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テレビ報道は解説委員の見方、新聞記事は論説委員の見方。弁護士には弁護士の見方があり、社会保険労務士には社会保険労務士の見方がある。みんな違う。どのように違うか、興味のある方は覗いて見ませんか。

  • 発行周期 不定期
  • 最新号 2009/12/03
  • 部数 164部
  • メルマガID 0000173882
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2009/06/16

プロレスラー三沢光晴の死。

 プロレスラー三沢光晴さんが死亡した。死因はバックドロップによる頚髄損傷である。
プロレスは三沢さんの業務であるから、業務中の死亡ということになる。そして、死亡
原因もプロレス技によるものであるから,業務としての起因性は明らかである。業務を
起因として死亡したのであるから,労働者ならば,労働者災害補償保険法による遺族補
償年金、そして労働福祉事業から遺族特別支給金が支給される。
 しかし、三沢さんはプロレス団体ノアの社長であり,労働契約で言えば使用者の立場
にあって労働者ではない。使用者であって労働者ではないということは、業務の遂行
においては命じられて行ったものではないということである。つまり、業務遂行性はな
いということである。
 労災での補償要件は業務起因性と業務遂行性であるから、三沢さんは要件の一方を欠
くことになる。従って,労災補償は受けられないことになる。
 しかし、中小事業主においては事業主といっても労働実態は労働者と変わらないも
のが多い。労災法ではそのような立場の中小事業主のために労災への特別加入制度を設
けている。労働保険事務組合に労働保険事務を委託することが条件であるが,その特別
加入制度に加入していれば,事業主であっても労働災害を被った場合,労災から補償を
受けることができる。
 三沢さんは社長といっても,選手としてリングに上がっていたのであるから,労働者
と変わらない実態があったことは間違いない。さらに、ノアの従業員もスタッフ、選手
ともに合わせて50人程度といわれているから常時使用者数と言う要件でも問題はない。
だから、加入しようと思えばいつでも加入できた。
 もっとも、労災から補償は受けられないといっても、ノアは株式会社ということで
あるから,厚生年金保険法では強制適用事業所であり、三沢さんも厚生年金の被保険者
であることは間違いない。となると、その被保険者期間中に死亡したのであるから,対
象者がいれば厚生年金から遺族厚生年金が受けられ、同じく対象者がいれば国民年金か
ら遺族基礎年金を受けることができる。問題は死亡年齢が46歳ということであるから、
厚生年金の加入期間によって、遺族厚生年金が短期要件が適用になるか、長期要件が適
用になるかだけの違いではないか。
 それにしても、プロレス団体といえば、日本にはいくつかの団体があるのであろう。
そのプロレス団体の中には,三沢さんのように選手自身が社長となって運営している団
体もあるのではないか。そのような団体のレスラー兼社長となっている人は、今回の三
沢さんのことを見て,労災の特別加入のことを考えるべきではないか。それが家族への
責任というものだ。

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