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ラルフ達主人公の友情と恋愛、そして戦いを描いた新しい形のSFファンタジー。エミリーを助けるべく、ヴェスターに乗り込んだラルフ達の前に、皇帝アーリアの罠が次々と立ちはだかる。果たしてラルフ達は、エミリーを無事に救出できるのか?全てを賭けた戦いが今始まる。

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2008/06/02

ヴェスター第284話 「闇の力」

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  ヴェスター(Vester) : Vol.284
  発行日:2008/06/02
  発行元:VesterProject
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◇第284話 闇の力◇
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 ルードは、目の前の大爆発を消火すべく、懸命に魔法を撃ち続けるが、爆発の
勢いは一向に衰えを見せない。
「ク、クソォーーッ!!!一体どうやったら消えるんだ?」
 ルードの放った数十発の魔法も、爆発の勢いにあっさりとかき消されて、
まるで効果がない。
 とその時、ミストネルの結界が揺らぎ始める。
「マズイ、ニーナはもう限界だ。」
 だが、魔力も底をついた今のルードには、どうすればいいのか、まるで見当が
つかなかった。

 そして、ついに亜空間の結界が歪み出す。
 ニーナにとうとう限界が訪れたのだ。
「ニーナ・・・クソッ、このままだと、せっかくのニーナの苦労が・・・」
 とその時、ルードの頭の中に、一つの考えが思いつく。
「簡単なことじゃないか。この俺が、ミストネルで、新しくこの空間を覆えば
いいだけのことじゃないか。」
 あまりにも簡単に答えが見つかったので、ルードは思わず吹き出す。
 とはいえ、今のルードの魔力では、ミストネルを放つのは、かなり厳しい
ことだろう。
 それでもルードは、ニーナを今すぐ、この苦しみから解放できる手段が
見つかったことの方が嬉しかったのだ。
「ようし、今こそ、このルード様の底力を見せる時だ。」
 ルードはそう言うと、巨大な魔力を集めだす。
「ミストネル!!!」
 次の瞬間、ルードと爆炎の周りに、巨大な霧の結界が現れる。

 その霧の結界の出現で、ニーナは勢いよく弾き飛ばされる。
 薄れゆく意識の中、ニーナは目の前に、巨大な霧の結界ができるのを見ると、
ホッとしたのか、ふっと全身の力が抜けていく。
「あ・・・ありがとう、ルードさん・・・助けて・・・くれて・・・」
 そして、その言葉と同時に、ニーナはそのまま意識を失う。

「結界が・・・消えていく・・・」
 上空を見上げていたガルックの声で、全員が一斉に上を見上げる。
 霧の内部は亜空間のため、様子を探ることができない。
 だが、霧が晴れていくにつれて、内部の様子が次第にわかるようになっていく。
「マズイ、ニーナが・・・」
 イリノアがそう言うのとほぼ同時に、ラルフが上空へと飛びあがっていた。
 そして、意識を失ったまま、落下してくるニーナを受け止める。
 その時のショックで、ニーナは意識を取り戻す。
「ラ・・・ラルフ・・・」
「ニーナ・・・どうしてこんな無茶を・・・」
「ゴメンなさい。でも、私・・・」
「ウウン、わかってる。今はともかく怪我の手当てが先だ。」
 ラルフはそう言うと、ニーナを抱きかかえて、地上へと向かう。
(やっぱり、ラルフと一緒だと・・・安心できる・・・)
 ニーナは、ホッとしたのか、ラルフに抱きかかえられたまま、再び意識が
遠くなっていく。

「ニーナ、しっかりしろ!!」
 ラルフは、ニーナの手当てをするため、ニーナのヴェクト・アーマーを
解除する。
 その瞬間、ラルフも、その場に駆け寄ってきた全員も、思わず息を呑む。
「なんだ、これは・・・全身血まみれじゃないか!!!」
 ガルックが驚いた表情で、ニーナの元へと駆け寄ってくる。
「ニーナちゃん!!!私が治してあげるからね。」
 ティアナが慌てて駆け寄ると、ニーナに向けて聖光気を放つ。
「限界を超えた魔力を扱って、体がその負荷に耐えられなかったのだろう。
 でも、ルードと戦うには、こうするしかなかったのだろう。」
 イリノアはそう言うと、ルードの姿がないことに気づく。
「そう言えば、ルードは!?ルードはどうしたんだ!?」
 その時、上空に強い魔力を感じ、見上げる。
 そこには、再び霧の結界ができていた。
「まさか、ルードがあれを作ったのか?でも、何のために!?」
 その時、ニーナの意識が戻る。
「ル、ルードさんは、私の代わりに、爆発を止めようとして・・・」
「しかし、ルードの魔力も、もう限界じゃないのか?」
 イリノアがニーナに尋ねると、ニーナは暗い表情で頷く。
「あのバカ・・・一体どうするつもりなんだ?」
 イリノアはそう言うと、上空の霧を見上げる。

 ルードの魔力は、もう限界だった。
「チクショウ・・・もう・・・魔力が・・・」
 そして、ルードは、改めてニーナのすごさを思い知る。
「ニーナは・・・こんな魔力を放出したまま・・・あのクレンシャルを
放ったというのか? 信じられん。
 ニーナには、何もかも完敗だな。」
 とその時、この亜空間に何者かの気配を感じる。
「ヴェルガントの四天王の一人、ルード。
 女癖は悪いが、超人類の中で最強クラスの魔導士である・・・か。」
「誰だ!?」
 ルードは辺りを見渡すが、気配は感じても、誰の姿も確認できなかった。
(気配がボヤけていて、位置を特定できない。
 しかし、この気配、どこかで・・・)
 とその時、その気配は急速に接近してくると、ルードの目の前に突然
姿を現す。
 その姿を見た瞬間、ルードは驚いた表情を浮かべる。
「貴様は、ダークソリア!!き、貴様、一体いつからここに?」
「ちょっと調べたいことがあって、イリノアの基地に行ってたのだが、
戻ってきたら、貴様とニーナが戦っているという話を聞いたのでな。
 ちょうどお前達が魔法を放つ前辺りから、ここに来ていたのだが、2人とも
気づいていなかったようだな。」
「何しに来たんだ?」
 ルードは、ダークソリアに向かって、大声で怒鳴る。
 だが、内心、ルードは焦っていた。
 ニーナとの戦いで魔力を使い果たしてしまった今、ダークソリアと戦うだけの
魔力は、ルードには残っていなかったからだ。
 だが、ダークソリアは、フッと笑みを浮かべると、ルードに話しかける。
「お前を助けてやろうと思ってな。」
 その意外な言葉に、ルードは驚いた表情を浮かべる。
 ダークソリアの話は、小さい頃に聞いたことがあった。
 強大な魔力を持ち、超人類を憎んでいる、恐ろしい存在であると。
 だから、ルードは、ダークソリアは自分を殺しに来たとばかり思っていたのだ。
「お、俺を助けてやるって・・・一体、何のつもりだ?」
「いくつか、私の質問に答えてくれればいい。」
「ほう、そう来たか。でも、貴様に話すことなんて、何もない。」
「そうか。でも、もう魔力が限界ではないのか?
 私にはわかる。お前の魔力は、あともって数分だ。
 でも、この爆発は、あと30分は収まらないぞ。」
 ダークソリアはそう言うと、ルードの目の前から立ち去ろうとする。

「ま、待て!」
 ルードは思わずダークソリアを呼びとめる。
 今、自分の魔力が尽きたら、この爆発で、プリミナンドに甚大な被害が及ぶ。
 そうなったら、ニーナのやろうとしたことは、全て無駄になってしまう。
(それだけは・・・絶対にダメだ。)
「ほ、本当に・・・た、助けてくれるのか?」
「ああ、私の質問に答えてくれさえすればな。」
 ダークソリアがそう言うと、ルードは考え出す。
 この男の言うことは、本当に信用できるのか?
 そして、ルードは、ダークソリアに尋ねる。
「お前、本当に、この爆発を消せるのだろうな。」
「当然だ。ダークロンド!!」
 ダークソリアは、突然魔法を放つと、爆発の半分が一瞬で黒い結晶と化す。
 その魔法を見て、ルードは驚く。」
「なっ、こ、この魔法は、魔法エネルギーを暗黒物質に変える魔法!!」
「ほう、この魔法の存在を知っていたのか? さすがだな。
 もっとも、暗黒属性を持たないお前に、この魔法を使うのは無理だがな。」
 ダークソリアは、そう言うと、前方の暗黒物質を吸収する。
 次の瞬間、ダークソリアの魔力が一気に膨れ上がる。
(弱まっていたとはいえ、俺とニーナの放った魔法エネルギーを、あっさりと
吸収しやがった。)
 それを見て、ルードは戦慄を覚える。

「これで、私が爆発を消せることがわかっただろう? さあ、どうする?」
「わ、わかった。要求に応じる。」
 ルードが観念したようにそう呟くと、ダークソリアはフッと笑みを浮かべる。
「それでいい。
 では、お前の魔力も、もう限界のようなので、早速質問させてもらおう。
 ヴェルガントがガニメデから戻ってから、お前達四天王はフィールに行った
ことがあるか?」
 ダークソリアの意外な質問に、ルードは驚く。
(もっと、ヴェルガント神殿の抜け道とか、ヴェルガント様の弱点とか、
そう言ったことを聞いてくるのかと思ってた。
 もっとも、ヴェルガント様の弱点なんて、聞かれてもわからねえけどな。)
「いや、定例会議も通信でやってるから、最近フィールには行ってない。」
「ガンツもか?」
「クッ・・・アイツはアステアにいるから、そんなことわかんねえよ。
 ったく、一体何だって言うんだ?」
 だが、ルードは、ダークソリアの表情から、笑みが消えていることに気づく。
(そういや、コイツは、昔ヴェスターにいたんだっけな。)
 とその時、ダークソリアが再びルードに尋ねてくる。
「では、アイという女が、どこにいるか知っているか?」
 それを聞いた瞬間、ルードは驚きの表情を浮かべる。
「お前、まさか、アイさんの知り合いなのか?」
「どうやら、その反応だと知っているようだな。」
「ああ、そりゃ、今やヴェルガント神殿の実質的な最高責任者だからな。
 ヴェルガント様も、アイさんに絶大な信頼を寄せているようだし。
 でも、きれいな人だけど、何だか、人を寄せ付けないようなところがあって、
正直、俺は苦手だけどな。」
「なるほど・・・これで、おおよその現状は把握できた。」
 ダークソリアはそう言うと、再び魔法を放つ。
「ダークロンド!!」
 次の瞬間、残りの爆発の炎も消滅すると、暗黒物質へと姿を変えた。


(続く)
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◇登場人物◇
・ラルフ=ガートナー
ガイガードに住む17歳の少年。伝説の武器ヴェクト・ソードを使いこなす。
・ニーナ=ルクライエ
ガイガードに住む17歳の優しい女の子。不思議な能力を持っている。
・ガルック=ソート
キルアに住んでいた17歳の少年。魔法と覇王流という剣術を使う。
・エミリー=ガートナー
ラルフの妹で、15歳の女の子。子ども扱いされるのを、非常に嫌う。

なお、登場人物の紹介は、VesterProjectのHPで詳しく紹介しています。
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