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科学の楽しさはふとした疑問から。発行・編集の責任者は、藤田です。科学翻訳者・科学ジャーナリストです。他にも多くのライターが、それぞれの持ち味で執筆します。このメルマガは、「科学をもっとおもしろくする委員会」の提供でお送りします。

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2008/05/28

【科学】その居眠りは病気かも?

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【科学をちょいびき!】
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今年も「科学をちょいびき!」では、新人ライターを迎えました。
ライターが増えるということは、それだけ扱う分野が増え、さらに
あるテーマについていろいろな切り口を知ることができる、という
ことになります。
今年の新人デビュー第一号は、瀧口加奈子さんです。
フレッシュな書きぶりをお楽しみください。

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【その居眠りは病気かも?−報道の裏にある“難病”】
                      本号執筆:瀧口加奈子
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昨年9月、向精神薬「リタリン」の不法処方の疑いで東京都内のクリニックが
都の立ち入り検査を受けました。リタリンは中枢神経興奮薬で、衝動的行動や
行動化の傾向を軽減し、仕事や他の作業に集中できるようにするはたらきを
もちます。興奮・覚醒作用もあり、薬物乱用者には「ビタミンR」とも呼ばれ、
ネット上に蔓延し高値で取引されていたのは報道にあったとおりです。
リタリンは商品名で、化学物質としてはメチルフェニデートをさします。
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リタリンについての情報が記載されたページです。習慣性をもつことが、
目立つように書かれています。
http://www.nlm.nih.gov/medlineplus/druginfo/medmaster/a682188.html
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リタリン欲しさに「詐病」で医師から処方箋を受ける乱用者も多く、薬物乱用に
拍車をかけていたため、厚生労働省はリタリン処方の対象となる病気を
ナルコレプシー(俗称:居眠り病)のみとしました。当時、乱用者の死亡や
クリニックへの立ち入り検査については多く報道されましたが、この病気
そのものについては報道が少なかったように思います。ナルコレプシーとは、
どのような病気なのでしょうか。
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ナルコレプシーについて書かれた、BBCの一般向けのページです。
http://www.bbc.co.uk/health/conditions/narcolepsy1.shtml
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授業中や会議中、本人は真剣なのに気が付くと居眠りしていたり、会話中でも
頭に霞がかかったようになる、車の運転中に寝てしまい交通事故を起こす。
ナルコレプシーは、長期に渡る日中の過剰な眠気と、感情の高ぶりで全身の
力が抜ける情動脱力発作などの症状が特徴です。原因は完全には解明されて
いないのですが、遺伝的要因と外的要因の組み合わせで発症すると考えられて
います。専門医にかかり、昼寝の活用やリタリンなどの服用で通常の生活を
送ることができます。誤解されがちではありますが、精神疾患ではありません。

笑うと急に倒れる人の映像が衝撃的なためか、メディアでは脱力発作を強調する
例が多いのですが、実際には我慢できないほどの眠気の症状の方がよく現れます。
世界でも日本人の発症率は高く、専門医が少ないため、病気の認知度も低く、
発症から受診までの期間の平均は10年以上もあります。「たかが眠気」と、
自分の意思の弱さのせいだと、一人で悩む患者さんが多いのです。

病気を知らない人からは、居眠りばかりする「怠け者」と見られてしまい、
実際に学業や仕事に支障をきたすため、患者さんにとっては大変な苦痛です。
社会生活を送るために、重症の患者さんにとって薬は福音といっても大げさでは
ありません。現在の研究では、発現率の高い家系があること、ほとんどの
発症者が特定の白血球の型を持つことなどから遺伝性要因があるらしいことが
わかっています。また、ナルコレプシーの患者さんへのリタリンの投与は、
医師の処方に従い正しく服用すれば中毒者は出ていないことがわかっています。

ナルコレプシーのように、社会的に認知されず、患者さんが苦しい思いをして
いる病気は他にも多くあります。ナルコレプシー患者の会「なるこ会」は
患者さんが安心して生活できる社会作りをすすめるために活動しています。
立ち入り検査といった規制側のニュースばかりではなく、病気そのものにも
焦点をあてる、偏りのない報道が必要だと思います。


<科学をもっとおもしろくする委員会>より
瀧口さんが選んだテーマは、社会性のある話題でした。リタリンという
薬物にまつわる事件のとき、ナルコレプシーについて詳しく説明した
メディアはどれだけあったでしょうか。薬の場合、何か事件が起こると
「負」の面のみが浮かび上がり、本当にその薬を必要とする患者さんに
とっては不都合が生じることがあります。ジャーナリズムは一つの話題を
提供するとき、さまざまな面からアプローチし、広く伝えなければならない
と痛感する話題でした。
今後も、新人のライターが登場する予定です。大いにご期待ください。
(ふ)
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■まぐまぐ(http://www.mag2.com/)での配信
                   (発行ID:0000169799)
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 発行人:科学をもっとおもしろくする委員会
                            choibiki@googlegroups.com
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