2009/02/20
若ノ鵬、ロシアへ帰る。
2月13日、元幕内力士若ノ鵬がロシアへ帰った。パスポートに出国印を押してもらい ,日本国内を離れたのであるから,これで厚生年金保険の脱退一時金を請求できることに なる。請求期間は13日を起算日として2年間である。その額は平均標準報酬額に支給率 を掛けたものであるが、ではいったい,いくらになるのか。 まずは、平均標準報酬額の算定である。平均標準報酬額は標準報酬月額と標準賞与額の 合計額に再評価率を掛け,総額を被保険者期間で割ったものである。但し,標準報酬月額 には上限があり、30級62円である。ところが、相撲協会の十両以上の力士に支給され る給与は,基本給だけですでに62万円を上回っている。それが十両,幕内に在位する限 り続くのであるから,平均標準報酬額は平均するまでもなく,62万円となる。 次に支給率は,保険料×1/2×被保険者期間に応じた数という計算式によって算定され る。保険料率は最終月(厚生年金保険の被保険者期間の最終の月)によって決められる。 最終月が1〜8月の場合,前々年の10月の保険料,9〜12月の場合,前年の10月 の保険料となる。若ノ鵬の場合,最終月は平成20年8月であるから、前々年平成18 年10月の保険料、14.642%が使われる。 被保険者に応じた月数というのは,被保険者期間に応じて割り当てられる数字であり、 6ヶ月ごとに6の倍数で増えていく。但し,上限は36。若ノ鵬が厚生年金保険の被保 険者であった期間は、十両に昇進した平成19年1月から幕内力士として相撲協会から解 雇された平成20年8月までである。途中、幕下に陥落した期間が2ヶ月あるから、その 期間を除いた18ヶ月が被保険者期間となる。被保険者期間が18ヶ月ならば、被保険者 期間に応じた数は18である。以上のことを踏まえて,若ノ鵬の厚生年金保険脱退一時金 の額を計算してみると、以下のようになる。 620,000×14.642/100×1/2×18=817,024≒817,020円 決して少ない額ではない。 問題は果して、若ノ鵬が自分一人で、この厚生年金保険の脱退一時金を請求できるかで ある。 請求は,帰国後,脱退一時金裁定請求書を日本の社会保険業務センターへ郵送すること によって行なう。裁定請求書は社会保険事務所の担当窓口にあるから、若ノ鵬は帰国前に 社会保険事務所に立ち寄って、裁定請求書を貰っておかなくてはならない。果して,貰っ ているのであろうか。 そして重要なのは、年金手帳である。若ノ鵬はまだ若く,まして外国人である。日本の 年金制度を理解しているとは思えない。年金手帳が交付されていても、意味も分からぬま ま所持しているかもしれないし、協会に預けたままになっているかもしれない。年金手帳 は裁定請求に際して添付書類として必要なものであるから、管理が疎かであったはならな い。その点,大丈夫なのであろうか。 若ノ鵬には弁護士がついていたが、その弁護士が教えてやればよいのであるが、弁護士 が年金のことに詳しいとは限らない。誰かが教えてやらねばならないのであるが、その場 合、やはり責任は相撲協会にあるというべきであろう。懲戒解雇になり、退職金まで受け とって帰るのであるから、後のことなど知らないで済ませられるものでもあるまい。こと に、外国人力士については、これからも日本国籍を取得しないまま本国に帰るものも現れ るであろうから、今回だけで終わる問題ではないのであるから。 ************************************************************************** 社労士の目で見る事件と世相 発行システム:『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ 配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000173882.html ご意見ご感想はこちらまで toto3@r2.dion.ne.jp **************************************************************************



