2009/12/17
1ヶ月ルール。
「天皇陛下と外国人との会見は,1ヶ月前に申請すること」 そんなルールは法律で決まったわけでもなんでもない、というのが民主党小沢幹事長 の言い分である。この言い分を見ると,小沢幹事長はルールとして法的根拠をもつには 法律が必要である,慣行には何の法的根拠もないということを言たげである。しかし、 法律がなくともルールが法的根拠を持つ場合がある。いわゆる慣行の成立がみとめられ る場合である。その成立要件は以下の通りである。 1,ある事実上の取り扱いが 2、反復し継続して行われており 3、その取り扱いを一般従業員及び使用者(就業規則の改廃権限者)が認識(承認) しており 4、それを当然のこととして承認しており 5、労使(特に事業主)のいずれも、その取り扱いに異議を述べておらず 6、規範化し,定着し,事実上のルール化している。 (三菱造船所事件判決、平成元年,2月10日 長崎地裁) 以上の要件が備わっていれば,慣行は法的根拠をもつものとされている。 この成立要件を今回の1ヶ月ルールに当て嵌めてみると,従業員,使用者という部分 を入れかえれば、すべて該当している。 1ヶ月ルールという事実上の取り扱いは、2004年2月に始まったといわれている から、反復,継続されているし、これまで取り扱いに異議をとなえた者もいない。宮内 庁長官も規範意識をもって取り扱っているし、事実上のルールとして定着していること は明かである。ここまでくると、法律で決まっているわけではないと、頭から否定され るものではないであろう。小沢幹事長は慣行の成立というものをあまりにも軽視してい るのではないか。おそらく、労働判例も読んだことがないのであろう。 実際のところ、小沢幹事長のような解釈をされると、現実に被害を被る労働者も出て くる恐れもある。例えば,退職金の支給に関する問題である。退職金の支給を請求する には、退職金規定がなければならない。しかし、退職金規定がなくても、慣行として退 職金の支給がなされていた場合、退職金を請求できる場合がある。それは非常に困難な ことではあるが、今回の小沢幹事長の言い分が通用するようなことがあっては、そうし たことは絶望的になる。 ***************************************************************************** 社労士の目で見る事件と世相 発行システム:『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ 配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000173882.html ご意見ご感想はこちらまで toto3@r2.dion.ne.jp ****************************************************************************


