「打感が軟らく感じる秘密」
●発行者の挨拶>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
発行者のサイドウェッジ横野です。
ブログ「ゆんたくホール」で横野隆弘が書き込んでいますが、横野
隆弘と「ZONE」ウェッジを紹介しているインターネットマガジン
、GOLF EVO(http://www.golfevo.com)が3月25日に発売されて
います。
「何故か燃える男のウェッジ造り」というところです。数回にわたり
紹介されるようで、ウェッジをつくる企画、開発から完成までの全工程
が紹介される予定ですので御覧になっていただければと思います。ただ
し購読に関しては1冊1200円と有料で、隔月(奇数月25日)の発行
となっております。
ゆんたくホール http://blog.sidewedge.net/
●VOL.119━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「打感が軟らく感じる秘密」
横野 隆弘
先日、ある取引先と話をしていた時のことである。「同じオープンの鍛造
から作ったウェッジなのに、弊社のウェッジの方は打感が軟らかいとお客
が言うのです。」という話題になった。確かに他の工場も使用しているオ
ープンの鍛造から作ったものであり、仕上げもノーメッキの黒染めと同じ
である。では、何故弊社のウェッジの方は打感が軟らかく感じるのであろ
うか。
実はこれにはちゃんと理由がある。数年前に私が気付いたのも些細なこと
からであるが、今まで工場に来社されたことがある方には話をしたことが
あるが、メルマガ等、誰が見ているか分らないところでは、その理由を話
したことは無かった。業界の人に教えたくなかったからである。しかし、
今回はその秘密を暴露することにしよう。弊社は、ウェッジを作るのはそ
の工程が当たり前として数年来やってきているので問題はないが、他社が
そのやり方をしようとすると、手間が掛かるのであまり真似しないのでは
と思ったからだ。
通常のアイアンの製造工程では、前工程といわれる打刻・ロフト・ライの
後に、粗研磨でヘッドを型取る。この粗研磨は主に#80ペーパーまでで、
そのあとに振動バレルに入れてペーパー目を取る。振動バレルとは、砥石
が入った大きなバレルの中にヘッドを入れ、(個数はバレルの大きさによ
っても変わるが、大きいバレルで500〜600個、小さいものでも30
0個位)砥石で約8時間、その後プラスチックで約3時間回す。
この工程で#80ペーパーの目を消すとともに微妙な丸みをつけることが
出来る。アイアンのキャビティの中はペーパーで磨けないので、鍛造の黒
皮を剥くには非常に便利なものである。しかし、この振動バレルでは、数
多くのヘッドが入っているため、小さな打痕とか砥石のこすれた跡とかが
ヘッド表面に残るのと、砥石が入りきらない部分は少しペーパー目が残る
。そのために、細かいペーパーで仕上げの研磨をしてから遠心バレルに入
れる。遠心バレルでは砥石も小さく余り硬くもない。この遠心バレルで1
時間半位回すと、表面が綺麗に仕上がり、そのままメッキの工程に持って
いけるようになる。
多くの手間が掛かる割には中国の価格と比較され、ヘッド単価をなかなか
高く出来ないこのごろの情勢の中で、近くの工場の多くは、振動バレルの
後の仕上げ研磨のペーパーの工程を減らして遠心バレルに入れるところが
増えてきた。
ここが秘密の部分である。このバレルという工程は、長時間砥石の中で回
すことにより、ペーパー目は消せるが、その分、硬い砥石がヘッドの表面
を摩擦するので表面硬化が起こる。弊社はキャビティのアイアンに関して
は、仕上げ研磨でその表面の部分を再度細かいペーパーで研摩し直すわけ
だが、他社のようにこの工程を省くと、遠心バレルで再度表面を硬化させ
ることになる。
弊社ではウェッジに関しては、振動バレルも遠心バレルも使用せず、すべ
て手研磨でペーパーの目を殺して完成品まで仕上げている。バレルを使用
するのと比べると大分手間は掛かるが、軟鉄鍛造のウェッジを使用したい
と望むお客様は、打感の軟らかさを求めているのだからという理由で、こ
こ数年、ウェッジは手仕上げを続けてきた。これが、他社と比べると打感
が軟らかいと言われる秘密の部分である。
このことに気がついたのは、ある工場で仕上げたウェッジの打感が硬いと
いう噂を聞いたときである。その工場のアイアンは今まで打感が軟らかい
と言われてきた。では、何故そのモデルのウェッジだけが打感か硬いと言
われるのかと思い、そのウェッジの作られている工程を調べてみた。する
と、アイアンは振動ベレル→仕上げ研磨→遠心バレルという工程なのに、
ウェッジは単価の関係で、振動バレル→遠心バレルという工程だった。
仕上げ研磨を省くだけでそれほど硬さが変わるのなら、いっそのことバレ
ルを使わなかったらどうだろうかと思い、手研磨でウェッジを仕上げて、
従来からの取引先に感想を聞いてみた。すると、予想通り軟らかいという
感想が返ってきた。
それ以来、弊社のウェッジは全て手研磨で仕上げるようになった
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◆発行者:Side Wedge(サイドウェッジ)横野秋雄
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