特別の措置を---。
昭和57年1月1日、日本国内において難民条約が発効した。これによって,年金に
国籍要件をつけることができなくなった。難民といえども日本国民と同じ受給資格を満
たせば、日本国政府から年金が支給されるのである。となると問題は,日本国民に求め
られる年金受給資格の内容である。一定期間保険料を納付するか,免除期間または合算
対象期間を有することによって受給資格を得る現行の社会保険料方式なら何の問題もあ
るまい。難民認定以前の期間を合算対象期間として認めるか否かという問題が残るぐら
いである。
問題は保険料を納めることもなく,ただ、日本国内に一定期間住所を有するだけで年
金を受給することになる全額税方式の場合である。国籍要件をつけられないのであるか
ら、一定期間日本国内に住所を有する難民にも年金を支払わなくてはならない。一定期
間が25年というのであればまだしも、10年などとなれば、受給資格などすぐに取得す
ることになる。そして、その原資となるものは、消費税の引き上げによって得られた税
収入になるかもしれない。消費税の引き上げに合意した国民がこれで納得するであろう
か。基礎年金制度を全額税方式に転換するというのであれば,こうした事態も考慮に入
れたおくべきではなかろうか。
ただ、難民条約においては、このような事態に対しては特別の措置を定めることを容
認している。以下の通りである.
「当該難民が居住している当該締結国において、公の資金から全額支給される給付の全
部または一部に関し、---特別の措置を定めること」、このことを妨げない。(24条
1項 b ii) ということであるが、公の資金から全額支給されるとは全額税方式によ
る年金制度のことではないか。特別の措置を定めておけば,心配は要らないのであるが
、肝心のこの特別の措置が定められているかどうかが明確ではない。もし、定められて
いないとすると、難民が大量に日本国内に押し寄せてきた場合,日本国政府はそれら難
民が一定期間日本国内に居住して受給資格を取得すると、年金を支給しなければならな
いのである。そして、それは北朝鮮の現実を見れば,決してあり得ないことではない。
難民の数が数百人単位ならまだしも,数十万人、数百万人となると、日本の年金制度そ
のものの崩壊につながりかねない。
とするならば、全額税方式の年金制度を採用する場合は、採用する前か、採用すると
同時に特別の措置をとっておくべきであり、それができないのであれば、現行の社会保
険料方式を維持すべきであろう。
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