社労士の目で見る事件と世相。  RSSを登録する

テレビ報道は解説委員の見方、新聞記事は論説委員の見方。弁護士には弁護士の見方があり、社会保険労務士には社会保険労務士の見方がある。みんな違う。どのように違うか、興味のある方は覗いて見ませんか。

  • 発行周期 不定期
  • 最新号 2009/12/03
  • 部数 164部
  • メルマガID 0000173882
  • 個別ページ
最新号をメルマガでお届けします    
登録 解除

規約に同意して

登録した方には、まぐまぐの公式メルマガ(無料)をお届けします。
2009/05/28

貸し借りの関係。

 昨年11月18日、労働基準法が一部改正された。但し,施行は平成22年4月1日か
らである。今回、改正の目玉は法定割増賃金率の引き上げであった。しかし、審議の過程
では,それ以上に目玉であったのは,自律的労働時間制度の導入ではなかったか。自律的
労働時間制度とは,一定以上の年収のホワイトカラーを週40時間の法定労働時間の規制
から外そうとするものであり、いわゆるホワイトカラーエクゼンプションといわれたもの
である。
 導入が見送られたのは、労働側の反対があったためである。反対の理由は,労働時間の
コントロールを外せば,過労死や心の問題がさらに悪化するからというものであった。し
かし、見送られたからといって,経営側があきらめたわけではない。次回改正時には再提
案してくることは間違いないと思われる。なぜなら、雇用形態が多様化し,成果主義人事
、成果主義賃金制度が進めば進むほど,労働者の雇用管理は個別的にならざるを得ず,そ
れに対応するには、雇用管理を労働者個人に委ねた方が効率的であるからだ。労働契約法
はその対応策の一つとして成立したが,自律的労働時間制度は見送りとなり、対応策とし
ては中途半端なままに終わってしまったということになる。
 労働側が反対した理由の背景にあるのは、経営側に対する不信感としか考えられない。
とすれば、経営側が再提案し,労働側に受け入れさせるには,その不信感を払拭させてお
かなくてはならない。しかし、不信感を払拭させるなどということは容易にできるもので
はない。ことに、労使関係においてはである。
 容易でないとするのであれば、あとは、貸し借りの関係で行くしかない。割増賃金率の
引き上げは結局50%に落ち着いたが、この50%という引き上げ率は,当初、経営側は
猛反対していたものである。それが50%に落ち着いたというのは経営側が譲歩したから
である。経営側が割増賃金率の引き上げで譲歩したのであれば、労働側は自律的労働時間
制度で譲歩しなければならなかったはずであるが、労働側はしなかった。それは,ある意
味,経営側が労働側に貸しを作ったという見方もできる。
 もっとも、その程度の貸しで,労働側が次回の改正時に譲歩するという保証はない。そ
れならば、さらに貸しを作っておく必要があったのではないか。そして、その貸しを作る
場として,今年の春闘が考えられたのではないか。今年の春闘において、連合は8年ぶり
にベアを要求したが、経営側はそれを拒否した。おりからの世界的不況でそれどころでは
ないということもあったが、そのような苦境であればこそ、労働側の要求に応じておれば
,経営側は労働側に大きな貸しを作れたはずである。要求を拒否したというのは、その貸
しを作る機会を逃がしたということで、中途半端な労働時間管理制度が、次回の改正時以
後も続くことを予感させる。

**************************************************************************

  社労士の目で見る事件と世相
    発行システム:『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ 
     配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000173882.html 
   ご意見ご感想はこちらまで toto3@r2.dion.ne.jp

*************************************************************************
最新号をメルマガでお届け
登録 解除

規約に同意して

登録した方には、まぐまぐの公式メルマガ(無料)をお届けします。

最近の記事

上へ戻る