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科学の楽しさはふとした疑問から。発行・編集の責任者は、藤田です。科学翻訳者・科学ジャーナリストです。他にも多くのライターが、それぞれの持ち味で執筆します。このメルマガは、「科学をもっとおもしろくする委員会」の提供でお送りします。

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2008/10/01

【科学】遺伝子の新たなはたらきを解明

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─────────────────────────2008──

【科学をちょいびき!】
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今週日曜日の東京―大宮間で発生した東北新幹線の信号機の故障で、
出張の予定がすっかり狂ってしまいました。新幹線に立ったままで
約2時間は、けっこうつらいものでした。旅行にはハプニングが
つきもの。私たちの生命の基本単位のDNAにもハプニングが・・・

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【遺伝子の新たなはたらきを解明―個性を与えるゲノムインプリンティング―】
                      本号執筆: 浅井 千晶
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ヒトゲノム計画完了から5年。人体を構成するA(アデニン)、
T(チミン)、C(シトシン)、G(グアニン)の並びが解明された今、
「エピジェネティクス」と呼ばれ、DNA(塩基配列)に変化をおこさずに
遺伝子の機能を調節する仕組みに注目が集まっています。
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「エピジェネティクス」・・・聞きなれない言葉ですね。以下の日本語で
書かれたページをご覧ください。
http://www.nig.ac.jp/labs/HumGen/research.html
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国立遺伝学研究所の佐々木裕之先生の研究チームは生命の多様性を司る
エピジェネティクス分野で、ゲノムインプリンティング(刷り込み)に
注目し、研究を進めています。
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ゲノムインプリンティングを説明したサイトです。右に見えるものは
ロゼッタストーンのようですね。細かい文字が延々と続いている様子は、
まるで遺伝情報を示しているかにも見えます。
http://www.geneimprint.com/site/what-is-imprinting
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ゲノムインプリンティングとは受け継がれる遺伝子が「父親由来」か
「母親由来」かによって発現が異なり、遺伝子自体がどちらの親から
来たのか記憶している機構をいいます。“IGF2”という遺伝子は父親
由来の場合、胎児の体を大きくするはたらきをし、母親由来であれば
何もはたらかないことが分かっています。逆に父親由来でははたらかず、
母親由来で活性を示す遺伝子も発見されています。哺乳類にしか
見られないこれらの遺伝子は、哺乳類の多様性に大きく関与している
と考えられ、研究が進められています。

植物に見られるエピジェネティクスの例としてアサガオがあります。
アサガオは一つの種子、つまり同じ遺伝子配列から模様が異なる花を
咲かせます。鮮やかな模様を生む最大の要因はDNA内の4つの塩基のうち、
C(シトシン)に付いている水素基がメチル基に置き換わる「DNAの
メチル化」にあると言われています。DNA読み取り開始点より前の
CとG(グアニン)が連続して並ぶ「CpGアイランド」と呼ばれる配列で
メチル化が起こると、読み取り開始点が解らなくなり以降の配列が
読みとられず、発現しません。読みかけの本に挟んだしおりが落ちて
しまったようなものです。「この章は読まなくてもいいや」と、次の
章へと読み飛ばすのに似ています。このように、それぞれの個体の
DNAで発現箇所が異なることで、花模様に個性を与えていたのです。

メチル化が影響を与えるのは植物だけではありません。最近では
がんの発生にもエピジェネティックが影響していることが明らかに
なりました。がんの発生を抑えるタンパク質を作りだす「がん抑制
遺伝子」の配列が、メチル化によって読み取れなくなってしまうと、
がん抑制遺伝子がはたらかず、発症原因の一つになると考えられて
います。がん発生とエピジェネティック変異との関係を明らかに
することは、早期診断や抗がん剤感受性、予後予測に役立つと
言われています。

メチル化はDNAの発現を抑制することで生命に多様性をもたらして
います。環境と複雑に絡みあったエピジェネティクス機構を明らかに
することは治療や生命分化の新たな一面を示してくれるかもしれません。
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最後に、エピジェネティクスについて解説したビデオプログラムが
ありますので、紹介しましょう。
http://www.pbs.org/wgbh/nova/sciencenow/3411/02.html
“Transcript” には、シナリオも書かれています。
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<科学をもっとおもしろくする委員会>より
いかがでしたか。たとえ天然のクローンである一卵性双生児の2人でも、
成長の様子や顔かたちが少しずつ違ってきます。これが「個性」という
ものですが、その個性も結局はDNAに織り込まれた遺伝子のなせる技。
実は私たちは、遺伝子に「生かされている」のかも・・・そんなことが
書かれた本がありました。確かに、自分の一存で特定の遺伝子を発現
させることはできませんね。
ついに10月になりました。昨日でクールビズも終わり、という皆さんも
多いはず。急に気温が下がり、体調を崩してしまった人も多くみられます。
健康には十分にご注意ください。
では、次週のちょいびきもお楽しみに。
(ふ)
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                   (発行ID:0000169799)
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 発行人:科学をもっとおもしろくする委員会
                            choibiki@googlegroups.com
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