2009/10/12
合意できるか。
日本航空の経営が悪化した主な原因は不採算路線の開設にあるらしい。しかし、悪化
した原因は他にもあるらしく、その中に退職者に対する企業年金の給付率が高すぎるこ
ともあるという。給付率は4.5%で低金利時代の今日、この給付率は恵まれすぎてい
る。
企業年金の退職者への給付率が4.5%ということは、積立期間中の予定利率はそれ
より高かったということである。規定では、厚生年金基金の場合、厚生省令等において
5.5%と設定されていたし、税制適格年金でも法人税施行令で5%以上に設定され、
現実には5.5%が用いられていた。この利率は、近年の運用環境では相当厳しい。
そこで平成9年(1997)、下限を設定した上で、利率は主体的に定めることがで
きるようになった。主体的と言っても、労使協議を前提とすることはいうまでもない。
ここで、労働組合が同意してくれさえすれば、何の問題もなかったはずである。とこ
ろが、聞くところによると、日本航空には労働組合が8つもあるという。労使合意と
いうからには、この労働組合すべてと合意しなければならないであろう。これは容易
なことではない。予定利率を引き下げれば給付率も引き下げられたが、これでは交渉
は進まない。
経営改善計画では日本航空は退職後の給付率を1%台に引き下げたい意向であると
いうが、仮にそれを1.5%とすると、給付額はどれほど下がるか。
一定の元本を一定の期間、一定の給付率で取り崩していくと毎年年金をいくら受け
とれるか、という計算は資本回収係数というものを使う。日本航空の企業年金が税制
適格年金であり、10年の有期年金の場合、給付率を4.5%とすると、資本回収係
数は0.1257であるが、1.5%に引き下げられると資本回収係数は0.1068
となる。すると、元本を1000万円とした場合、給付額は以下のようになる。
1000万円×0.1257=125万7千円
↓
1000万円×0.1068=106万8千円
減額分は
125万円7千円-106万8千円=18万9千円
10年間では
18万9千円×10=189万円 となる。
この減額分を労働組合が受け入れるかどうかである。組合が1つだけなら合意の望み
のあろうが、8つもあってはすべてと合意するのは容易ではない。ことに、税制適格年
金であった場合、全額を一時金で受けとった者もいるはずであり、それらの者と比べら
れると、なおさら容易ではない。
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