2006/08/12
[リスクマネジメント No. 39]日本代表・金城龍彦選手
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ 発行人が監修・執筆している通信教育講座 工学研究社「メーカー社員のリスクマネジメント実践講座」 http://www.kogaku.co.jp/kouza/e35c.html _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ 日付:2006-08-12 [リスクマネジメント No. 39]日本代表・金城龍彦選手 最近の朝日新聞は面白い。「なんだ、これは?」というとんでもない記事があ るかと思うと、すばらしい記事が掲載されたりする。「左翼」と思われている新 聞が、これは産経新聞ですかと言いたくなるような自衛隊特集を、一面記事で載 せたりする。 面白いのは、共産党の人たちは、「左翼を装った、とんでもない新聞。」と 思っているそうな。 ということで、8月9日の夕刊のコラム「国と私」が、素晴らしい記事だった。 「二つの『祖国』揺れる心」と題して、副題が「日本代表・金城選手『血はやっ ぱり韓国人』」という内容。 記事は、この春の野球の国・地域別対抗戦(WBC)から始まる。2次リーグで日本 は韓国に敗れたが、優勝したように騒ぐ韓国選手を見ながら、横浜ベイスターズ の金城龍彦選手は悔しそうにしていた。 1994年、金城選手は韓国の高校野球全国大会「鳳凰大旗争奪大会」に在日韓国 人のチームとして参加し、母国での冷たい仕打ちを感じる。「勝たせるな」とい う空気が、球場を包み込んでいた。 この大会には、在日本大韓野球協会会長の韓在愚(ハンジェウ)が、祖国のこ とを知って欲しい、好きになって欲しいという思いからチームを組織し、1956年 から毎年出場していた。しかし、審判とは毎回揉め、かつては観客から「パン チョッパリ(半日本人)」とヤジられ、唾を吐きかけられる選手もいた。 こんな状態が続き、年々、選手や資金集めも難しくなり、1997年を最後に中断 している。 ちなみに、「チョッパリ」とは豚の足の蹄のことで、日本人のつま先が足袋や 鼻緒で二つに別れている様子から豚の蹄になぞらえて、日本人への蔑称として使 われている。日本人が彼らを、「チョン公」や「チョン」と言うようなものであ る。日本古来の俗語として、「ちょん」には「一人前以下」という意味もあるの で、なかなかむずかしい。 彼は在日韓国人三世として大阪に生まれる。父の晃世(あきよ)もプロ野球近 鉄に在籍したことがある。父も大阪生まれ。父の晃世は、日本を「お世話になっ ている国」と言い、韓国を「自分の国」と言う。祖国の伝統は大切にする。 それにしても、「お世話になっている国」とは、実にうまい表現だ。父の晃世 の若かりしころは今以上に差別されたことが想像に難くないが、「お世話になっ ている国」というその言葉には、日本に対する感謝の気持ちが込められている。 そして、日本国籍を取得するかどうかは、子供たちの判断に任せた。 金城龍彦選手は2000年、首位打者と新人王を史上初めて同時に獲得し、結婚。 その後日本国籍を取得した。「ずっと日本に住むし、子供もいる。絶対、そっち の方がいい」からである。そして、日本代表としてWBCで戦う。 しかし、「血はやっぱり韓国人」という思いがつきまとう。帰省すれば母の韓 国料理に舌鼓を打ち、伝統を受け継いでいるという意識も強いという。 記事は、「韓国に住む韓国人、日本に住む日本人。なんの葛藤もなく『祖国』 と呼べる人たちがいる。「ちょっと、うらやましい」と思う」と結んでいる。 私は、日本人になったからといって、ご先祖様からの「血」、すなわち韓国の 伝統を捨てることはないと思し、それは違うと思う。日本人になったC. W. ニコ ルさんも、彼の母国のウェールズの考え方、すなわち先祖代々の考え方を、強烈 に日本の社会に持ち込もうとしていることでもわかる。いわゆる「日本」という 井戸の中ではわからないことを、日本人には欠けていることを、金城選手の家族 にしろ、ニコルさんにしろ、井戸の中に持ち込んできてくれる。 そもそも、関東地方には、「狛江」、「高麗川」あるいは「越生」といった、 朝鮮半島由来の地名も残っている。「日本」の根幹には「朝鮮」がいっぱい入っ ている。 「ちょっと、うらやましい」と思うかもしれないが、祖国を2倍持ったと考えれ ば良いのではないか。 私は、在日の人たちが日本国籍を取らない理由の一つに、ご先祖に対するもの があると思っていたが、そのことを見事に証明する記事である。金城龍彦選手も すばらしいが、お父さんの晃世氏もすばらしい人である。 そして、この記事は、子供をバイリンガルに育てようとしている親たちに、子 供を「中途半端」にしてしまうことの危険性に警鐘も鳴らしている。 奥の深い記事だ。 ---------- 国際派を目指す人のためのリスクマネジメント講座 ・発行人 荒木純夫(あらきすみお) 株式会社ビューポイント情報科学研究所 http://www.vpi.co.jp/ ・転載は発行人の署名を必ず含めてください。署名なしの転載は固くお断りします。 ・発行システム:『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ ・配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000176001.html ----------



