ゴルフクラブプロデューサー「横野 隆弘」   RSSを登録する

日本ゴルフクラブ発祥の地「兵庫県・市川町」において、数々のツアープロのクラブを創ってきた横野隆弘。クラブ理論、金属学、そして芸術家はだしの製造工程すべてをトータルに熟知しているクラブプロデューサ「横野隆弘」が語るマガジンです。

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2007/09/11

「何がお客様のためなのか?」

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  ■ゴルフクラブプロデューサー横野隆弘
         VOL.109    2007.9.11
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 ●発行者の挨拶>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

  発行者のサイドウェッジ横野です。

  9月に入り少し日差しもゆるくなったような気が致します。
 先日、大阪のある練習場で行われた横野隆弘のクラブ勉強会に参加
 され、オーダーアイアンセットを創りたいとおっしゃられてた社長
 さんが、ゴルフプレー中に倒れ亡くなられました。

 もともと心臓が少し悪かったのですが、連日30度を超えていた暑い
 日のプレーだったのでその影響も大きくあったのではないかと思い
 ます。何度かお会いしクラブの話をさせていただき、一緒にお酒も
 飲んだことがあるので大変残念な気持ちです。御冥福をお祈り致し
 ます。

 皆様もラウンド中は必ず帽子をかぶり、水分を十分とるように注意
 して下さい。

 *ブログ「ゆんたくホール」を始めました。
  私と横野隆弘が思うままのことを書きます。
  よろいければ御覧になって下さい。
  http://blog.sidewedge.net/  

   
 ●VOL.109━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


   「何がお客様のためなのか?」

                              
                                     横野 隆弘


 阪神タイガースが首位に立ちました。12ゲーム離されたときには、
 今年はダメかなと思い、スポーツ新聞にもあまり目を通さなかったの
 ですが・・・。読者のなかの巨人・中日ファンの方、申し訳ありませ
 ん。クライマックスシリーズはどうかわかりませんが、シーズン1位
 はタイガースが頂きます。

 話は変わりますが、先日、ある取引先A社からお叱りの電話を頂きま
 した。このA社とは今回が初めての取引で、試作品が仕上がったので
 商品を発送したところフェースのミーリングの後が薄いということで
 す。

 もともと最初の打ち合わせではA社はフェースのミーリングはいらな
 いということでした。しかし、A社の営業の方が、フェースにミーリ
 ングがないと販売しにくいということでミーリング加工することにな
 ったのです。このミーリング加工したものでサンプルを仕上げ、その
 サンプルでカタログの写真取をしたわけです。

 内情をいいますと、この商品はフェースミーリング+スコアライン彫
 刻でメッキ処理をし、サテン仕上げで販売する予定です。このサンプ
 ルに関しては、カタログの写真取の日付をA社が急に決め、この日ま
 でに何とか間に合わせて欲しいと連絡してきました。

 弊社としては急に言われても出来ません。そのことでA社と話をして 
 いると、「それではヘッドはノーメッキで結構です。ヘッドを一旦ミ
 ラー仕上げにし、その上からサテンバフをかけると写真ではニッケル
 クロームサテンのように見えますから、その状態なら間に合いますか
 ?」と聞かれたので、「その状態でいいのなら1個だけなら一日で仕
 上げます。」と答えた。

 しかし、ノーメッキのサテンバブ仕上げの為、フェースにサンドブラ
 スト処理を施さずに発送してしまった。先方はこれでもいいと、その
 サンプルで写真を撮りカタログを製作した。このカタログには、ノー
 メッキの上にサンドブラスト処理をしていない為、フェースのミーリ
 ング後がはっきりと出ている。

 今回、本番用の試作品は、メッキ処理をし、サンドブラスト処理もし
 た。このときに、フェースのミーリング後は薄くてもいいですと、営
 業の方に確認をしていた。試作品はミーリング跡が薄い上に、サンド
 ブラスト処理をしている為、ブラスト部分は良く見ないとミーリング
 後が見えない状態に仕上がっていた。(サンドブラスト処理をしてい
 ない部分はミーリング跡ははっきりと見えているのだが)

 さて、お叱りの原因は、ミーリング跡がこんなに薄くては、カタログ
 と違う仕上げになってしまうことである。この件でのA社の社長との
 会話です。

  A社「こんなに、ミーリング跡がついていないのでは困る。」

  私 「もともと社長との話では、ミーリング跡が深ければ深いほど
     スピンがかかりにくくなるので、社長は、ミーリングは必要
     ないといわれていましたよね。その件が気になっていたので、
     試作品のメッキ前に営業の方に確認をし、見えるか見えない
     かの薄い状態でいいといわれ、試作品を作りました。もっと
     深くしろということであれば出来ますが、スピン量が減少し、
     品質的には劣りますよ。それでも構わないのですか?」

  A社「スピン量が減ってもいいからミーリング跡をカタログ通りし
     っかり残せ。それとフェースのブラストはしなくていい。」

  私 「メッキしたヘッドにサンドブラスト処理をしないと、コース
     ではヘッドが光って構えられませんよ。それでは、販売して
     もお客様からクレームが来ますよ。」

  A社「それでもいいから、カタログ通りに仕上げろ。」

 ミーリング跡が深ければ深いほどスピンはかかりません。ミーリング  
 跡とスコアラインが交わるところには、当然のようにミーリング跡が
 スコアラインを削っています。ライン彫刻だけのものは、ルーペで見
 るとスコアラインがカミソリのようにまっすぐです。

 しかし、ミーリング跡がラインを通ったものは、ノコギリの刃のよう
 にギザギザになっています。ボールにあたる面は、ノコギリよりカミ
 ソリのほうが広くなり、スピンをかけ易くなります。

 このことを説明しても、「そんなことはわかっている。品質よりも、
 カタログと比較しての見た目が大事なんだ。」の回答です。

 私としては、「カタログにはこんなに深くミーリングしてあるが、実
 際ミーリングが深いとスピンがかかりにくくなるので、実際の商品は
 少し薄くスピンがかかるようにしています。」と説明すれば、購入さ
 れるお客様も、カタログと少し違っていても納得して購入されるので
 はないかと思うのだが・・・。

 サンドブラストの件については、メッキ前にフェースにサンドブラス
 ト処理をする(先サンド)をすれば、メッキ後のサンドよりはミーリ
 ング跡がよくわかる。この方法でサンプルを再度作り直して発送する
 と、この方法を気に入ったのか、この件は一応落ち着いた。

 皆さんは今回の件をどう思われますか?カタログ通りがいいのか、も
 しくは、カタログから見た目が少し変わっても機能を優先した方がい
 いのか?

 私個人としては、見た目より機能を優先させますが・・・。

 


  
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   ◆発行者:Side Wedge(サイドウェッジ)横野秋雄
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  ◆blog:http://blog.sidewedge.net/
   ◆連絡先:akio-yokono@sidewedge.net
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