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2006/11/30

講道館杯戦評(男子81kg級・90kg級・100kg級・100kg超級)

道情報サイト「eJudo」運営者の古田です。

eJudo携帯版では、11月21日より、講道館杯戦評を毎日2階級ずつ配信しています。

今回は、11月26日に配信が終了した男子4階級についてお送り致します。

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※携帯版「eJudo」では30日に新作ムービーを配信予定です。
 また、12月2日は好評の着ボイス「応援ボイス」を追加アップ予定です。

■eJudo
http://www.ejudo.info

※PC版「eJudo」では醍醐杯速報、西日本少年大会速報のほか、目前に迫ったアジア大会TV放送予定を掲載しています。

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【81kg級】 
優 勝 塘内将彦(旭化成) 
準優勝 吉永慎也(新日本製鉄) 
第3位 橋口幸治(大阪府警察)
第3位 加藤博剛(国士舘大学3年

アテネ五輪代表の29歳、ベテラン塘内将彦が若手選手を次々と破って2度目の優勝を飾った。

決勝はその塘内と2連覇を狙うW杯代表の吉永慎也。
右相四つ。序盤の塘内ペースから、常に前に出る吉永に徐々に主導権が移り、中盤移行は吉永のペース。
3分30秒、吉永は双手刈から得意の寝技に持ち込むがこれは押さえ込み寸前で塘内が逃れ「待て」。
その後も吉永やや優勢のまま勝負はGSに持ち越された。

吉永の組み手の巧さに苦しみなかなか技が出ない塘内だったが、やや吉永の圧力が弱まった2分すぎから引き手・釣手ともに次第に持てるようになってくる。
すると2分30秒、十分な組み手からタイミング良く大外刈に飛び込むとこれが豪快に決まり「一本」。
塘内が2年ぶりの講道館杯優勝を決めた。

今大会は決して前評判が高くなかった塘内だったが、学生王者稲葉将太(東海大)、
選抜体重別覇者の河原正太(京葉ガス)、若手の実力者石川賢次(大阪府警)、そしてW杯代表の吉永慎也に勝利しての優勝は賞賛に値する。
特に吉永戦の綺麗な大外刈での一本勝ちはインパクト十分、健在ぶりを見せつけた。

ポイントは準々決勝の河原正太戦。
今年の選抜体重別覇者、強化A指定の河原に残り15秒で有効を奪われたが、そこから目が覚めたようにすかさず袖釣込腰で有効を奪い返し、
最後は横四方固に仕留めてみせ勢いに乗った。

また、増渕暢(山梨学院大)との初戦が不戦勝ち、準決勝で対戦の可能性があった選抜体重別2位の法兼真(筑波大)が欠場と、
運を味方につけた部分もあった。

この階級の第一人者は小野卓志(了徳寺学園)だが、国際大会でのこの階級は全体的に安定感に欠け、世界で通用するにはあと一歩と言われている。
実力者は揃っているのだが、近年代表として送り込まれた選手が安定感を見せて優勝することができていない。

今回はダークホースの塘内が優勝したが、4月の選抜体重別で誰が優勝するかとなるとまったく予想がつかないのが現状だ。

どの選手も、世界大会でメダルを狙うには、実力横一線のこの状況から頭ひとつ抜け出る力を備えなければならないだろう。

ジュニアの代表格、垣田恭兵(近畿大)が準々決勝進出を果たした。シニアでも物怖じしない戦いぶりで、将来の活躍を期待させる試合だった。

【90kg級】 
優勝 斉藤制剛(旭化成) 
準優勝 矢嵜雄大(了徳寺学園) 
第3位 横野智也(警視庁) 
第3位 今井敏博(綜合警備保障)

決勝は斉藤制剛と矢嵜雄大、予想どおりの両雄の激突となった。

選抜体重別の再戦となったライバル同士の対決は、斉藤右、矢嵜左のケンカ四つ。
矢嵜は組み手の上手さで斉藤に攻め手を与えず、5分の本戦では決着がつかずに試合はGSへ。

矢嵜は1分半に内股、2分50秒には斎藤の大内を返しての隅落とあわやという場面を作ったがポイントを奪えず。
3分35秒、矢嵜の内股を耐えた斉藤が後方に掬投。これが「効果」となり斉藤が本大会大会3連覇、4回目の優勝を果たした。

これで斉藤の国内最強が明確になった。国内でここまで勝ち続けているのだから、そろそろ世界に活躍の場を移したいところだ。

来春の選抜体重別で優勝すればリオ世界選手権の代表は濃厚となるだろう。
ただし、ここまで国際大会でいまひとつ成績を残しきれていない斉藤としては、
冬のヨーロッパツアーで外国人の苦手意識を解消し、結果を残すことが絶対条件となる。

29歳と年齢的にもリオ世界選手権・北京五輪がラストチャンスになると思うが、ここまで積みかさねてきた国内の連勝を無駄にはして欲しくない。

2位の矢嵜も磐石の試合運びで決勝まで進んだが、最後は斉藤の粘りに屈する形となった。
準決勝までのは学生が相手と組み合わせにも恵まれたが、この日の試合は気合十分で内容も充実、実業団の優勝と合わせ復調の兆しが見えた。
この調子を維持すれば世界大会の選考の上でも欠かせない存在となりそうだ。

超高校級の呼び声高い森田晃弘(桐蔭学園高)は初戦敗退。
ジュニア界で大活躍をしているだけにシニアの壁の高さを痛感した一戦であった。


【100kg級】 
優 勝 穴井隆将(天理大学) 
準優勝 猪又秀和(セコム上信越) 
第3位 庄司武男(神奈川県警) 
第3位 本郷光道(中央大学)

決勝は絶対的な優勝候補の穴井隆将と、昨年の学生体重別で全日本チャンプの石井慧(国士舘大)から一本勝ちをおさめている猪又秀和の対戦。

穴井は2分半に内股で有効、3分半には猪又の背負投を切り返して一本を奪い優勝を決めた。
一波乱起きる期待もあったが、穴井は地力の違いをみせつけ、着実な柔道で付け入る隙を与えなかった。

現在の100kg級のトップ3のうち鈴木佳治(平成管財)と石井慧(国士舘大)が欠場した今大会、穴井の優勝は当然とも言うべき結果だろう。

大会通じて決して調子が良いとはいえなかった穴井であるが、
勝って当然の評価の中を取りこぼしなく優勝するあたりからも他選手とは力量差が感じられ、
世界戦の代表選考もこの3人に絞られるのは間違いない。

選抜体重別を制し、穴井からも一本勝ちを奪っている試合巧者庄司武男(神奈川県警)も優勝候補ではあったが準決勝で猪又秀和に有効負け。
決勝進出すれば穴井との相性の良さからも十分優勝を狙えただけに残念な一戦であった。

ジュニアや大学生のエントリーが多く、西潟健太(国士舘大)、増田貴大(東海大)、横山裕司(国士舘大)、本郷光道(中央大)らがベスト8に進出、
本郷は3位に入った。格上と見られる社会人相手に勝利する試合もいくつかあり、これからの成長ぶりが楽しみだ。

【100kg超級】 
優勝 井上康生(綜合警備保障)
準優勝 生田秀和(綜合警備保障)
第3位 高橋宏明(旭化成)
第3位 片渕慎弥(日本中央競馬会)

1年10ヶ月ぶりの個人戦出場となった井上。100kg超級に転向後の初陣であったが、どう見てもいつもと勝手が違うようであった。
自身「講道館杯独特の雰囲気があった」とコメントしていたが、長期欠場のブランク、それに伴う試合勘の鈍り、
100kg超級より格段に重く大きい相手選手は井上に普段以上のプレッシャーを与えていたようだ。

初戦、腰の重い池田広樹(国士舘大)に積極的に技を仕掛けるもことごとく潰されてしまう。連続技も時折繰り出すが、スピード不足。
一回り体が大きくなり、相手も組み止め、自分も止まってから技を仕掛ける井上の姿はかつてと明らかに違い、違和感が漂う。
中盤に池田に指導が与えられそのまま時間。
勝利はしたものの、あくまで一本を取りに行く井上らしい姿勢が見られない試合で会場も不安の声に包まれた。

3回戦は紺野大輔(京葉ガス)に対し飛び込むような大内刈で有効を奪うと上四方固で一本勝ち。

準々決勝は学生王者の巨漢立山広喜(国士舘大)にケンカ四つの組み手でうまく対応しつつ内股で有効を奪い優勢勝ち。
準決勝も同様の展開で実業団王者の片渕慎弥から技有を奪って決勝に進出した。

決勝の相手は何度も対戦し手の内を知り尽くしている生田秀和。硬さも取れたのか、1分15秒、生田の下がり際に内股に飛び込んで見事に一本勝ち。

初戦からエンジン全開で一本を取りに行くのが本来の井上のスタイルであり、決勝こそ見事に一本勝ちしたものの、内容よりも勝ちを急いだのか、
決して試合内容は良くないという印象を受けた。
実績十分の井上であるが、形の上では棟田康幸(警視庁)、高井洋平(旭化成)を追いかける立場で内容も求められた今大会、決して本人も納得はしていないだろう。

仕掛けた技がつぶれてしまう場面が何度も見られた。階級を上げた影響であるとすれば、いかに体重差をカバーしていくかが今後の課題。

いずれ、井上復活が本物であるかどうか、その評価は冬のヨーロッパツアーを待つこととなりそうだ。

[文責 高橋秀明・古田英毅]

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