
張っても1時間半,それが渋滞がなかったら1時間を切ってたどり着くことができ
る。帰りは16号線で八王子まで出たが,16号線も信じられないくらいにがらがら
であった。いろいろ言われている圏央道だが,本当に楽になった。 

 そして,午後5時頃に墓前に立った時は快晴。あきる野市街が一望に見渡せ
る。少々暑いが,これだけ天気が良いのは実に久しぶりだ。そして,我が家の墓
が西を背にして建っていることを,初めて知った。その延長線上には,松田優作
の墓がある。 

 外国でその国の墓地へ関係者と行くことはめったにないが,逆に外国人と一緒
にお墓に行くとなかなか興味深い。中国人の彼女が「ここは風水的にどうなんで
しょうかねぇ。ものすごく気持ちが良いから,ここは風水のことをちゃんと考え
て墓地が作ってあるかもしれない」ということを言い出した。 

 なるほど,風水については全く詳しくないが,言われてみればそうかもしれな
い。この日のように晴れていると,本当に気持ちが良いのである。 

 帰りは,いつも立ち寄る国道411号線滝山街道沿いの千代鶴の中村酒造ではな
く,多満自慢の石川酒造に立ち寄る。ここにはレストランがあるからだ。 

 蕎麦屋とイタリアンがあるが,彼女の希望で蕎麦屋に入る。蕎麦屋もイタリア
ンレストランも蔵を利用している。敷地内の歴史を刻む蔵ははきちんと手入れさ
れ,夫婦ひのきがそびえ立つ。ここも非常にすがすがしい。敷地内に大きな釜が
展示してあって日本酒造りにはちょっと使わない形状だなと思ったのだが,なん
とそれは115年前に作られたビール釜である。石川酒造はかつてビールも製造して
いて,最近復刻して地ビールを生産している。車だから飲めないのがつらい。 

 ちょうど鮎の季節なので,中国では食べられない鮎を注文する。それに蓴菜
(じゅんさい)と穴子の天ぷら,それにもりそば。ビールを母と中国人の彼女が
注文し,一口だけ飲ませてもらう。実にすっきりしており,非常に洗練された味
だ。他の地ビールと違ってかつてビールを造っていて,さらに日本酒の蔵元であ
る。このビールは地ビールとしてはちょっと別格である。今度は電車で来よう! 

 帰りはそのまま国道16号線に出て八王子インターから中央高速に乗ったが,か
つてないほどに16号線がすいていた。これも圏央道の効果であろう。 

 墓地から石川酒造までの道々,中国人の彼女がふっと面白いことを言い出し
た。「結局,当時の留学生って,みんな商売下手だったわよね」と言い出したの
である。確かに,当時の留学生でビジネスで大成功して大金持ちになったという
人の話は全く聞かない。うまく立ち回れば金もうけなんか簡単にできるちいに井
谷もかかわらずである。皆人を騙してまで金もうけということを考えていない。
一番すごいのは,外交官として李鵬元首相の通訳まで務めるくらいの地位にあり
ながら母国に嫌気がさして,亡命同然に日本に再留学し,その後カナダに移住し
て現在アメリカカリフォルニア州に住んでいる者もいる。 

 要するに,ものの考え方がきわめて日本人的なのである。二十歳前後の最も多
感な時期に日本で過ごし,結果として感性が日本人的になってしまっている。だ
からそのためか,この彼女は例外的に母国に戻ったが,彼女の同期や先輩後輩の
ほとんどは,中国に戻っていない。彼女の妹は,日本に帰化してしまった。 

 彼女を含め,当時の留学生のことを思うと,教育が如何に重要か,運転しなが
らしみじみと噛みしめた。


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リスクマネジメント・雑学の泉

・発行人 荒木純夫(あらきすみお)・転載は発行人の署名を必ず含めてくださ
い。署名なしの転載は固くお断りします。・発行システム:『まぐまぐ!』 
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