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40歳過ぎて今まで敬遠していた自然科学の勉強を始めた日本人主婦が、7年後念願果たしてコロラド大学医学部入学。最年長の医学生としてアメリカの医学部生活を開始します。米国医学部の現状や医療現場の新しい動きなどもお伝えします。

  • 発行周期 週刊
  • 最新号 2009/10/26
  • 部数 689部
  • メルマガID 0000166625
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2008/11/17

51歳日本人主婦の米国医学部便り vol.75

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51歳日本人主婦の米国医学部便り

第75号                                  2008.11.16.

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皆様、いかがお過ごしですか?

あっと言う間に時間が経ってしまいました。外科のローテーションも
後半に入ります。

麻酔科に集中した一週間も無事終わりましたが、その間に気管内挿管
すること、37回に及びました。

5日間の麻酔科のうち、一日は隣町にある新築のりっぱな医療センター
内にある心臓センターでの数時間に渡る冠動脈バイパス手術を
麻酔科の先生のいる場所から直に見学する機会があったため、
気管内挿管は行わなかったので、一日10件近く気管内挿管を
させてもらえたことになります。

初日は、気管内挿管の前の酸素を送るためのバッグマスクの人工換気
(Bag mask ventilation) でマスクを顔に当てることも上手にできず、
マスクの横からスースー酸素が抜けて行ってしまっていたりしていた
のですが、週の後半にはともかくそれは上手にできるようになりました。

(テレビドラマなどではいとも簡単にやっているように見えますが、
初心者には結構難しいものです。)
お鼻がすごく高く凹凸が顕著な患者さんや、顎ヒゲの方などは
特にコツを要しました。

「バッグマスクの人工換気は地味で医学生はすぐ
かっこいい気管内挿管をやりたがるけれど、何よりも
まずはバッグマスクの人工換気を上手にできるようになることが大事。
それがきちんとできれば多くの人の命を救えるからね」と、何人もの
麻酔科の先生からのコメント。

ところで、この麻酔科グループには合わせて約50人近くもの医師と
麻酔専門看護師が登録されているそうで、この町と近辺の約15箇所の
手術関連施設にローテーションしているそうです。

麻酔専門看護師は特別な資格をもった麻酔師で、麻酔科の医師のスーパー
バイザーの下ではありますが、通常の麻酔では医師の同席なく
まったく同じ仕事を行います。長いキャリアの方はもう20年以上も
なさっているそうです。

心臓手術などの大きな手術には、麻酔科の先生もフェローなど、
研修医の後や研修の最中に特別な訓練を受けた先生が入ります。
心臓手術を担当する麻酔医師はこのグループには7人おられるとのこと。

さて、気管内挿管ですが、まず金属の喉頭鏡を挿入して挿管チューブの経路
を確保します。喉頭鏡には二種類あり、ストレートブレードのミラーと
曲型のマッキントッシュ(一般にマックと言われている)があります。

面白いのは、ミラー派とマッキントッシュ派がいて、それぞれの
麻酔の先生に、「こっちの方がいい」とそのたびに勧誘(?)されること。

実際は、マッキントッシュで訓練を受けて来た先生が多いのですが、
その後、何年もして結局ミラーに切り替える先生もまた多い印象を
受けました。一般的にマッキントッシュで確保できないものも
ミラーのストレートブレードで確保できるということで、逆の場合は
ないそうです。

「無人島に流されて、ひとつしか持っていけないのなら、ミラーにする」
と皆おっしゃっていました。でも、わたし達医学生は、マッキントッシュの
方が多少習得しやすいかな、という感じもありましたが。

そのほか、麻酔関連の薬剤について教科書や医師から学んだり、
麻酔医師の下、腰椎麻酔も実際に行いました。私のクラスメートである
パートナーは、腰椎麻酔も10症例近く行ったと報告していました。
(私は、まだ2症例しかしていません。私のパートナーは、
自分が針好きなのがわかった、などと言っておりました、、、。)

さて、外科のほうですが、毎朝5時に出勤。まずは外科病棟の患者さんの
回診を行い、医学生3年生としてカルテに状況を書き入れます。
これは、後でシニア・ドクター(アテンディング・ドクター)に署名して
もらいます。
それから、7時ごろから手術。

多いときには一日に5症例もスクラブ・イン(実際に助手として手術を手伝う)
させてもらい、腹腔鏡手術でカメラを操ることから、最後には1針から
4針ぐらいまでの縫合、それから乳癌の手術では乳房切除などの第一助手を
しました。

オペ室内で見学したのは、肺癌患者の肺葉摘出、ロボットを使った泌尿器科の
手術、そして先に触れた冠動脈バイパス手術があります。

その冠動脈バイパス手術では、第一助手の資格を持った看護師が
スコープを使ってグラフト採取を別の有資格の看護師から
指示を受けながら行っていました。米国の看護師には本当に様々な
キャリアの道が開けているのでびっくりしています。

この手術は人工心肺を使いましたが、まず初めて見る鼓動する心臓に
感動し、その後人口心肺を外すときに細動を起こしている心臓にショック
を与え、また正常に戻って機能している心臓の動きにいたく感動して
涙が出そうになりました。

二週間後にやはりバイパスと弁置換術を見学したパートナーも
「見てて、涙が出てきそうになっちゃった」とやはり感動したようです。

明日から後半の4週間が始まります。
では、また。

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発行者:ルコウ俊子

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colorado_med@yahoo.co.jp

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先週の当直の晩。

看護師さんが、ふと「やっぱり」というから何かと思いきや、
「満月の夜は、なぜか盲腸の緊急オペがペア(2症例)入ってくるのよ」
とまず一人目の緊急オペの患者さんを準備しながらおしゃっていました。
「え?そんな統計でもあるんですか?」とたずねると
「ただ、私が気づいただけなんだけれどね」とのこと。

盲腸の緊急オペを2つ終えて夜10時近く病院を出ると
満月の光が駐車場一帯を照らしておりました、、、、。


では、皆様も素晴らしい一週間をお過ごしください!


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