ハイレベルな金融商品税制 VOL.29
■□■ ハイレベルな金融商品税制 VOL.29 ■□■
平成19年2月15日
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みなさんこんにちは税理士の菅井です。
平成18年5月1日から施行された会社法では株主に対する配当方法が改正され、従来
の利益の配当、中間配当、資本及び準備金の減少に伴う払戻しが「剰余金の配当」とし
て統一されました。
この改正に併せて所得税法においても表記を「剰余金の配当」に変更するとともに、
改正前は配当額の全額について配当所得課税が行われていた資本剰余金を原資とする利
益の配当(現:剰余金の配当)については、剰余金の配当額のうち資本金等の金額を超え
る部分についてのみ配当所得課税を行ない、資本金等の金額に相当する部分については
分配を受けた株主の株式の取得価額のうち今回の資本剰余金を原資とする剰余金の配当
に係る分を上回る部分について譲渡所得課税を行う改正が行われました。
なお、この改正を巡っては昨年末に一部の上場企業で改正前の配当所得課税を行って
しまい、修正を行うという事例が生じました。
■三菱UFJ信託銀行株式会社
→ http://www.tr.mufg.jp/ippan/release/pdf_mutb/061226.pdf
平成19年1月31日付けで国税庁資産税課は資産課税課情報第5号「個人株主に対して資
本の払戻し(資本剰余金の額の減少)があった場合における株式等に係る譲渡所得等の
金額、取得価額の調整等について(情報)」を作成し、平成19年2月14日に国税庁ホーム
ページで公表をしました。
今回は公表された内容のポイントを解説します。
■資産課税課情報第5号
→ http://www.nta.go.jp/category/tutatu/sonota/syotoku/h19/5471/01.htm
◆PDF型式による「カラー版+図解付」の解説を用意してあります。以下のホームページ
の「メルマガ」の「PDF形式」よりダウンロードし、ご利用下さい。
→ http://s-sugai.jp
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▲当メールマガジンについて▲
◆当メールマガジンは、拙著「図解Q&A 金融商品税金ガイド」(近代セールス社)の読
者を対象に、著書の中では触れなかった論点や出版後の税制改正を解説し、読者の方の
知識を常に最新のものに維持することを目的として創られたメールマガジンです。
しかし、読者以外の方にも広く読んでいただきたいと思います。そのため、本文は拙著
を読まれなくても分かるようになっておりますが、基礎的な金融商品税制については、
記事に関連して簡易な解説を適時行う程度になります。
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資本剰余金からの配当
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※本文を印刷して拙著「図解Q&A 金融商品税金ガイド」P128に挟み込んでいただくと便
利です。
1.配当所得・譲渡所得課税
平成18年5月1日前は、利益の配当の原資が利益か資本かを問わず、一律に利益の配当
の全額へ配当所得課税が行われていました。
しかし、改正により平成18年5月1日以後は資本剰余金を原資とする剰余金の配当への
課税は、(1)剰余金の配当額のうち資本金等の金額(株式発行法人の資本金及び資本剰余
金の合計額のうち今回の剰余金の配当の基因となった金額をいい、株式発行法人が計算
を行います。)を超える部分は引き続き配当所得課税を行います(所得税法24条第1項、
25条第1項三)が、(2)資本金等の金額相当額については、その金額のうち分配を受けた
株主の株式の取得価額のうち今回の資本剰余金を原資とする剰余金の配当に係る分(株
主の株式の取得価額に株式発行法人から通知(所得税法施行令114条第5項)を受けた純
資産減少割合を乗じて計算をします(所得税法施行令61条第2項三)。)を上回る部分に
ついて譲渡所得課税を行い(租税特別措置法37の10条第3項三、租税特別措置法37の10−
26))、分配を受けた株主の株式の取得価額のうち今回の資本剰余金を原資とする剰余
金の配当に係る分相当額は株主にとって投資元本の払い戻しということで課税の対象外
となりました。
なお、投資元本の払い戻しを受け、また譲渡所得の金額の計算上控除したため、その
分は株主の株式の取得価額を減額調整することになります(所得税法施行令114条第1項
、租税特別措置法通達37の10−26)。
2.上場株の場合の留意点
(1)配当所得
剰余金の配当のうち配当所得課税が行われる部分については、その支払いの際に所
得税7%、住民 税3%が源泉徴収され(租税特別措置法9の3、地方税法附則5の3条第1
項)、剰余金の配当額の多寡を問わず、確定申告しないことを選択できます(租税特
別措置法8の5条第1項二、地方税法71の27)。
(2)譲渡所得
譲渡所得とされる金額には所得税7%、住民税3%の税率で課税が行われます(租税
特別措置法37の11条第1項四、租税特別措置法施行令25の9条第9項、地方税法附則35
の2の3)。
なお、譲渡損失が生じた場合には、確定申告をすることで翌年以降3年間繰り越し
て、繰越先の年 分の株式等の譲渡益と相殺をすることができます(租税特別措置法
37の12の2条第2項)。
3.特定口座の場合の留意点
特定口座で保管されている株式について資本剰余金を原資とする剰余金の配当が行わ
れた場合には、直接株主へ配当が行われるため、源泉徴収の有無を問わず、株主自らが
譲渡所得の計算をしなければなりません(租税特別措置法37の11の3第3項二)。
譲渡所得の計算方法は先述のとおりですが、剰余金の配当直前の株式の取得価額は証
券会社へ問い合わせをして確認をしなければなりません。
ただし、取得価額の調整は証券会社が行うこととされています。
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執筆 税理士 菅井 聡
ホームページ http://s-sugai.jp
Eメール kin@s-sugai.jp
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