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戒厳令下の韓国、冷戦下のポーランド、経済発展萌芽の時代のタイに駐在し、現在も世界を飛び回る筆者がお届けする、リスクマネジメントに関わる雑学知識

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2006/11/13

[リスクマネジメント No. 44]英語と世界史

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工学研究社「メーカー社員のリスクマネジメント実践講座」
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日付:2006-11-13

[リスクマネジメント No. 44]英語と世界史

 英語に接していると,やたらフランス語語源の単語やフランス語そのものの表
現が使われることに遭遇する。しかも,儀礼的な文面でフランス語的表現が使わ
れることが多い。

 例えば,「議会」を表わす"parliament"の語源は,フランス語の"parler"すな
わち「話す」である。またもっと明確な例では,正式な招待状の文末にR.S.V.P.
あるいはr.s.v.p.という略号が「ご返事ください」の意味で使われるが,これは
フランス語で「ご返事ください」すなわち,"Re´pondez s'il vous plai^t."の省略
形である。

 英語なのに,なんでこんなところにフランス語が登場するのであろうか。これ
は,英国(BritainではなくてEngland)とフランス,厳密にはノルマンディーと
の歴史を知らないとわからないことである。

 1066年イングランドのヘースティングス付近で,イングランド王ハロルドとノ
ルマンディー公ギヨームとの間で戦いが起きた。この戦いでギヨームが勝利し,
彼はウィリアム1世としてイングランド王として即位した。ウィリアム1世は征服
王ウィリアムとも通称され,彼による「ノルマン・コンクエスト」は,英語を母
語とする人たちなら誰でも知っていることである。

ウィキペディア
ノルマン・コンクエスト: http://tinyurl.com/y92tsb
ヘースティングスの戦い: http://tinyurl.com/y6svlp
ウィリアム1世 (イングランド王): http://tinyurl.com/y92tsb

 今はなくなってしまったが,90年代東京の中目黒に,「1066」という名前のレ
ストランがあった。英国のことをわかっていたら,これで英国料理の店であると
ぴんと来るのである。

 ノルマン仏語を話すノルマンディー公ギヨームがイングランド王ウィリアム1世
となったことで,王室で使われる言語はノルマン仏語が中心となった。当時現在
の英語はまだ形成されておらず,英語形成の過程において仏語も語源となったこ
とは当然の帰結である。前述した"R.S.V.P."という表現には,当時の名残が色濃
く残っている。

 今回の記事で何を言いたいか,おわかりであろう。

 最近にわかに噴出した「世界史履修不足問題」は,入試にさえ合格すればいい
という教育,いはそれは教育ではなく単なる受験テクニックであるが,そういう
安直なことをやって,なぜ英語を勉強しなければいけないのかという本質はどこ
かに行ってしまっている。

 外国語を効率良く覚えようと思ったら,ただ単に単語を暗記したり入試問題を
解いているだけではだめなのである。日本人は英語が苦手であると言われる根本
的な理由のひとつとして,こういう文化的歴史的背景について外国語教育の中で
行なうということがまず行なわれていないところにある。

 もちろんそういうことをされている英語の先生もいらっしゃるであろうが,そ
れは少数派であろう。

 ちなみに,私の中学校2年生の時の英語の先生は,授業でPPM(ピーター・ポー
ル・アンド・マリー)の"Puff"という曲を教えてくれたのだが,それが今,英語
母語の人と談笑する時に本当に役に立っている。

 入試しか考えていなかったら私の中学校の恩師のように,英語のフォークソン
グを授業で教えるなんてことは間違ってもしないであろう。私の恩師は,英語を
覚えようと思ったら英語の歌を歌えということを,実際に授業でフォークソング
を歌うことで教えてくれた。

 英語,すなわち外国語をちゃんと勉強しようと思ったら,入試には出ない「歴
史」や「文化」も勉強しなければならないのである。


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・発行人 荒木純夫(あらきすみお)
 株式会社ビューポイント情報科学研究所 http://www.vpi.co.jp/
・転載は発行人の署名を必ず含めてください。署名なしの転載は固くお断りします。
・発行システム:『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ 
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