講道館杯戦評(女子63kg・70kg・78kg・78kg超)
道情報サイト「eJudo」運営者の古田です。
eJudo携帯版では、11月21日より、講道館杯戦評を毎日2階級ずつ配信しています。
今回は、11月23日に配信が終了した女子4階級についてお送り致します。
携帯版では、明日25日から3回に渡って男子7階級の戦評をお送りいたします。ぜひアクセスしてみてください。
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【63kg級】
優 勝 上野順恵(三井住友海上火災保険)
準優勝 平井希(東海大学2年)
3位 新改七星(大阪府警察)
3位 川崎由紀(帝京大学4年)
決勝に上がったのは優勝候補筆頭の上野順恵と学生では無敵を誇る平井希、予想通りの対戦となった。
共に左の相四つ。
体落を得意とする両者ではあるが組み手が厳しく、2分過ぎに「指を握り合わす」で両者に「指導1」となる。
上野は攻める姿勢は見せるも平井には選抜体重別で敗れている(GS効果・朽木倒し)ためか、慎重になりすぎ動きが硬い。
一方の平井は上野の巧さになかなか十分な組み手になれない。
組み手争いが長く、お互いの技も間合いが遠く潰れてしまう。単調な試合で本戦が終了、GSに突入した。
尚も組み手争いの展開が続くが、3分45秒、平井が有利な組み手になり不用意に前に出た戻り際、
上野が片襟の体落に入ると平井はたまらず転がり「有効」となる。
苦しみながらも最後は実力通りにポイントを奪った上野がこの大会3連覇を達成した。
この階級の第一人者は谷本歩美。その最大のライバルである上野としては谷本不在の本大会の優勝は絶対条件であった。
谷本追撃に向け敗退が許されない状況の中、持ち前の着実な柔道で結果を残してみせた。
北京五輪を視野に入れると谷本・上野、そして若手成長株の平井、この3人で代表切符を争うこととなりそうだ。
3位には谷本育美との準々決勝を制した新改七星、さらに川崎由紀が入った。
川崎は先月の全日本学生でもベスト8に留まり、今回も2回戦で上野に敗れたが敗者復活を勝ちあがり、
3位決定戦で実力者吉澤穂波(セコム)をGS「技有」(裏投)で勝利しての本大会初入賞。
今後の成長が期待される。
【70kg級】
優勝 渡邊美奈(コマツ)
準優勝 岡明日香(コマツ)
第3位 今井優子(東海大3年)
第3位 清水千晶(三井住友海上保険)
この階級も実力者が多く選手は粒揃い。
そんな中、優勝候補には選抜体重別2位の岡明日香が挙げられていたが評判どおり勝ちあがり決勝進出。
同じコマツ所属の渡邉美奈との対戦となった。
右相四つ、お互い手の内を知る同門の対戦は5分では決着がつかずGSに突入。
GS開始早々の13秒、岡が渡邉の右背負投を警戒するところに、渡邉が思い切って逆方向への袖釣込腰。これが見事「一本」となり渡邉の初優勝が決まった。
一発を持つ渡邉の良さが大一番で発揮された形となった。
渡邉は9月の東アジア選手権で2位になってはいたが、戦前の評価では岡が上と思われていた。
本大会2連覇中でありこのところ好調の岡に勝利しての優勝とあって、改めてその実力を評価しなくてはならないだろう。
注目すべきは高校1年生・田知本遥(小杉高)の活躍。
学生2位の今井優子(東海大3年)に足車、ベテランの貝山仁美(三井住友海上保険)にGSの末大外刈と
いずれも一本勝ちで準決勝に進出し、シニアでも通用する力をみせつけた。
3位決定戦で負けてしまったことが惜しまれるところだ。
一方、戦前もっとも注目を集めていた高校生、上野三姉妹の三女・巴恵(旭川南高2年)は振るわなかった。
ジュニアタイトルを総なめにしていただけに期待が掛かっていたが、実力者七條芳美の前に内股すかしで2回戦敗退。
慣れないシニアの試合展開にのまれてしまった感もあり、若さが露呈した形となった。
ポスト上野の一番手とされていた岡が負けたことによって、代表争いはまたわからなくなってきた。
前述の高校生2人に加え、本大会で上位進出を果たした大学生の今井、國原、そして層の厚い社会人と各世代に有力選手が割拠するこの階級。
上野をおびやかす存在の出現を期待したい。
【78kg級】
優勝 長瀬めぐみ(了徳寺学園)
準優勝 堀江久美子(兵庫県警察)
第3位 平岡麻美(平成国際柔道クラブ)
第3位 鳥谷部真由美(セコム)
決勝の顔合わせは優勝候補筆頭の堀江久美子と長瀬めぐみ、同年代同士の対戦となった。
長瀬右、堀江左のケンカ四つ。
開始早々の30秒、長身の長瀬が引き手不十分ながら思い切って釣手を上から持って振り回すように内股。
堀江はこれを抱えて返そうとして一旦膝をつきそこで技が止まったかに見えたが、この機に長瀬は引き手を握り、
そのままケンケンで跳ね上げると堀江は大きく宙を舞い「一本」。
番狂わせに会場が大きく沸いた。
長瀬は2回戦で松崎みずほ(コマツ)を優勢で降したのを皮切りに、
池田ひとみ(埼玉大)を内股、鳥谷部真由美(セコム)を肩固と有力選手ばかりの非常に厳しい組み合わせの中を勝ちあがり、
最後は優勝大本命の堀江に内股で一本勝ち。
ここ最近元気のなかった長瀬にとっては本当に嬉しい優勝になったことだろう。
準決勝の鳥谷部戦では関節技での危ない場面を耐えて勝利、決勝でも堀江相手に決して引かず終始前に出た長瀬。前面に出た気持ちの強さが印象的だった。
また、ここで面白いデータを発見したので紹介したい。
01年、02年の学生大会の決勝で2人は対戦しており、どちらも長瀬が勝利しているのだ。
この大一番での一本勝ち、掘江に対する相性の良さも一役買ったのかもしれない。
この階級の一番手である中澤はカイロ世界選手権で銀を獲りはしたものの、まだまだ経験が浅く安定感に欠ける点は否めない。
この階級が世界で勝っていくためには中澤のライバルとなる選手の台頭が必須であろう。
長瀬の勝利により代表争いの幅は広がったといえる。
他の選手にもチャンスが生まれるのではないだろうか。
【78kg超級】
優勝 立山真衣(東海大学2年)
準優勝 松原知美(山梨学院大学4年)
第3位 馬籠恵子(社会福祉法人ほのぼの会)
第3位 中野公洋子(セコム)
大会前に杉本美香(筑波大学)、白石のどか(日本大学)の欠場が決まり、立山の圧倒的有利が予想されていたがまさにその通りの結果となった。
決勝はその立山と、ダークホース的存在の松原知美との対戦。
1分20秒、松原が一本背負投に来たところを、体重に大きく勝る立山が強引に返して「有効」。そのまま縦四方固で本大会初優勝を決めた。
立山は大会を通じてソツのない戦いぶりで優勝、実力差を見せつけた。
松原は準々決勝で実力者小松崎弘子(自衛隊体育学校)を一本背負投で撃破し波に乗っての決勝進出。
学生大会ではベスト8に終わっているだけに、今回の決勝進出は快挙といえるだろう。
超高校級の呼び声高い田知本愛(小杉高)は2回戦で清水伊穂理(ヤックスケアサービス)に一本負け。
9月の全日本ジュニアでも結果を出せずに終わっており、シニア相手に苦手意識があるようだ。
選抜体重別、皇后杯で2位となり、塚田・薪谷の後にピッタリつけている立山としてはこの大会は通過点。
来月の福岡国際で外国勢に、来年4月の選抜体重別では2強に挑むことになるが、是非ともその壁を打ち破ってもらいたい。
[文責 高橋秀明・古田英毅]
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