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2008/03/30

へっぽこバイオ研究!第 108 ラボ☆マラリアワクチン。実用化まであと一歩。その1

こんばんは。

JAPAiNなんて揶揄されている、日本に住んでいるやまのですが
みなさまいかがお過ごしでしょうか。ひょっとしたら、今年中
に衆議院選挙があったりするかもしれませんね。

もし、選挙があったら、メルマガで「投票率100%キャンペーン」
やりますので、今から予告です(笑)

先日、学割料金を使った時に何気に学生証を見てみました。
その写真は入学直前のものですが。ほんの数年前なのに


カワイイ

ワカイ

お肌キレイ

もっちり、ずっとこの写真使いたいみたいなノリです。
時の移り変わりは早し。トホホ。

今夜はマラリアワクチンについての話題です。長いのでいくつ
かに分けてお届けします。
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 へっぽこバイオ研究!〜素敵な科学のエッセンス 第108ラボ
 発行者 やまの あべば                2008.3.30

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           ただいまの発行部数 11116部です


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┏今夜の目次
┣1 バイオのサムライ
┣2 マラリアワクチン。実用化まであと一歩。
┗3 近況報告(ハイキング)

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┏ 1 バイオのサムライ
┗━━━━━━━━━━━┛

まずは前回の質問。

「日本の国会議員は科学政策についてもっと語るべき?」の結果は

そう思う。 (45票) 87%
必要ない。 (7票) 13%

でした。議員のレベルが低すぎるという焦燥感あふれるコメントを
多く頂きました。議員さんでしっかりしてるヒトもいるのですが。
こんなとことにも“格差”があるみたいです。コメントの紹介です。


「必要かもしれませんが、もっと優先度の高いことすらまともに
語られていない現状では・・・。 」ぺさん


「少なくとも経済の視点では、その辺の方針を明確にしてほしい
と願います。」エムさん


「最近、政治家の教養がなさ過ぎませんか。 科学にも、社会学にも、
古典にも...。 」PIPIさん


みなさん、コメントありがとうございました。
全員紹介できなくてすみません。さて、本日の質問は
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆エイズの話題について身近に話せるヒトがいますか?

◆いる
┗ http://clickenquete.com/a/a.php?M0002447Q0025197A16721
◆いない
┗ http://clickenquete.com/a/a.php?M0002447Q0025197A2d44c

締切:2008年04月07日23時00分 協力:クリックアンケート
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

回答と一緒にコメントもお待ちしております。
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┏ 2 Tonight 〜 マラリアワクチン。実用化まであと一歩。
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

今夜はネイチャーからです。

マラリアは蚊の媒介によりマラリア原虫がヒトの体内に寄生し
起こる病気です。

そのマラリア。

うまくいけば2011年にはワクチンが実用化される見通しです。
そのワクチンは、30%のヒトを発症から守り、発症しても重症例
を50%ほど低減できると予想されています。
そのワクチン開発の様子を数回に分けてお届けします。


Malaria: The end of the beginning
マラリア:ようやくスタートできる予感
(Nature 451, 1042-1046 (2008))


薬を実用化するまでには3つの過程を踏まえる必要があります。

一つ目。健康な成人で薬の安全性などについて調べます。
二つ目。少人数の患者で有効性などについて調べます。
三つ目。多数の患者で有効性などについて調べます。

2008年の秋には、三つ目の臨床試験が始まる予定です。


◇自分たちで実験してみる

1987年。米軍の医師、バルーはアイスクリームのカップを腕に
貼り付けていました。なんでそんなことを?って思いますよね。 

そのカップには蚊が入っていて、腕をプチっと刺してもらいます。
(ひょとして彼はM?いやいや、仕事熱心なんです。)

でも、これただ刺されるだけでなく、その蚊はマラリア原虫を持っていて、
作ってみたワクチンを自分たちで試してみる人体実験だったのです。

ウォルターリード陸軍研究所の彼ら6人はマラリア感染に備えて、
あらかじめワクチン候補のFSV-1を打っていました。

それぞれのヒトを蚊に刺してもらってから、様子をみます。

感染9日後。ワクチンを打ってないコントロールのヒトに症状が
現れてきました。ここで、マラリアの薬を投与します。
いつまでも苦しいのを我慢するのはイヤですから。

それにしても。
ワクチンを打ったヒトはどうなるのでしょうか。ドキドキ。


10日後。ワクチンを打った3人が発症。残念。

11日後。ワクチンを打った1人が発症。がぼーん。


バルーはどうなんでしょうか。

12日後。彼はパーティーの途中で症状が現れ、奥さんにクルマで
連れて帰ってもらいます。彼は寒気、熱、頭痛で大変だったとか。

「ボクの人生で最悪の病気だったよ。」

なんて、コメントも載っています。自分で感染させた病気ですから
気分は複雑なはず。実験は失敗かと思われましたが、最後の一人
は感染から4週間たっても発症しなかったのです。

熱と頭痛でうなされなかったラッキーな彼はゴードン。

そして、彼はワクチンによってマラリアから保護された最初のヒトでも
ありました。そのワクチンFSV-1は陸軍研究所と製薬会社グラクソ・スミス
クラインと共同で改良を加えていくことになります。



◇大量生産できるように改良


ワクチンを市販して多くのヒトに使ってもらうためには、できるだけ安く、
大量生産しなければいけません。

先のFSV-1はマラリア原虫を不活化して(殺して)そのまま注射していました。
ところがこの方法だと、まずマラリア原虫を育てる必要があるので、
大量のヒトの血と蚊が必要で、手間もかかりました。

マラリア原虫は成長の過程で姿を変えます。その内、蚊の体内からヒトに
入るときは


スポロゾイト


という形態になります。1980年代初め、スポロゾイトへ反応する、よく実験で
使われていた抗体がありました。抗体というのは、外敵などにくっついて
自由な働きを失わせる働きを持っています。

例えば。

やまのが外敵、ビキニのお姉さんが抗体だとします。

やまのが目的地に向かって街を歩いていたら、色んなところから
ひょいひょいとビキニのお姉さんが出てきます。

ラッキー!と思いつつも。

お姉さんがやまのの体にチューチューと吸い付いて離れなくなります。
そのうち、どんどんお姉さんが増えてきて全身キスマークだらけにされて、
動けないので目的地に向かうことも戻ることもできなくなります。

これが抗体。

その抗体がどこに反応しているのかを調べると、それはスポロゾイト周囲タンパク質
(circumsporozoite protein, CSP)だということがわかりました。

そこで、この抗体が反応する部分をワクチンに利用できないかと考えました。
例えば、Engerix-BというB型肝炎ワクチンがあります。これは、B型肝炎
ウイルスの部品を酵母でつくらせて、ワクチンにしています。

このとき作られたウイルスの部品は集まって「丸い玉」のようになります。
この形だと「バラバラ」のときよりも抗体が作られやすいのです。

マラリアでも同じようにスポロゾイト周囲タンパク質の頭の部分を酵母で
作らせて「丸い玉」にしたらワクチンとして利用できるかもしれません。

すると。よ〜し、うまくできました。

でも、抗体はプカプカ浮いてるマラリア原虫には反応できますが、
体の細胞に入ってしまったら攻撃できません。


例えば。

細胞を部屋、T細胞を女王様とします。

やまのがなんとかビキニのお姉さんから逃れて、部屋に逃げ込みました。
ここなら、ビキニのお姉さんは入ってこれません。ところが。

ドアのすき間から外を見てみると、女王様が部屋の前に爆弾を仕掛けて
いるではないですか。激しすぎます。女王様。こうして、やまのは部屋ごと
吹き飛ばされてしまう訳です。はい。


ここで例えた、

ビキニのお姉さんを 体液性免疫

女王様を 細胞性免疫

と呼びます。外敵を攻撃する方法にもいくつかあるんですね。


そこで、T細胞がマラリア原虫が入っている細胞も攻撃できるように
スポロゾイト周囲タンパク質のお尻の部分も加えてみました。

そうして、できたのがRTS,Sというワクチンです。

つまり、体液性免疫だけでは不十分なので、細胞性免疫も起きるように
工夫してみたのです。

(次号に続きます。)


まとめ

・マラリアワクチンFSV-1は熱帯で戦闘する事の多い軍で開発が進められた。

・さらに酵母で大量生産できるように改良してRTS,Sができた。

・女王様はとても激しい。


ちなみに。

麻疹のワクチンは90%以上のヒトに免疫をつけることができます。
でも、紹介したマラリアワクチンが発症を抑える割合は30%。

とても低い数字のようですが、マラリアによる死者は年間200万人。
単純にこのうち30%のヒトが感染を免れていたとしたら、60万人が
助かっていたということになります。

また、このワクチンをヒントにさらに効果的なワクチンが開発され、
30%という数字がさらに大きくなれば、と思います。


今夜もここまで読んで頂きましてありがとうございました。

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┏ 3 近況報告
┗━━━━━━━━┛

ハイキングに行きました。

たぶん10年ぶりくらいだと思うんですが、昔過ぎてどこの山に登った
かも不明です。そのくらい久しぶりなんです。

当日。

準備をしながら、リュックサックを持ってないのに気付きました。
気付くの遅いです。すみません。

手提げカバンで行くわけにはいかないので、必要なものをとりあえず
紙袋に詰めて、行く途中で鞄屋さんによることにしました。

いざ、出発です。ところが、古いスニーカーがあると思ってたのに
下駄箱から出てくるのは全部革靴。泣きました。ぐすん。

仕方が無いので、ジム用の上履きにホームセンターで買った980円の
ボロシューズを履くことにしました。革靴よりはマシなはずです。

やっと出発。

標高1000メートル。

やっとのことで頂上に着きました。まず感じたのが、気温が低い!
山に登ったという実感がわいてきます。季節が中途半端なので
咲いてる花は無かったですが、もう景色はきれいで。

となりの山々が波のようにず〜と向こうまで続いていました。

次の日から。

足腰だけでなく、なぜか腕まで筋肉痛でした。久しぶりに慣れない
山を歩いたもんだから、知らないうちに力が入ってたんでしょうか。
一週間くらい治りませんでした。情けなし。トホホ。

そろそろ桜がきれいな季節ですね。

感想などは yamano@heppoko-bio.net までおよせください。
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このメルマガは、バイオラボのことを伝えてみようと発行して
から(2005年秋創刊)、どうしたら多くのヒトにバイオラボ
のこと、研究のことを伝えられるかを考えてきました。

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<やまのあべばのプロフィール>
とにかく生きて動いてるものに反応する子どもだった。
虫かごをダンゴ虫やセミで山盛りにするのは日常茶飯事。
学部では不真面目に化学を専攻。大学院よりバイオ系に進む。
現在は部屋をビキニのお姉さんで一杯にしたいと願いながら
博士課程に在学中。

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