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ラルフ達主人公の友情と恋愛、そして戦いを描いた新しい形のSFファンタジー。エミリーを助けるべく、ヴェスターに乗り込んだラルフ達の前に、皇帝アーリアの罠が次々と立ちはだかる。果たしてラルフ達は、エミリーを無事に救出できるのか?全てを賭けた戦いが今始まる。

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2008/03/15

ヴェスター第275話 「総力戦」

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  ヴェスター(Vester) : Vol.275
  発行日:2008/03/15
  発行元:VesterProject
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◇第275話 総力戦◇
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「て、敵大型ミサイルが、ヴェスターに命中!!!
 レーダーで、ヴェスターを捕捉できません。」
 戦艦から、兵士の悲鳴にも似た声が、ヴェルガントの元へと飛び込んでくる。
 通信越しからでも、艦内の乗組員の動揺はすぐにわかる。
「ま、まさか、消し飛んでしまったのか?」
「バカな!!!ヴェスターは無敵だ。これしきのことで・・・」
 だが、そう言う兵士達も、動揺を隠せずにいた。
 フェムト・ミサイルの大きさと、命中した時の爆発力があまりにも強力で、
兵士達も、ヴェスターがただで済むとは、とても思えなかったからだ。

 一方、フェムト・ミサイルの命中で、ヴェスターが炎に包まれる光景を見て、
ウィクス艦隊からは、歓声が上がっていた。
「これで、我らが母星ウィクスのかたきは取ったぞ。」
 ジェルギーガはそう呟くと、全軍に再び命令を下す。
「敵艦隊は、ヴェスターの壊滅で、動揺しているはずだ。
 艦載機は全機出撃し、前方のヴェクト・アーマー部隊を叩け。
 バリアの八方を囲み、ヴェクト・アーマー部隊めがけて攻撃するのだ。」
 ジェルギーガの命令で、ウィクスの空母艦隊から、艦載機が出撃し始める。
 逆に、ウィクスの兵士達の動きは、きびきびとしていた。
 ジェルギーガの命令から、ほんの数分で、空母からほとんどの艦載機が
出撃を終える。
「艦載機、全機出撃しました。」
 兵士の報告を聞いて、ジェルギーガはニヤリと笑う。
「ワームホール発射用意。今度は敵艦隊前方2000キロの位置だ。
 これで、一気に決着をつける。」
「ハッ!!」
 今度は、戦艦から一斉にワームホールエネルギーが放たれる。
 今やウィクス側は、誰もがこの戦争の勝利を確信していた。
 フェムト・ミサイルの破壊力は凄まじく、未だにヴェスターに命中した
爆発の炎が、ウィクス軍の士気を向上させていた。

「て、敵艦載機、大編隊接近!!」
 ヴェクト・アーマーの一人が、ヴェルガントに報告すると、それを聞いた
他のヴェクト・アーマー兵達はパニックになりだす。
 今まで修羅場をくぐりぬけてきたヴェクト・アーマー部隊も、ヴェスターの
爆発という出来事に動揺を隠しきれずにいた。
 この規模の敵とは、今まで何度も戦ったことがあるはずなのに、今度は
なぜか勝てる気がしない。
 超人類達にとって、背後にあるヴェスターの存在は、それほど大きかった。
 レーダーに映る敵艦載機が、自分達の周りを包囲しているのに気づくと、
兵士達はさらにパニックに陥る
「ど、どうしたらいいんだ?」
「す、すごい、艦載機の数だ。ヴェスターもやられたし、一体どうすれば?」
「うろたえるな、見苦しいぞ。」
 その時、ヴェルガントが強い口調で、艦隊も含めた全軍に向かって活を入れる。
「ヴェルガント様・・・」
「敵艦隊は、こちら側が動揺している、この機会に、一気に攻撃を仕掛けて
くるはずだ。
 全艦隊は、分散しながら、敵艦隊に向かって、進撃を開始しろ。
 射程距離の劣る敵は、ワームホールを使って攻撃してくる以外に、我々に
勝つ方法はない。
 だから、1箇所に集中している今の隊形は危険だ。
 それに、攪乱することで、敵はワームホールの座標の修正が必要になる。
 急げ。艦載機は、我々の方で何とかする。」
 そのヴェルガントの強い口調が、全軍に冷静さを取り戻させる。
「りょ、了解しました。
 全艦隊、これより拡散隊形で、敵艦隊に接近する。」
 艦長の号令と共に、ヴェスターの大艦隊が一斉に動き出す。

「敵艦隊が動き始めました。
 拡散隊形をとって、距離20万キロまで接近!!」
「もっと、パニックになっていると思ったのだが・・・
 よほど優秀な指導者が率いているのだろう。
 それで、敵艦隊の速度は?」
「このままだと、あと1時間で、敵艦隊の射程距離に入ります。」
「止むをえんな。敵艦隊の前方にワームホールを作成し、待ち伏せする。」
「わかりました。ただちにワームホールの座標を修正します。」
 兵士に指示を出しながら、ジェルギーガは少し感心していた。
「ヴェスターを破壊された動揺をこんなにも早く収めるとは、よほど優秀で
信頼されている指揮官がいるのだろう。」
 ジェルギーガはそう言うと、まだ見たこともない敵の指揮官に、少しだけ
敬意を表していた。

「し、司令!!!!」
 その時、艦橋にいた兵士が、悲鳴にも似た声をあげる。
「どうした?」
「こ、これを・・・見てください。」
 兵士はそう言うと、艦橋の大型スクリーンに映像を映し出す。
 スクリーンには、フェムト・ミサイルの大爆発が映っていた。
「これが、一体、どうしたと・・・・」
 そう言いかけて、ジェルギーガもスクリーンの光景に驚きの表情を見せる。

 フェムト・ミサイルの凄まじい大爆発は、依然として続いていた。
 その大爆発の中から、何かが出てくるのが見えた瞬間、艦橋にいた全ての
兵士達も、ようやくその事態に気づく
「ま、まさか・・・あれだけの、フェムト・ミサイルを受けて・・・」
 炎の中からゆっくりと姿を表したもの。
 それはウィクスも、そして、超人類達ですらも、壊滅したと思っていた
ヴェスターの姿であった。

 姿を表したヴェスターの外観は、無残な姿に変わり果てていた。
 ヴェスター・ノヴァ発射口を初めとした表面基地の半数以上は壊滅状態で、
ヴェスター自体も、決して無傷というわけではなかった。
 だが、それを加味しても、ジェルギーガは驚かずにはいられなかった。
(フェムト・ミサイルは、それ一発で、標準サイズの惑星一つを破壊するだけの
威力を持っている。
 それを、数十発食らって、まだ原型を留めていられるなんて、信じられん。)
 さっきまでの勝利の雰囲気が、ヴェスターの出現で、一気にかき消される。
 とその時、戦艦の近くを、ビーム砲がかすめる。
「て、敵艦隊の攻撃です。」
「バ、バカな・・・敵艦隊の射程距離は5万キロが限度だったはず!!
 まだ、15万キロも離れているというのに、どうして!!」
 ジェルギーガが驚くのをよそに、今度は大量のビーム砲が飛んでくる。
 ウィクス艦隊は、敵艦隊の攻撃を受け、次々と壊滅していく。

「クックック、驚いているようだな。」
 敵艦隊が次々と爆発していくのを見て、アーリアはニヤリと笑みを浮かべる。
「ワープジェノン、第2派発射!!!」
 アーリアの号令と共に、全艦隊の艦首からエネルギー砲が放たれる。
 だが、そのエネルギー砲は、一瞬で姿を消し、敵艦隊の目前に突如姿を表す。
 ウィクス艦隊は回避する暇もなく、次々と被弾していく。
「第2派が、敵艦隊に命中!!!
 ですが、敵艦隊の数は依然として強大です。」
 兵士の報告を聞いて、アーリアは溜息をつく。
「ワープジェノンは、ワームホールいらずの遠距離攻撃兵器ではあるが、
エネルギーの充填に時間がかかるため、連射が不可能な上に、ほとんどの
エネルギーがワープエネルギーで使われるため、威力も今一つな所が問題だな。」
 アーリアは少しイライラしながら、ヴェルガントに通信をつなげる。
「何を遊んでいる、ヴェルガント!!!
 そんな艦載機ども、とっとと片付けて、敵艦隊を破壊しろ。」
 アーリアはそれだけ言うと、一方的に通信を切る。

「簡単に言ってくれるものだな。」
 ヴェルガントは、アーリアの怒声を聞いて、溜息を一つつく。
「だが、これで、もう星を破壊することもできないだろう。」
 ヴェルガントは、ボロボロになったヴェスターを見て、ポツリと呟く。
 とその時、敵の大編隊が、ヴェルガントに接近してくる。
 それを見て、ヴェルガントはヴェクト・ソードを構える。
「敵はバリアと艦載機で、我々を包囲するつもりだ。」
「す、すごい数です。艦載機の数、およそ3000・・・」
「そうか。だが、それでも、我々を相手にするには、戦力不足だ。
 お前達は、包囲している敵戦闘機を叩け。
 私は・・・・」
 ヴェルガントは、そう言うと、敵艦隊の前方を護衛している強力なバリアの
ある方を見つめる。

「よ、ようやく、収まったようだな。」
 ようやく揺れが収まり、ガルックがホッとした表情でそう呟く。
「しかし、今のは、一体、何だったのだ?」
 ルードは、第1基地と第2基地に連絡をつなげようとするが、依然、2つの
基地からは応答がない。
「イリノアが基地に向かったはずなのだが、仕方がない。
 俺も基地に・・・」
 そう言いかけて、ルードは目の前の光景を見て、固まる。
 そこには、ニーナをかばうように抱き抱えているラルフの姿があった。

(続く)
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◇登場人物◇
・ラルフ=ガートナー
ガイガードに住む17歳の少年。伝説の武器ヴェクト・ソードを使いこなす。
・ニーナ=ルクライエ
ガイガードに住む17歳の優しい女の子。不思議な能力を持っている。
・ガルック=ソート
キルアに住んでいた17歳の少年。魔法と覇王流という剣術を使う。
・エミリー=ガートナー
ラルフの妹で、15歳の女の子。子ども扱いされるのを、非常に嫌う。

なお、登場人物の紹介は、VesterProjectのHPで詳しく紹介しています。
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