2007/12/05
「感じのいい公務員」になろう!(vol.54)【「母の背中」】
▼▲━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━▲▼ 「感じのいい公務員」になろう! vol.54 2007.12.06 ▼▲━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━▲▼ 「立派な公務員」もいいけれど、「感じのいい公務員」について も考えてみませんか? 新人地方公務員向けに「感じのいい公務員」について、公務員自身の立場か ら考えてみようというのが、このメールマガジンのコンセプトです。 公務員や社会人としての行動や考え方を振り返るヒントやきっかけに出会え てもらえたらうれしいです。 バックナンバーは、こちら↓です。 http://blog.mag2.com/m/log/0000169343/ ◆◆━━ 今回のテーマ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「母の背中」 ◆◆━━ テーマ解説 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 前回の編集後記に書いた、「福祉のまちづくり講座」という研修を受けた時 の話です。 前号(vol.53)はこちら。 ↓ http://blog.mag2.com/m/log/0000169343/109173553.html 研修では、「ひとにやさしいまちづくりを進める大田区民の会」の紹介があ りました。 この会は、障害者、高齢者、子どもたちや子育てをしている方などの日常生 活や、社会活動を制約する様々なバリアを取り除くことで、地域を、誰もが 共に成長し、活躍できる地域社会にしてゆくことを目的としている団体です。 主な活動として、役所と協働したバリアフリー点検として、施設を作ったり、 まちづくりを進めたりする際の、障害者の視点による提言や、バス・鉄道事 業者へのバリアフリーに関する提言などを行っています。 「ひとにやさしいまちづくりを進める大田区民の会」のサイトはこちら。 ↓ http://www.ootakumin.com/ その会の会長である宮澤さんの話の中で、ご自身の書かれた文の朗読があり、 障害者や障害者福祉のことなどについて、いろいろなことを考えさせられま した。 宮澤さんから転載の了承をいただいたので、ここで紹介します。 -------------------------------------------------------------------- 「母の背中」 宮澤 勇 若い頃の母は、いつも泣いていました。 昭和24年に生まれた私は、三人兄弟の末っ子としてかわいがられて育てら れました。私が四才の時、父がどうも歩き方がおかしいと、気づき、病院を 転々とし、最後に飯田橋の警察病院で、「くる病」という診察を受けました。 戦後まもない当時の医療レベルと、先天性の発育不全では、半年間の入院生 活を経ても、完治しないのではないかと、親は行き場のない怒りに、どうし ようもなかったそうです。それでも根気よくマッサージ、リハビリに通院す るようにと言う医者の指示に従い、母と私の長く苦しい二人三脚が始まりま した。 じりじりと太陽が照りつけ、うるさいほどの蝉の鳴き声がする夏の暑い日に、 母は歩けない私を背負い、蒲田から電車を乗り継ぎ、病院に通いました。 私が覚えているのは、この頃です。日傘を持った母の背中がグッショリにな り、私の胸もベタベタになりました。幼い私は愚図り、泣きわめき、それを あやす母も泣いていたような気がします。 夜になると父と母が言い争っている声を聞きました。私を連れて死ぬ事も考 えたという母から、そして家の中から笑い声がまったく消えました。 リハビリを続けた効果でしょうか、少しずつ歩ける様になり、小学校の入学 式には、間に合いましたが、少し走ると疲れてしまうので、体育や運動会は 見学でした。 骨が丈夫になるからと、煮干をおやつがわりに食べ、どこからか宗教に入れ ば治る、という人が現われ母を説得していました。わらをも掴みたい親の気 持ちも分かりますが、人の弱みに土足で踏み込んでくる人達を、私は嫌いで した。 その後自転車通学で中学を卒業、将来技術を身につけて、自立して欲しいと 思った父の考えで、貴金属加工という指輪等を作る会社に住み込んで就職す ることになりました。 今でも父に感謝しているのですが、実はこれが私にとって大きな転機となり ました。 わがまま放題に育った私は、家族の中では王様でした。 兄や姉も私に逆らわず、兄弟げんかにもなりませんでした。もちろん親も腫 物にさわるように近づき、ときに凶暴になった私に「ごめんね、ごめんね」 と、ただ謝るだけでした。 私が一変したのは、横浜の会社の住み込み生活をしてからです。 八畳の部屋に二段ベッドが三つ、六人が生活するのを見て、とんでもない所 へ来てしまったという気がしました。毎日、先輩より早く起き、掃除、通い の職を含む12人の道具を磨き、食事の支度、そして冷飯、家では考えられ ない生活になりました。先輩に殴られ、飛び出したこともありましたが、歯 を食いしばり、今にみていろと思い、戻りました。 苦しかった五年間の生活を終えて、家に戻った私に、母は「よくがんばった ね。たくましくなった」と言って、又泣きました。 トランプの枚数の中に一枚のジョーカーがあります。そのたった一枚のジョー カーを、たまたま私が引いただけなのです。そのジョーカーは、使いように よっては、ゲームの上がりのエースになれるのです。 何も望まない、そのかわり何もしない、それでは、ただの厄介者でしかあり ません。卑屈にならず、さりとて挑戦的にならず、たんたんと、一生懸命、 生きて生きたいと思います。 今、私は、生業のかたわら、大田区の肢体障害者団体の福祉活動を、微力で すがお手伝いさせていただいて居ります。当然のように、私達肢体障害者に も、高齢化が進んでいます。行政による公的介護の問題も間近に迫っており ますが、誰にでも当たり前な、出掛ける、遊ぶ、食べる、といった少しも贅 沢ではない行動が、出来ない人が、たくさんいます。その為の一人でも多く のボランティアの必要性に迫られています。又、障害に悩み、苦しんでいる、 心の中のバリアフリーにも取組まなければと思っています。 あの暑い夏の日、汗にまみれた母の背中を忘れない限り、どんな困難も乗り 越える勇気が持てるのです。 -------------------------------------------------------------------- 宮澤さんの文は私に、「障害者も『普通に』生きているんだ。」ということ を強く認識させてくれました。 それこそが、バリアフリーやユニバーサルデザインという考えの土台となる のですね。 また、「何も望まない、その代わりに何もしないという考えを持つ障害者が 少なくない。果たしてそれでいいのか。」という問いかけがありました。 それは、障害者同士の話であると同時に、役所の仕事全般への問いかけでも あるような気がしました。 役所はよく「住民ニーズがあるから」という理由付けをしますが、果たして 本当にニーズをつかんでいるのか、そのことについてよく考えてみることも 必要だと思います。 聞こえてきた声だけに応える事業や仕事をしていないか。 住民からのアクションがなければ放っておいていいのか。 苦情がなければ「問題なし」なのか。 アンケートをとれば、住民の視点や生の声がわかるのか。 「役所に何も望まない」とか「役所に対して行動をしない」ということにあ ぐらをかいてしまってはいないでしょうか。役所の視点だけで何でも決めた り進めたりしまってはいないでしょうか。 今回は福祉がテーマの研修でしたが、私にとってはそれ以外にも「住民との バリアフリー」などについても考えさせられる研修でした。 ◆◆━━ 編集後記 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 数年前に新任研修を受け持った保育士の方から、結婚しましたとのメールが 届き、パートナーとの幸せそうな写真が添付されていました。 数日後には、別の研修生から9ヶ月半になるお子さんの写真が送られてきて、 その両方に、とてもうれしく思いました。 (新任研修に関わることの喜びや醍醐味は、実はこういうところにあったり するのです。) 彼女たちの新任研修のでは、「5年後の自分」という宿題を出しました。 5年後の自分がどうなっているか、どういう仕事や生活をしていたいかを考 え、そのために新人の今、何をすべきかを書き出してもらったのです。 (ちなみに、今回メールを送ってくれた二人の宿題には、それぞれ「結婚し ている」、「子どもがいる」と書かれていた記憶があります。) 半年後のフォロー研修で、それをベースにしたカリキュラムを予定していた のですが、私の時間配分のミスからそれが叶いませんでした。そこでやりた かったのは、「具体的に」ということをポイントに、将来の自分のあり方や それまでのプロセスを考えるというものでした。 公務員はその仕事の流れから、一ヶ月や一年といった繰り返しのパターンの 中に身を置くことが多いので、足元ばかりを見ていると、自分の進みたい方 向を見失ってしまうことがあります。 最近は、そういったことが引き金になって心身のバランスを崩してしまう人 も多いと聞きます。 そうならないためにも、そして充実した公務員生活を送るためにも、5年で も3年でも、1年でもいいから将来のことを考えて生活や仕事をしてほしい。 特に新人のうちからそういったことを意識して欲しいと思っています。 途中でいくらでも軌道修正していいんですから。(^_-)-☆ 皆さんは、5年後にどんな公務員生活を送っていますか? 今回もお付き合いいただき、ありがとうございました。 みなさんからのメールをお待ちしています。感想や意見、質問などが励みに なります。 また、「感じのいい公務員」や「まっとうな公務員」にまつわる話や皆さん の考えや扱って欲しいテーマなども、随時募集しています。 発表してもいい名前でこちらまでお願いします。 ↓ funana@mac.com ではまた。(^_^)/ ◆◆━━ 今日のBGM ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ Life In The Fast Lane / The Eagles ◆◆━━ 皆さんのワンクリック ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 皆さんのクリックひとつで救える命があります。 「クリック募金」では、皆さんのワンクリックで、スポンサー企業がNPOへ 寄付をし、アジアの恵まれない子どもたちや、盲導犬を必要としている人た ちなどに援助金を贈ります。 よかったら、アクセスをお願いします。 ↓ http://www.dff.jp/ ▼▲━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━▼▲ 「感じのいい公務員」になろう! ────────────────────────────── 発行責任者:タカハシヒロユキ (TAKAHASHI Hiroyuki) 自己紹介HP:http://homepage1.nifty.com/funana/hiro/welcome.htm e-mail:funana@mac.com このメールマガジンは、「まぐまぐ!」で配信されています。 登録・解除:http://homepage1.nifty.com/funana/melmaga.htm ────────────────────────────── ※お知り合いに転送される場合は、全文でお願いします。 ▼▲━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━▼▲


