2009/12/28
【心と技のあいだ】vol.104 <レポートの達人>
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓 【心と技のあいだ】 2009.12.28 発行者:有限会社シーケン社 経営実務コンサルタント 谷口隆 有限会社シーケン社ホームページ http://cken.net メルマガ登録・解除 http://www.mag2.com/m/0000166118.htm 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓 〔 KI-CHI-RIに学ぶ 〕 先日、TVを見ていたら「KI-CHI-RI」のことをやっていまし た。 なかなか勉強になったので、ベンチマークしてみます。 まずは、「きちり」のホームページからの引用です。 <ここから> 株式会社きちりは、1997年の創業以来、成熟市場である外食業界の 中で、「We are Hospitality Creator!」をテーマに、真心のこもったお もてなし(ホスピタリティの提案・提供)によって“Positive Eating” という私どもの概念(楽しい食事により生まれる、癒し・豊かさ・明日へ の活力)を浸透させることにより社会生活の向上に寄与することで、外食 産業での新たなスタンダードの創造を目指してまいりました。 きちりの経営理念は、「大好きが一杯」という気持ちを自分の周りのす べての人達に表現する事で“人にふれ合い、人に感謝し、人に感動する” 事によって、一人でも多くの人達に癒し、豊かさ、明日への活力を提案、 提供し続ける集団でありたい。」であります。 これから私たちは、新しい企業の価値と創造を目指し、時代の変化に柔 軟に対応しうる情報の収集と半歩先のマーケティングの把握により、外食 に対し、お客様が健康・安全・安心でポジティブなイメージをお持ちいた だけるよう、さらなる努力を重ねてまいります。 代表取締役 平川 昌紀 ・家族、恋人、友達、お客様、社員、パートナー、お取引業者様、誰で もいい、自分の周りにいる人達を大好きになろう ・そして大好きに思っている人達から愛されるべき人間になろう ・顔を見たら、目があったら“ニコッ”とされるような愛すべき人間に なろう ・そしたらみんなすごく幸せな人間になれると思う ・大好きが一杯な人達と一緒に仕事が出来たらすごく楽しいと思う ・大好きが一杯で溢れている店をみんなと一緒に創っていきたい ・そして“きちり”が沢山の人達から“ニコッ”と微笑みかけられる存 在になりたい <ここまで> いかがでしょう。 私はまだこのお店には行ったことがありませんが、TVを見る限り、な かなか良い雰囲気のお店を作っています。 このお店の特徴は、ディズニーの「全てはお客様のハッピーのために」 やリッツ・カールトンホテル、レストランカシータの「ミスティーク(神 秘性)」をミックスさせたような感じのサービスです。 大半がアルバイトで人件費を下げて、その差額分でメニューを安くして います。 しかし、材料費はけちっていません。 社長自らメニュー作りに関与します。 例えば、シェフがトリュフの3分の1個くらいをスライスしてトッピン グしていたものに対してオーナーは、「1個まるごとふんだんに使ってお 客様を感動させて下さい。この値段でなんでここまで出来るの!というサ プライズを大事にして下さい。これは赤字でも良いので他で儲けるように 考えて下さい」と指示します。 デサートのアイスでも、輸入物を原価割れで提供したりしています。 しかし、それがうわさを呼び、お客様が集まってくるのです。 俗にいう「損して得取れ」のパターンですね。 もう一つは、アルバイトの教育です。 これは社長自らが指導します。 短期間で、きちりイズムを徹底的に教えます。 こようにして教育を受けたアルバイトたちは現場に出ると、誕生日と言 う会話を聞けば、写真を撮ってあげて、すぐに、その写真をメッセージカ ードにはさんで、プレゼントしたりします。 そんなことを当たり前に、さりげなく、しっかりとやってしまいます。 アルバイトでさえ、やれば出来るんです。 このように、「TOPがしっかりした意思を持って、しっかり教える~ しっかり実行させる」という見本がここにはあります。 こういう哲学を学びたいですね、 「きちり」、一度研究してみて下さい。 では、今回も始めましょう! ================================= < レポートの達人 > 1.はじめに レポートの提出を求められることは多いですよね。 当然、起承転結がしっかりしていて、読み手にメッセージが伝わるレポ ートが望まれます。 今回は、先日実際に体験したケースを取り上げて、ドキュメントレポー トタッチで書いてみたいと思います。 いきなり例題に入りますが、読者の皆さんは、どの様な構成になってい るのか注意しながら読んでみて下さい。 2.ドキュメントレポート「給湯器事件」 2年ほど前の大阪ガスの定期点検で、「そろそろ給湯器が弱っています。 寿命のようですので交換を考えておいて下さいね」と言われていました。 その時は、ガス屋の商売根性だろうと、高をくくっていました。 急に冷え込んだ数日前、本体がブーという異様な音を発するようになり ました。 そして、ちょうどのタイミングで定期点検があり、また「交換を考えて おいて下さいね」と担当者の田中さんから言われ、給湯器のチラシをもら いました。 そしたら、その翌日ママが大慌てで私のところにやってきました。 12月21日の夜です。 マ「お風呂にお湯が溜まらないよ~~。給湯器壊れたみたい!」 私「何々、それはえらいこっちゃ。ついに壊れたか? 大阪ガスの担当者 に緊急電話しろ!」 マ「もしもし田中さんですか? 給湯器が壊れました! すぐに見に来て 下さい。」 田「分かりました。取替え工事は年内の予約は全部詰まっているので、早 い日で来年の1月7日の予約になります。とりあえず、その日の予約 を押さえておきます。では、明朝、確認に伺います。」 マ「どうしよう。今から2週間以上お湯出へんかったらお風呂入られへん。 年末やいうのに大変やわ。お風呂は銭湯に行かなあかんし、コンロで お湯沸かさなあかんわ。掃除も料理も・・・えらいこっちゃ!どうし よ?!」 と、ママはパニクっていました 私は考えました。 そうだ、こういうことは友達のパイプ屋さん(元設備工事業をしていたY 氏)に相談しよう、ということで電話しました。 私「パイプ屋さん、お風呂にお湯が溜まらなんですよ。困ってます。」 パ「谷口さん、落ち着いて下さい。台所の蛇口からはお湯は出ますか?」 私「ちょっ、ちょっと待って下さい。・・・出ます。」 パ「お風呂はどうですか?」 私「ちょっと待って下さい。・・・出ます。出ます。」 パ「どうやら、お風呂の自動給湯部分の故障ですね。」 私「ということは、自動が効かないだけで手動ではお湯が出るということ やから、お風呂は入れるわけですね。」 パ「そうですね。なんとかいけますよ。」 私「良かった。ママが慌ててるもんで、私まで基本チェックしなくて・・」 パ「そんなもんですよ。しかし、いつ全ての機能が壊れるか分からないの で、早急に対処した方がよいでしょうね。本体の交換は高く付くので、 まず修理でいけるかどうか聞いて下さい。」 私「分かりました。明朝大阪ガスの担当者が来るので言ってみます。」 この日、パイプ屋さんのアドバイスのお陰で、蛇口からお湯を溜め、追い 炊きも出来たので、難なく我が家のお風呂に入ることが出来ました。 私もママも、パイプ屋さんに深く感謝しました。 そして翌朝、大阪ガスの田中氏がチェックに来ました。 専門家と電話で相談して状況把握し、説明をうけました。 田「そうですね。お風呂の給湯の弁が故障しているのと、制御の基板が故 障しているのでそれも取替えになりますね。最低5~10万円はかか るでしょう。しかし、それを替えても本体がいつまで持つかは保証で きないですね。12年も使っているので、そろそろ寿命ですからね。」 私「そうですか。基板も取替えですか? 分かりました。考えて返事しま す。」 そこでまたパイプ屋さんに連絡しました。 私「こんな状況です。困った感じです。」 パ「そうですか。私の顔の効くところがあるので問い合わせてみますか? 安くて、年内にやってくれるかもしれませんから・・・」 私「じゃあ、連絡先お願いします。」 そしてパイプ屋さんから情報メールが届きました。ママと一緒にそのメー ルと大阪ガスのチラシをチエックしていると、ふと、私の頭の中に、いつ も家を修理してくれる大工の大西君の顔が浮かんできました。 そうだ、駄目元で彼に電話してみよう。 私「大西君ですか? 元気にやってるか?」 大「はい、おかげさんで・・・。で、今日は何ですか?」 私「実は、給湯器がやばい状態なんや! 安く手に入るかな?」 大「そうですね、相当安く入りますよ。定価の半額くらいですね。」 私「そら、助かるわ! いっぺん見に来てくれる?」 大「分かりました。明日行きます!」 そして翌日。 私「すまんなあ、忙しいのに!」 大「ええですよ。これですね。」 私「そやねん。」 大「見ましたけど、取り替えた方がいいですね。」 私「そやな、それしかないな。ところで年内工事できるか?」 大「物さえあれば、すぐできますよ」 私「ほんまか? そら嬉しいわ。」 大「そしたら、メーカーに在庫問い合わせて明日返事します。今、風呂場 と台所の水道を同時に出したら水圧落ちたりしてませんか?」 私「するなあ」 マ「するする」 大「そしたら、値段あんまり変わらないので、もう1ランク上の機種にし ておいた方がええんちゃいます?」 私「そやな、ほなそうしといて!」 そして、翌日の電話。 大「在庫ありました。」 私「おお」 大「いつ取り付け行きましょうか?」 私「早い方がええけどなあ」 大「じゃあ、明日行きます。」 私「早っ! じゃあ明日の朝10時でよろしく。」 大「分かりました。」 そして翌日。 大「おはようございます。」 私「すまんなあ、急がして!」 大「いえいえ、仕事ですから」 工事終了して。 大「工事終わりました。リモコンも新しくなりました。」 私「おおきに。助かったわ。」 マ「じゃあ、これ代金です。それと、子供さんにお菓子どうぞ!」 大「えらい、すんません。またいつでも言って下さい。」 大西君のお父さんもヘルプで来てもらっていたので、 私「ありがとうございました。助かりました。」 大父「在庫あって良かったわ。なかったらそれまで応急処置として、中古 品でも付けとかなあかんかと思ってたので、ほんま良かったわ!」 私「そこまで考えてくれてたんですか? ありがとうござます。」 そして、ママが大阪ガスに電話しました。 マ「主人の友人に頼んで、今取り付けが完了しました。今回はいろいろ、 お世話になり、ありがとうございました。」 田「そうですか。それはよかったですね。ありがとうございました。また 何かありましたら連絡下さい。」 マ「失礼します。」 そして、パイプ屋さんへ終了報告とお礼のメール発信をして一件落着とな りました。 このケースで勉強になったこと。 A.お湯に対する感謝の念を再認識しました。 冬場にお湯が無い生活は考えられないですね。お湯、本当にありがたい です。 B.パニックになると当たり前のことが分からなくなることですね。 ママから「お湯が出ない」という報告を受け、「全てお湯が出ない」と 思い込んでしまって慌ててパイプ屋さんに電話したわけで、通常なら、 手動ならどうか、自動ならどうかと言うように自分でもチェックできた たはずですが・・・・そう、冷静な私ですから??? C.パイプ屋さんに連絡して、いろいろ教えてもらったこと。 実は、恥ずかしながら、ガス器具は大阪ガスで買うしかないと思い込ん でいたのですが、パイプ屋さんとのやり取りの中から、他でも購入でき るんだということに気づき、大工さんに連絡することを思いつきました。 知らないことは怖いことだと反省しました。 D.即決しなかったこと。 田中氏に言われて、その場で取替えの決定を即決しなかったのは、「も っと安くて、早いところを探そう」という私の勘が働いたからでしょう。 このお陰で、今回の費用は半分ですむことになったわけです。 E.あきらめずに探すといろいろなルートがあるのだと分かりました。 知識はお金であることを再認識した次第です。 知っていることによって機会損失をなくすことが出来るのです。 F.大西君のお父さんがそこまで考えてくれていたこと。 「サービスとはこういうことだ」ということに気付かされましたね。 G.最後にママが大工さんにお土産を用意していたこと。 これは、外部の人を大切にする精神がそこにあると思いました。 ママのコメント「お土産はささやかでしたが、感謝の気持ちは一杯でし た。」 H.田中氏の対応が紳士的だったこと 自社の給湯器が売れなくても、こちらのことを考えて「よかったですね」 と言ってくれたのは、爽やかでした。 I.人脈の大切さ 今回のケースで、こんなに上手く事が運んだのは、結局は人脈だったと 感じます。プロのアドバイスと情報、いきなり駆けつけてくれる大工さ ん。今回はこの2人の活躍でしたが、私達は多くの人たちに支えられて います。今まで関わってきた人脈は、感謝を持って、これからも大切に していきたいメンバーです。 3.まとめ どうでしたか? セリフ一つを詳細にレポートしました。 そして、ストーリーの中では書ききれない気付きを最後にまとめました。 何故か、今回の件には教訓が一杯でした。 皆さんも、日頃の中から教訓を学び取り、生かしていって下さいね。 ================================= < 編集後記 > 先日、京都の居酒屋「あんじ」に行きました。 そこの2階のフロアーを仕切っているスタッフさんは、只者ではありま せんでした。 刺身の盛り合わせに、木の枝が飾り付けについていました。 私が、「これは食べられないな」というと、彼はこう言うのです。 「これぱ、ヒバの葉です。なかなか香りがいいので添えてあります。抗 菌性に優れているので、枕の中に入れたりするんですよ!」 ビックリしました。 ヒバの葉に対する薀蓄を持っていたのです。 読者の皆さんは、賢明な人が多いので、自分の仕事の細かい部分も説明 できるかも知れませんが、スタッフの末端までこんな教育が出来ているお 店は凄いですね。 勉強のネタは転がっているということです。 もうひとつニュースです。 来年の前半のCHP(CKENホームパーティ)の日程が決まりました。 平成22年5月15日(土)PM7:00~です。 加賀屋克美さんの参加も決まりました。 日程のお知らせは、また事務局から、年頭の挨拶と共に送ります。 今から、手帳に日程入れておいて下さい。 今年1年、ご愛読頂きましてありがとうございました。 来年も、ぼちぼちやって行きますので、またよろしくです。 ではまた次回! バイチャ!


