ゴルフクラブプロデューサー「横野 隆弘」  RSSを登録する

日本ゴルフクラブ発祥の地「兵庫県・市川町」において、数々のツアープロのクラブを創ってきた横野隆弘。クラブ理論、金属学、そして芸術家はだしの製造工程すべてをトータルに熟知しているクラブプロデューサ「横野隆弘」が語るマガジンです。

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2008/03/27

「打感が軟らく感じる秘密」

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 ●発行者の挨拶>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

  発行者のサイドウェッジ横野です。

  ブログ「ゆんたくホール」で横野隆弘が書き込んでいますが、横野
 隆弘と「ZONE」ウェッジを紹介しているインターネットマガジン
 、GOLF EVO(http://www.golfevo.com)が3月25日に発売されて
 います。

 「何故か燃える男のウェッジ造り」というところです。数回にわたり
 紹介されるようで、ウェッジをつくる企画、開発から完成までの全工程
 が紹介される予定ですので御覧になっていただければと思います。ただ 
 し購読に関しては1冊1200円と有料で、隔月(奇数月25日)の発行
 となっております。


  ゆんたくホール http://blog.sidewedge.net/


 ●VOL.119━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 
  「打感が軟らく感じる秘密」

                                   横野 隆弘
                                          

 先日、ある取引先と話をしていた時のことである。「同じオープンの鍛造 
 から作ったウェッジなのに、弊社のウェッジの方は打感が軟らかいとお客 
 が言うのです。」という話題になった。確かに他の工場も使用しているオ
 ープンの鍛造から作ったものであり、仕上げもノーメッキの黒染めと同じ
 である。では、何故弊社のウェッジの方は打感が軟らかく感じるのであろ
 うか。

 実はこれにはちゃんと理由がある。数年前に私が気付いたのも些細なこと
 からであるが、今まで工場に来社されたことがある方には話をしたことが
 あるが、メルマガ等、誰が見ているか分らないところでは、その理由を話
 したことは無かった。業界の人に教えたくなかったからである。しかし、
 今回はその秘密を暴露することにしよう。弊社は、ウェッジを作るのはそ
 の工程が当たり前として数年来やってきているので問題はないが、他社が
 そのやり方をしようとすると、手間が掛かるのであまり真似しないのでは
 と思ったからだ。

 通常のアイアンの製造工程では、前工程といわれる打刻・ロフト・ライの
 後に、粗研磨でヘッドを型取る。この粗研磨は主に#80ペーパーまでで、
 そのあとに振動バレルに入れてペーパー目を取る。振動バレルとは、砥石
 が入った大きなバレルの中にヘッドを入れ、(個数はバレルの大きさによ
 っても変わるが、大きいバレルで500〜600個、小さいものでも30
 0個位)砥石で約8時間、その後プラスチックで約3時間回す。

 この工程で#80ペーパーの目を消すとともに微妙な丸みをつけることが
 出来る。アイアンのキャビティの中はペーパーで磨けないので、鍛造の黒
 皮を剥くには非常に便利なものである。しかし、この振動バレルでは、数
 多くのヘッドが入っているため、小さな打痕とか砥石のこすれた跡とかが
 ヘッド表面に残るのと、砥石が入りきらない部分は少しペーパー目が残る
 。そのために、細かいペーパーで仕上げの研磨をしてから遠心バレルに入
 れる。遠心バレルでは砥石も小さく余り硬くもない。この遠心バレルで1
 時間半位回すと、表面が綺麗に仕上がり、そのままメッキの工程に持って
 いけるようになる。

 多くの手間が掛かる割には中国の価格と比較され、ヘッド単価をなかなか
 高く出来ないこのごろの情勢の中で、近くの工場の多くは、振動バレルの
 後の仕上げ研磨のペーパーの工程を減らして遠心バレルに入れるところが
 増えてきた。

 ここが秘密の部分である。このバレルという工程は、長時間砥石の中で回
 すことにより、ペーパー目は消せるが、その分、硬い砥石がヘッドの表面
 を摩擦するので表面硬化が起こる。弊社はキャビティのアイアンに関して
 は、仕上げ研磨でその表面の部分を再度細かいペーパーで研摩し直すわけ
 だが、他社のようにこの工程を省くと、遠心バレルで再度表面を硬化させ
 ることになる。

 弊社ではウェッジに関しては、振動バレルも遠心バレルも使用せず、すべ
 て手研磨でペーパーの目を殺して完成品まで仕上げている。バレルを使用
 するのと比べると大分手間は掛かるが、軟鉄鍛造のウェッジを使用したい
 と望むお客様は、打感の軟らかさを求めているのだからという理由で、こ
 こ数年、ウェッジは手仕上げを続けてきた。これが、他社と比べると打感
 が軟らかいと言われる秘密の部分である。

 このことに気がついたのは、ある工場で仕上げたウェッジの打感が硬いと
 いう噂を聞いたときである。その工場のアイアンは今まで打感が軟らかい
 と言われてきた。では、何故そのモデルのウェッジだけが打感か硬いと言
 われるのかと思い、そのウェッジの作られている工程を調べてみた。する
 と、アイアンは振動ベレル→仕上げ研磨→遠心バレルという工程なのに、
 ウェッジは単価の関係で、振動バレル→遠心バレルという工程だった。
 仕上げ研磨を省くだけでそれほど硬さが変わるのなら、いっそのことバレ
 ルを使わなかったらどうだろうかと思い、手研磨でウェッジを仕上げて、
 従来からの取引先に感想を聞いてみた。すると、予想通り軟らかいという
 感想が返ってきた。

 それ以来、弊社のウェッジは全て手研磨で仕上げるようになった

 

  
  
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   ◆発行者:Side Wedge(サイドウェッジ)横野秋雄
   ◆URL:http://www.sidewedge.net
  ◆blog:http://blog.sidewedge.net/
   ◆連絡先:akio-yokono@sidewedge.net
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