2009/06/26
ジャニーズJRの元メンバー逮捕。
ジャニーズJRの元メンバーで榎本雄太(28)という容疑者が詐欺の疑いで逮捕された そうである。詐欺の内容は,営業実態のない会社を解雇されたとして,偽の離職票を作成 し、ハローワークに提出したらしい。そして、雇用保険の基本手当を不正受給した、とい うものである。 不正の始めは,離職理由を解雇としたことではないか。これは、自己都合退職による給 付制限を免れるためであることは明かであるが,それに加えて,特定受給資格者の資格取 得を狙ったものという見方も否定できない。特定受給資格者とは,倒産,解雇等の理由に より、離職を余儀なくされた人達のことで,基本手当の所定給付日数の付与で優遇される ものである。例えば,年齢が30歳未満で,被保険者期間が5年以上10年未満なら、特 定受給資格者以外なら所定給付日数は90日でしかないが,特定受給資格者ならば120 日であるというように。詐欺師なら,当然,特定受給資格者としての受給を狙う。だか ら、離職理由は解雇でなければならない、ということになる。 しかし、新聞記事によると、不正受給した期間は2007年8月から11月ということ である。8月から11月というと、8月の始めから11月の末までを含めると120日に なるが、待期期間の7日間を除くと120日に満たない。それに、8月の始めから11 月の末まで,きっちりと失業認定を受けて所定給付日数を完全消化したというのも不自然 である。始まり、もしくは終わりが月の途中になるというのが、通常であろう。とすれば、 不正受給期間は90日の所定給付日数であったと考えるのが妥当ではないか。 妥当であるとすれば,容疑者は単に自己都合退職による給付制限を免れるために離職理 由を解雇としたのであり,特定受給資格者については知らなかったということになる。こ れは詐欺師としては甘い。 しかし、基本手当の日額ということでは,容疑者はきっちりと取れるだけのものは取っ ていたのではないか。それは、騙し取った金額が約60万円であるという点に現れている。 雇用保険の基本手当は賃金日額によって決まる。賃金日額は,離職前6ヶ月における賃 金総額を180で割って算出するものである。だから、離職前6ヶ月の賃金が高ければ高 いほど基本手当の額も上がることになる。偽の離職票を作成したのであるから,賃金の偽 装も行っていたとしてもおかしくはない。しかし、いくら賃金額を高く偽装したとしても 、それがそのまま基本手当の額に反映されるとは限らない。なぜなら、基本手当の算定の 基になる賃金日額には年齢による上限が設定されており,いくら賃金総額を偽装したとし ても、その上限額に阻まれてしまう。しかも、その上限額は年齢が低いほど低く設定され ており、30歳未満では上限額はもっとも低くなっている。ちなみに、今回の事件の28 歳の容疑者が不正受給を行っていた2007年8月から11月では、その上限額は12, 730円である。 基本手当は、その賃金日額に給付率を掛けて算出するのであるが、その給付率は賃金 日額が高ければ高いほど低くなっている。だから、賃金総額の偽装によっていくら賃金日 額を高くしても,適用される給付率は低い給付率ということになる。ちなみに、賃金日額 上限12,730円ならば,給付率は50%である。 ということを前提すると、以下のように考えることができる。 詐欺行為を働こうとするものは、欲深いものであろう。少しでもより多くのものを手に 入れようとする。とすれば、より多くの受給額を得るためには、上限額をいっぱいに使っ て、受給しようとする。従って、今回の容疑者も賃金日額においては上限額を使い,給付 率もそれに沿ったものになったと推量する。すると、不正受給した金額はいくらになるか。 12,730円×50%×90日=572,850円 約60万円というのは、この金額であるに違いない。容疑者は取れるだけのものは、取っ ていたのである。しかし、榎本容疑者はこの金額を返還しなければならない。その上さらに、 この金額の2倍の額の納付を命じられることになる。納付が遅れると延滞金が加算される。 *************************************************************************** 社労士の目で見る事件と世相 発行システム:『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ 配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000173882.html ご意見ご感想はこちらまで toto3@r2.dion.ne.jp **************************************************************************


