2009/05/19
新型インフルエンザの感染拡大。
新型インフルエンザの感染が拡大している。学校の休校はもちろん、企業も対応を進めて いる。例えば、三菱東京UFJ銀行では、感染した行員を休業させることはもちろん、他の 行員も自宅待機させているということである。 労働者を休業させることになれば、労働基準法26条による休業手当の支払いが必要と なる。しかし、休業手当は使用者の責に帰す事由によって休業させた場合に必要となるもので あり、今回の場合,それに該当するかとなると、そうとは言えないのではないか。むしろ、 労働安全衛生法68条に基づく病者の就業禁止に該当するものではないか。ちなみに、労働 安全衛生法68条の条文は以下のようなものである。 「事業主は,伝染性の疾病で、労働省令で定めるものにかかった労働者については、労働 省令で定めるところにより、その就業を禁止しなければならない。」 今回のインフルエンザが労働省令で定められたものであるか否かは定かではないが、伝 染性ということでは十分要件に合致するものとみる。となると、労働者の就業を禁止させる ことは、この条文に沿った処置であり、使用者の責に帰す事由とは言えず,その結果、休業 手当の支払いも必要ないことになる。 しかし、労働安全衛生法68条による就業禁止となると、別の問題にも影響が出てくるこ とになる。健康保険法45条における傷病手当金の問題である。傷病手当金は療養のため労 働できない場合に支給されるものであるが、療養のため労働できるかできないかは医師の判 断によるものである。ところが、労働安全衛生法68条に基づく就業禁止となると、事業者 は医師の判断を待つことなく,義務として労働者の就業を禁止しなければならないようなこ とになっている。となると、傷病手当金の支給も微妙になってくるのではないか。それは、 労働安全衛生法68条の適用次第では,休業手当も傷病手当金の支給も受けられないケース もありうるということではないのか。これは、法の盲点ではないのか。いずれにしても、労 働安全衛生法68条が適用になるかならないかは、労働者にとって大きな影響があるといわ ねばなるまい。 さらに次のような問題もある。仮に,労働安全衛生法68条の就業禁止に関係なく,療養 のため休業していることが認められたとしても,傷病手当金の受給には継続休業3日間の待 機期間が必要である。その間、所得保障はない。労働基準法26条による休業手当にはそ のような待機期間はない。休業手当になるか傷病手当金になるかは労働者にとって決して小 さい問題ではない。 しかしそれよりもなによりも、休業手当も傷病手当金も受けられないとなった場合,労働 者の生活保障はいったいどうなるのであろうか。 *************************************************************************** 社労士の目で見る事件と世相 発行システム:『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ 配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000173882.html ご意見ご感想はこちらまで toto3@r2.dion.ne.jp ***************************************************************************


