2009/06/11
元死刑囚の年金資格。
1983年に再審無罪となった元死刑囚の免田栄さんが、年金受給資格の回復を年金 記録確認第3者委員会に申し立てをしたという。これは、興味深い話である。 まず、免田さんが再審無罪になり、釈放されたのが昭和57年,57歳の時であるから 、旧法の国民年金に60歳まで保険料を納付できる期間が3年間あったことになる。しか し、免田さんは年金制度のことをよく知らず,保険料を納付することをしなかった。さら に、免田さんは現在83歳であり、妻の厚生年金の扶養者扱いになっているが,年齢要件 によって新法国民年金の第3号被保険者にもなっていない。つまり、国民年金の保険料納 付済期間といえる期間は1ヶ月もないことになる。そして、年金受給につながる保険料免 除期間もないし、合算対象期間とされる期間も1ヶ月もない。とても、これでは年金受給 資格を主張できるものではない。にもかかわらず、免田さんは年金受給資格の回復を申し 立てたのである。 申し立ての根拠として、免田さんは拘置期間中,国民年金の保険料の納付について、免 除制度の説明を受けなかったことを挙げている。説明を受けていれば,免除申請を行う機 会があったはずであり、免除期間があれば,年金受給資格を取得することにつながったと いうことを言いたいのである。つまり、たまたま機会がなかったばかりに年金受給資格を 取得する機会を逸したのは不公平である、こういう問題は公平に扱ってくれということを 言いたい。 確かに年金問題に関しては公平に扱うことは重要であるが,それならば、学生無年金訴 訟との比較ではどうなるのかという問題がある。大学生が,国民年金の任意加入期間中、 障害等級に該当する障害を負ったが,国民年金に加入していなかったために障害基礎年金 を受給することができない,免除申請という制度があり,その説明を受けていれば,保険 料の申請免除を行い,障害を負っても傷害基礎年金を受給することができたという主張で ある。この訴えは司法判断に委ねられ,各地の裁判所で多くの判決が出た。結果は概ね敗 訴である。ただし、政府は司法の最終判断を待たず,政府独自に特別傷害給付金制度を創 設して無年金者を救済している。 免田さんが公平性を訴えるのであれば,この学生無年金訴訟との比較を無視することは できないのではないか。仮に、免田さんの主張が認められるのであれば、学生無年金訴訟 の原告の主張も認められないとおかしいことになる。ということになると、免田さんの主 張が受け入れられる可能性はかなり厳しいといわねばなるまい。これはこのたび、無罪釈 放された足利事件の菅家さんが訴えたとしても,同様であると思われる。 しかしそれにしてもおかしいのは、免田さんがこの申し立てを年金記録確認第3者委員 会に対して行ったことである。第3者委員会というのは,提出された資料や証言に基づい て,該当者不明の年金記録が誰のものか確認するための機関であり、もともと保険料を納 付したことのない免田さんには無関係なものではないか。 ************************************************************************** 社労士の目で見る事件と世相 発行システム:『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ 配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000173882.html ご意見ご感想はこちらまで toto3@r2.dion.ne.jp **************************************************************************



