社労士の目で見る事件と世相。  RSSを登録する

テレビ報道は解説委員の見方、新聞記事は論説委員の見方。弁護士には弁護士の見方があり、社会保険労務士には社会保険労務士の見方がある。みんな違う。どのように違うか、興味のある方は覗いて見ませんか。

  • 発行周期 不定期
  • 最新号 2009/12/03
  • 部数 164部
  • メルマガID 0000173882
  • 個別ページ
最新号をメルマガでお届けします    
登録 解除

規約に同意して

登録した方には、まぐまぐの公式メルマガ(無料)をお届けします。
2009/06/03

GM破綻。

 その昔,アメリカにステュードベーカーという自動車会社があった。1963年、その
ステュードベーカー社は倒産し,翌年工場が閉鎖された。倒産した際,明らかになったこ
とであるが、帳簿上に退職金は存在したが,支払いのための積み立て金は存在しなかった。
退職金に対する受給権保護の意識が希薄だったためである。その教訓から、退職金に対す
る受給権を保護することの重要性が認識され,エリサ法(従業員退職所得保証法)という
法律が1974年に成立した。
 退職金原資を企業会計から切り離すことが徹底され、退職金債務に対する積み立て義務
が課せられ,積み立て資金の運用に関し受給者責任が明確にされ,運用成績についての情
報開示も義務付けられた。そして、企業が年金制度を終了させた場合にも,年金の支給が
保証される制度終了保険までが創設された。このエリサ法の成立によって、アメリカの企
業年金における退職者の受給権は絶対的に強固なものになったというべきであろう。
 今般,GMが経営破綻した。政府主導による再建策が模索されているところであるが、
再建に対し,アメリカ政府はGMの社債を保有する個人投資家に債務の削減を求めている
。あるは又,医療保険基金への拠出金の減額も求めている。しかし、手厚いと言われる企
業年金の支給については何も触れられてはいない。労務コストが高すぎるといわれる原因
がそこにあることが明かであるにもかかわらずである。これこそまさに、エリサ法による
受給権保護がそれ程強固であるという証である。アメリカ財務省は社債の債務減額につい
て金融機関に同意するよう働きかけたといわれるが、企業年金についてはそのようなこと
を行ったという報道はない。エリサ法が存在するからであろう。言いかえれば,この法律
があるからこそ、年金に対する不安感が日本ほど強くはないともいえるのではなかろうか。
 翻って日本においては、近時、公的年金の将来の受給権及び受給額について,不安を増
幅させる報道が続いている。少子高齢社会において,制度維持を優先すれば、そうした不
安は避けられないものである。それならば、公的年金の不安を補完する別途年金制度の充
実化かつ安定化を目指して,少しでも年金に対する不安を取り除く対策を取るべきではな
いか。
 という意味で,近年、日本政府が行ったことは、受給権に不安のある税制適格年金を廃
止すること、そして,受給権保護を強固にした確定給付企業年金法の成立であるが、しか
し、それでもまだ、エリサ法に見られる制度終了に際しての支払保障機構の創設には到っ
ていない。
 年金制度に関しては、政府与党、野党ともに議論は活発ではあるが,その議論は殆ど公
的年金に関するものである。公的年金以外の重要性については,今回のGM破綻で十分わ
かったはずである。これを機に,企業年金についてもさらなる議論を期待したい。

**************************************************************************

  社労士の目で見る事件と世相 
   発行システム:『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ 
     配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000173882.html 
   ご意見ご感想はこちらまで  toto3@r2.dion.ne.jp

**************************************************************************

  
最新号をメルマガでお届け
登録 解除

規約に同意して

登録した方には、まぐまぐの公式メルマガ(無料)をお届けします。

最近の記事

上へ戻る