2007/06/09
左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii 第85号「左利き子育て相談の疑問(4)」
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左利きで生きるには
(レフティやすおの左組通信 メールマガジン)
週刊ヒッキイhikkii
世界の片隅で左手と左利きを考える
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第85号(No.85) 2007/6/9
「左利き子育て相談の疑問(4)」
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「左利きで生きるには 週刊ヒッキイ」は、
右利きにも左利きにも優しい左右共存共生社会の実現をめざして
左利きの諸問題と真剣に取り組むメルマガです。
今日からいっしょに左手・左利き生活を楽しみましょう!
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─目次―
▲左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ▲ ..第二土曜日掲載
―その15― 左利き子育て相談の疑問(4)
「弱い左利きなら直してしまいましょう」の疑問
●レフティやすおのサイト案内●・・更新情報・・
▼次号案内▼
▼バックナンバーの閲覧▼
●レフティやすおの編集後記●
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▲左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ▲ ..第二土曜日掲載
―その15― 左利き子育て相談の疑問(4)
「弱い左利きなら直してしまいましょう」の疑問
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このシリーズでは、ネットの子育て相談を中心に、
私が感じた疑問点について、考えています。
今回は、読者のM氏のご質問について考えてみます。
ある相談の回答に、(おおざっぱに言うと)
弱い左利きなら「直してしまいましょう」
でもダメなら「あきらめましょう」
とあります。
こういう考えをどう思いますか。
ここでは、個別の回答についてその是非を検討する、
というものではありません。
しかし、こういう回答例は結構見られるようです。
例えば、小さいうちなら使えるようになるとか、
右手も使える人もいるので、というように。
そこで、少し考えてみましょう。
・・・
私には、二つの問題があるように感じます。
それぞれ見て行きましょう。
一つは、いつも言う「直す」という言葉を使う発想。
もう一つは、弱い左利きなら「直せる」という考えです。
まずは後者から―。
――――――――――――――――――――
◆ 右手使い指導を肯定する立場の人々 ◆
――――――――――――――――――――
最近の回答には、
私の薦めるような「左利きの個性を活かす」という考えが
反映されるようになってきています。
もちろん私の意見が受け入れられた結果
というのではなく、
世間一般の考え方がそういう傾向になってきた、ということです。
先人たちの長年の積み重ねの成果でしょう。
喜ばしい傾向です。
しかし、一方で依然、
右手を使わせることを良しとする考えも根強くあります。
この考えは、右利きの人たちだけでなく、右手を使う指導
(右手を使うことが正しいという考えに立ち、「矯正」と呼んだ)
を受けて「右利きになった」という
「元左利き」の人たちの間にも見られます。
これらの人たちは、自分自身の存在を証拠に、
右手使い指導を肯定する立場を強く主張することがあります。
これは一つの事実なので、
反対の立場の人には、反論しにくいところがあります。
――――――――――――――――――――――――
◆ 利き手の偏りの強さを判定するのは難しい ◆
――――――――――――――――――――――――
さて、左利きには、利き手テストで見ればわかるように、
どのような作業でも左手を使う「強い左利き」の傾向を示す人と、
作業によっては右手も使う「弱い左利き」の人とがいます。
こういう弱い傾向を示す人の場合には、
右手を使うことがさほど苦にならない、というケースがあります。
ただ、小さい子供さんの場合、
アンケートに答えてもらって利き手を判定する、
というわけにもいきません。
子供さんをしっかり観察して、どうも右手も使えそうだな…、
などと見極めることになります。
しかし、子供さんの場合、
利き手らしいものが見られるのは、2歳をすぎてから、
さらに、利き手が明らかになるのは、3歳すぎてから、
などといわれます。
完全に固まるのは8〜9歳、という学者もいます。
それまでは、
脳の発達に伴い、利き手が入れ替わることもある、
といいます。
(この場合の「利き手」というのは、
あくまでも「見かけ」上のものを指しています。
「実際の/潜在的な利き手」そのものは、
生まれてきた段階で既に決まっている、と考えられています。
胎児の段階で既に決まっている、という説もあります。)
というように、なかなか子供の利き手を特定するのは難しく、
左利きらしい、ということは認識できても、
早い段階でその傾向の強さまで正確に把握するというのは、
さらに難しいといえるでしょう。
―――――――――――
◆ 回答者氏の意見 ◆
―――――――――――
子供さんが左利きらしいとわかっても、
実際にどの程度の左利きへの偏りがあるのか、
その強さを見分けるというのは、また問題です。
そこで、この回答者氏は、
左手を使っているのに気付いたら、
その都度、軽く注意してみて右手を使うようなら
弱い左利きと考えられるので、「直してしまいましょう」
―と、いいます。
そして、
あまり効果がないようなら、あきらめてしまったほうがよい、
無理をすると弊害が出る、左利きの子には左利きの道がある、
といいます。
回答者氏のご意見は、
左利きは左利きでいいじゃないか、というのが基本のようです。
しかし、先ほども書きましたように、世の中には、
右手使いを指導されて右利きになり、今では親に感謝している、
という人もいるのです。
これらの左利きが直ったという人は、「弱い左利き」の人であろう、
一方で様々な弊害があったという人は、「強い左利き」の人だろう、
というのが、回答者氏の考えです。
そこで、弱い左利きの人の場合は、直すこともできるだろうから、
気になる親は、直してみてもいいだろう、
という意見になったと思われます。
――――――――――――――――
◆ 回答者がいってもよいのか ◆
――――――――――――――――
では、本当に「直せる」のでしょうか。
確かに人間には能力があります。
小さい頃には特に、損傷を受けても回復する能力―
修復能力が強いそうです。
順応力も強く、それが生き残る力になるからです。
ですから、左利きであっても、
右手も使える子が右手を使うのは当然のことかもしれません。
しかし、誰が使えて誰が使えないか、は、
誰にも決められません。
「直してしまいましょう」ということは、
回答者が言ってはならない言葉のように、私は思います。
―――――――――――――――――――――――
◆ ダメもとでやってみようという気になる? ◆
―――――――――――――――――――――――
相談者は、あらかじめ期待する回答を持っているものだ、
といわれます。
期待している回答、
もしくはそれに近いものが得られれば、納得するが、
そうでない場合は、
たとえ頭では理解できても、心からは納得しないそうです。
左利きの子育て相談でも、
やはり同じことが言えるのではないでしょうか。
親としては、できることなら右手が使える子になってくれれば、
という期待を持っているのではないでしょうか。
そういう希望を持つ親に、
できるかもしれない/できる子はやってしまいましょう、
といわれれば、
たとえ、できない場合もあると書かれてはいても、
ダメもとでやってみよう、
という気になるのではないでしょうか。
―――――――――――――
◆ 困るのは試される方 ◆
―――――――――――――
ダメでも親は困りません。
でも、困るのは試される方です。
親の期待を背負って挑戦する―
もちろん、そこまでの気持ちは親の側にはないかもしれません。
しかし、それが子供に伝わるかどうかはわかりません。
子供にとっては遊びといえども、本気です。
親の期待を感じているかもしれません。
成功すれば、もちろん問題にはならないでしょう。
でも失敗したときは、…?
私は左利きの子に右手を使わせるな、というのではありません。
常に、リスクを忘れないでいて欲しい、ということです。
そして、そのリスクは選んだ親が背負うのではなく、
選ばされた子供が一生背負うのだ、という事実です。
ものごとには、表もあれば、裏もあるのです。
右手を使うだけが人生ではないのです。
右利きの論理がすべてではないのです。
すべてのものごとがすべての人間にたいして
同じように適当だということはない。
(プロペルティウス『哀歌』三の九の七)
モンテーニュ/著『エセー3』荒木昭太郎/訳
「有用さと公正さについて」(第3巻第1章)の引用から
中央公論新社・中公クラシックス(2003)
同じことが次のもう一つの問題にも言えます。
―――――――――――――――――――
◆ 価値判断を含む言葉を使わないで ◆
―――――――――――――――――――
もう一つの問題、
「直す」という言葉を使う発想について、少し書いておきます。
例えば、子供の前で、パートナーのことを
稼ぎの悪い飲んだくれとか、飯も作らぬ鬼嫁などと、
ののしり合っていたらどうでしょうか。
子供心に一つでも思い当たるところがあれば、
そのままそういうものだと思い込むようになり、
親を敬う気持ちなど持てなくなるでしょう。
いかに世の中が左利きに優しくなったといっても、
現実には、左利きにはまだまだ壁―障壁があります。
そこで、味方となるべき親やまわりの大人が、
左利きが悪いことでもあるかのような言葉を使っていれば、
子供はどう感じるでしょうか。
左利きについて、「直す」とか「矯正」といった
善悪・正邪・正誤等の価値判断を含む言葉を用いていると、
子供の心に
左利きは直さねばならないものかも…?
右手を使うのが正しいことかも…?
といった疑念が芽生えるようになります。
普段から少しでも左利きで不便や不都合を感じていれば、
やっぱり…! という気持ちが強くなるでしょう。
(その昔、少なくとも私はそう感じていました。)
だから、このような言葉を日常使わないように、と
私はホームページでもお願いしています。
幸い多くの方々からご支持をいただいています。
喜ばしいことです。
*
・『レフティやすおの左組通信』アピール〈左利き〉
http://homepage3.nifty.com/lefty-yasuo/
・『レフティやすおのお茶でっせ』2004.11.26
「利き手(左利き)の矯正」という言葉の使用について
http://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2004/11/post_7.html
両サイトでは、アンケートも実施しています。
・「矯正」という言葉の不使用のお願いアピール
についてのアンケート
(現在の結果 ↓)
http://personal-dictionary.com/enq/view/enq.asp?EID=23641
で、ありますから、
このような言葉を、子育て相談の回答者が使ってしまうのは、
致命的なミスだと思います。
たとえ相談者が使っていても、それを復唱してはいけません。
あってはならないことだ、と私は考えています。
本当に子供のことを考えているなら、親や大人の立場を離れて、
子供の立場に立って考えるべきでしょう。
それが優しさだと思います。
※ 週刊ヒッキイ:
▲左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ▲
―その15― 左利き子育て相談の疑問
・第72号(No.72) 2007/3/10 「左利き子育て相談の疑問(1)」
http://blog.mag2.com/m/log/0000171874/108330752.html
(1) 両手が使えるようになるといいね
・第77号(No.77) 2007/4/14「左利き子育て相談の疑問(2)」
http://blog.mag2.com/m/log/0000171874/108451340.html
(2)「左手使いに違和感を持つ人もいるから」の不思議
・第81号(No.81) 2007/5/12「左利き子育て相談の疑問(3)
右利きの常識…」
http://blog.mag2.com/m/log/0000171874/108541997.html
(3)右利きの常識にとらわれない
次回の予定は→
「―その15― 左利き子育て相談の疑問(5)
(未定)」
◆左手で字を書く・実践編◆シリーズの続編に当たります。
(「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ」は、第二土曜日掲載。
次回は、7月第二週発行の第89号に掲載の予定です。)
※
このシリーズ「左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ」は、
ウェブログ「レフティやすおのお茶でっせ」で始めた、左利きのお
子さんをお持ちの親御さんへの左利きの問題にどう対処すべきかに
ついての独断的アドヴァイス、および提案です。
・既発表分(その1〜6) ↓
『レフティやすおの左組通信』「レフティやすおの左利き私論3」
http://homepage3.nifty.com/lefty-yasuo/hg.siron03.html
・「その7」以降 ↓
「週刊ヒッキイ」バックナンバー参照
・左手書字に関する考察
「その13 字は右手で書くものか?」
「左手で字を書く・実践編」
「その14 左手で字を書くために」
↓
『―左組通信』
「左手で字を書くために―レフティやすおの左利き私論4―」
http://homepage3.nifty.com/lefty-yasuo/hg.siron04.lhw.html
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●レフティやすおのサイト案内●・・更新情報・・
―今週更新された主な記事―
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・レフティやすおの左組通信
http://homepage3.nifty.com/lefty-yasuo/
・レフティやすおのお茶でっせ
6.8 100円ショップの左きき用カレースプーン
http://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/
・レフティやすおの本屋
(「左利きの本棚/研究書2」に『変な学術研究1』ほか追加。)
http://myshop.7andy.jp/myshop/lefty-yasuonohonya
・「レフティやすおの本屋」店長日記
6.3 「本屋」左利きの本棚/研究書2に三冊を追加
http://yaplog.jp/lefty-yasuo/
・レフティやすおの新しい生活を始めよう!
「お茶でっせ」より左利き記事 1本転載
http://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/
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▼次号案内▼
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第86号(No.85) 2007/6/16
「私にとっての左利き活動(14)」(予定)
内容:
■レフティやすおの左利き活動万歳■ ..第三土曜日掲載
私にとっての左利き活動(14)
「左組通信」の始まり
左手・左利き用品の便利さに目覚めた私は、身の回りにいる左利
きの友人知人に、それらの情報を知らせる必要を感じました。
「左組通信」の始まりです。
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▼バックナンバーの閲覧▼
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・『まぐまぐ』「左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii」
http://blog.mag2.com/m/log/0000171874
・『左組通信』「左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii」
http://homepage3.nifty.com/lefty-yasuo/mm-hikkii.html
・週刊ヒッキイ 第37号 夏季臨時増刊「既刊号一覧」
http://blog.mag2.com/m/log/0000171874/107457630.html
・週刊ヒッキイ 第62号 冬季臨時増刊「既刊号一覧・2006年後期」
http://blog.mag2.com/m/log/0000171874/108088513.html
・週刊ヒッキイ 第75号 臨時増刊「テーマ別BN1/左利き実用講座」
http://blog.mag2.com/m/log/0000171874/108403685.html
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●レフティやすおの編集後記●
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このメルマガではお便りの募集も行っています。一方、サイトやブ
ログではメルアドは公開していません。非公開にしてからは、迷惑
メールの数が確実に半減しました。ただし『左組通信』では、「ア
ンケート付感想メール」の受付を行っています。これはプロバイダ
ー経由で送られてきます。また、このメルマガの返信は「RE:---」
で送られてきますので、こういうものは無条件に開封します。
しかし、それ以外の見ず知らずの方から送られて来る私宛のメール
は、よほど興味深い件名があればともかく、たいていそのまま削除
しています。そのため、メールを出しても返事がないというケース
もあるかもしれません。お初の場合は、先の方法をご利用の上、ご
連絡いただけると幸いです。あしからず、ご了承ください。
では、次週まで、さいならサイナラさいなら /~~~
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左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii
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