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戒厳令下の韓国、冷戦下のポーランド、経済発展萌芽の時代のタイに駐在し、現在も世界を飛び回る筆者がお届けする、リスクマネジメントに関わる雑学知識

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2008/05/07

[雑学の泉 No. 3]新・月月火水木金金-自衛隊基地内でなんでゴルフやってはいけないの?-

日付:2008-05-07

[雑学の泉 No. 3]新・月月火水木金金
−自衛隊基地内でなんでゴルフやってはいけないの?−


 第一次世界大戦の1917年、日英同盟に基づき日本海軍は護衛艦隊を編成し、地
中海へ派遣した。戦争終結までの1年半にわたり連合国側の艦船の護衛に当たり、
その果敢な活動は高く評価され、日本海軍へ護衛の依頼が殺到した。それだけ
に、いつ敵Uボートに撃破されるかもしれないという緊張感の中、休みは月に1回
という激務でもあった。

 艦隊司令部は当時英領のマルタ島にあり、艦隊司令部に勤務する将兵は安全で
はあるがマルタ島にずっと缶詰めで、娯楽も乏しかった。勤務は半年交代であっ
たのだが、そこで、艦隊司令は勤務が終って日本に帰国する将兵達に3週間の休暇
を与え、マルセイユに遊びに行かせてから日本に帰国させていた。

 当時の日本海軍には、こんな余裕があった。

 「月月火水木金金」という軍歌があるが、この軍歌のタイトルにもなった「月
月火水木金金」とは、元々は海軍の中で余りにも忙しいことを揶揄して、ある士
官が「これでは、月月火水木金金だ!」と言ったのが始まりであるという。だか
ら、軍歌のように休みもせずに働くことが美徳ということが元々の意味ではな
い。「月月火水木金金」なんていう軍歌を作ってヒステリックな社会にどんどん
なっていって、揚げ句の果てに軍部が暴走してやらなくても良い、いや、やって
はいけない戦争をアメリカとやって、日本は何もかも失った。

 人間、緊張感の持続には限界がある。良い仕事をしようと思ったら、休息が必
要である。特に、軍隊のような強い緊張感を強いられるような仕事では、休息を
どうやってとるかが軍隊の士気に直結する。アメリカ軍の基地を見てみたまえ。
彼らはまず娯楽施設の充実を図る。多摩丘陵にはフルコースの立派なゴルフ場が
整備されている。タイに行った時、タイにもタイ国海軍の専用ゴルフ場もあっ
た。


 さて、4月29日の毎日新聞に、こんな記事が掲載された。

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自衛隊 専用ゴルフ場見直しも

<自衛隊>基地や駐屯地に専用ゴルフ場 全国11カ所
(毎日新聞 - 04月29日 22:01)

 防衛省は、全国11カ所の自衛隊の基地や駐屯地の滑走路横にある部隊関係者
しか利用できないゴルフ施設について、一般向けの開放を含む利用方法の見直し
を検討し始めた。施設は、航空法の制限で建物を建てられない保安用地を利用し
たもので、料金は格安か無料。守屋武昌・前事務次官のゴルフ接待問題など不祥
事が相次いだこともあり、見直しが必要との考えが浮上した。 

 防衛省によると、施設があるのは航空自衛隊8カ所、海上自衛隊2カ所、陸上
自衛隊1カ所。いずれも航空部隊の所属する基地や駐屯地の滑走路横に位置して
いる。ホール数は入間基地(埼玉県)の11、面積は木更津駐屯地(千葉県)の
約23万平方メートルが最大という。 

 基地・駐屯地内の隊員やOBで組織するゴルフクラブのメンバーや家族らが、
部隊訓練がない土日や祝日などの業務時間外に利用しており、クラブ員が芝生の
手入れなどの管理も担当している。9カ所は月1000〜3000円の利用料を
徴収していたが、「芝生をそのまま利用している」として無料の施設も2カ所あ
る。【本多健】
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 同様の記事が、産経新聞朝刊では一面トップに、「自衛隊 基地内で格安プ
レー・ゴルフ施設 見直し検討」として掲載されていた。不祥事が続いたから、
基地内にゴルフ場があって、関係者だけが使うのがけしからんのだという。

 しかも、関係者だけではまずいから、一般公開も検討しているという。平和ぼ
けも極まれりである。軍事施設を一般開放したらどういうことになるか、全く安
全保障ということがわかっていない。さすがに、石破防衛相は一般開放について
は慎重な態度を取っている、すなわち一般開放する気はないと表明しているよう
であるが。

 いったい、何がいけなくて、ここのところの防衛省不祥事と自衛隊基地内のゴ
ルフ場の存在に関連性があるのだろうか。あほ事務官がゴルフ接待を受けたこと
と、施設内のゴルフ場とは、全く関係ないではないか。自衛隊基地内のゴルフ場
は我々の税金を特に無駄遣いしているわけでもなく、隊員の娯楽施設を安上がり
に造っており、施設の有効利用である。だれが言い出したのか知らないが、過剰
反応して周囲の目を憚って隊員の娯楽を取り上げるその発想は、軍部が暴走した
時の「月月火水木金金」を連想させる。余裕がなく窮屈な社会になっていって一
体どうなったのか、全く歴史に勉強していない。

 「血税を有効利用してゴルフをやって、何が悪い!」と、なぜ突っ張れないの
だろうか。予想するに、こんなばかなことを言い出したのは、現場のことを全く
知らない文官であろう。こういうところで国民に対して恰好をつけておけば、彼
らの「利権」には全く関係ないし、「私たちはちゃんとやっています!」と表面
上を取り繕うことができる。「利権」を取り崩すこともなく、自分たちの腹を痛
くせずに済む。

 私が非常に残念に思うのは、産経新聞が、こういう記事を一面トップに掲載し
たことである。いや、掲載しても良いのだが、その記事の論調が、「けしから
ん」という論調であったことだ。我々国民の安全保障のために、自衛隊員は真っ
先に死ぬ立場にあるという尊敬の念があれば、こんなばかな話が出てきた時に、
安易に「けしからん」などという安っぽい記事は書けないはずである。



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リスクマネジメント・雑学の泉

・発行人 荒木純夫(あらきすみお)
・転載は発行人の署名を必ず含めてください。署名なしの転載は固くお断りします。
・発行システム:『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ 
・配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000176001.html 

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