2009/02/27
映画保存協会『メルマガFPS』Vol.44
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ │映│画│保│存│協│会│Film Preservation Society (FPS)│ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 映画保存協会メールマガジン『メルマガFPS』 Vol.44 (2009.2.28) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ □■─────────────【I N D E X】───────────■□ §1.【映画の里親】『黒手組助六』が読売新聞に掲載されました §2.【フィルム救済プロジェクト】 地域のフィルムを地域で守ろう・その4 §3.【映画保存資料室】報告(2009年1〜2月) 発表![2009年版]映画保存を学ぶための必読書10冊 §4.【レポート】オーストリア国立フィルムミュージアム来訪とポルデノ ーネ映画祭(前篇) §5.第1回 恵比寿映像祭に行きました §6.【ショートショート書評】第9回『映画で学ぶエスニック・アメリカ』 §7.FPSからのお知らせ §8.編集後記 ■□──────────────────────────────□■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ §1.【映画の里親】『黒手組助六』が新聞に掲載されました ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「映画の里親」第5回作品『黒手組助六[マーヴェルグラフ版]』(1929) が2月2日付の読売新聞、同月13日付のTHE DAILY YOMIURIに掲載されまし た。 『黒手組助六』、映画の里親プロジェクトについてのお問い合わせはこちら までお願いいたします。satooya@filmpres.org ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ §2.【フィルム救済プロジェクト】 地域のフィルムを地域で守ろう・その4 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ メルマガFPSでは毎年お伝えしていますが、米国で年末恒例の映像文化財 25本が登録されました。これで500本に達したそうです。 『ターミネーター』をはじめとするコテコテの娯楽映画と並んで、今回もホ ームムービーが存在感を示しています。 インターネット・アーカイヴにてご覧ください。 Robbins Barstow's "Disneyland Dream" http://www.archive.org/details/barstow_disneyland_dream_1956 さて、次回のちいさな上映会Vol.22は3月21日(土)です。 17時からの会員リレートークは三浦和己さんの「映画の現像所ってどんな ところ?」。 18時からの上映会は引き続き文京区所蔵の16ミリフィルムを全部見る計 画、その後はおでんやさんで救済プロジェクトの第4回会合となります。 お気軽にご参加ください。 ※会員リレートークの今後の予定は以下の通りです。 奇数月の第3土曜日、皆さまのお越しをお待ちしております! 3月 映画の現像所ってどんなところ?(三浦和己) 5月 記録映画保存センターについて(山内隆治) 7月 家庭でもできるビデオテープ/DVD保存の手引き(児玉優子) 9月 谷根千の保存建築と「ホームムービーの日」(島敬一) 11月 プラキシノスコープシアター モラモラ・プロジェクト(郷田真理子) (テーマやトーク担当者は予告なく変更する場合があります。ご了承くださ い) ≪ちいさな上映会 備忘録≫ http://www.homemovieday.jp/smallgauge/ ≪けんこう蔵部≫ http://www.filmpres.org/kura ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ §3.【映画保存資料室】報告(2009年1〜2月) 発表![2009年版]映画保存を学ぶための必読書10冊 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 所蔵資料より会員が選ぶ「必読書」も3年目となり、30冊の文献が出揃い ました。ぜひご参考になさってください。 http://www.filmpres.org/archives/351 ただし、FPSがボランティアで日本語版を作成している全米映画保存基金 (編)「文書館・図書館・博物館のためのフィルム保存入門」につきまして は、内部での試用段階となっております(PDFファイル)。 冊子版の出版につきましてはもう少々時間が必要です。何卒ご了承ください。 一人でも多くの方にアクセス可能になるように、今後も画保存関連の資料を コツコツ収集し、公開していきます。今後ともどうぞよろしくお願いします。 2009年2月22日現在、所蔵資料件数:872 >>> 887 新着資料の中にはパオロ・ケルキ・ウザイ、デイヴィッド・フランシス他( 編)「Film Curatorship: Archives,Museums and the Digital Marketplace」 のほか、早稲田大学坪内博士記念 演劇博物館(編)「演劇博物館80周年記念 名品図録」などが含まれます。 会員一同、寄贈者の皆さまに心より感謝いたします。 【映画保存資料室 所蔵データベース】http://d.hatena.ne.jp/filmpres/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ §4.【レポート】 オーストリア国立フィルムミュージアム来訪とポルデノーネ映画祭(前篇) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 昨年10月、イタリア・ポルデノーネ無声映画祭へ行きました。行く前にち ょっと寄り道をして、ポルデノーネに近いウィーンに行き、フィルムミュー ジアムを訪れ、FIAFのサマースクールで一緒だったラウルさん(フィル ムミュージアム フィルムコレクション担当)が施設を一日案内してくれま した。 ミュージアムといっても、何か展示をしている博物館があるのではなく、映 画館と図書室とアーカイブから構成されています。フィルムミュージアムの コレクションは、映画館と図書室のあるウィーンの中心地から離れた、ドナ ウ川の近くのアーカイブに保存してあるとのことです。 そこではおよそ2万2千のフィルムと、35万枚の写真資料が保存されてお り、すべてのフィルムはまず、紙とデジタル両方のデータベースに情報が入 れられ、ナンバリングされて保管庫に保存されているということです。 写真資料もすべてスキャンされ、データベースに入れられており、検索も可 能です。来年からはウィーンにあるもうひとつのフィルムアーカイヴと共同 で、ルクセンブルグでデジタル復元を始めると聞きました。 ここではサマースクールでも紹介のあったフレームコレクションをはじめ、 オーストリアのインディペンデント映画、ジガ・ヴェルトフのコレクション なども収集・研究しています。ヴェルトフについては本にまとめられて出版 されており、貴重な資料に感動しました。 映画館は、ウィーンの中心地、オペラ劇場の隣にあります。私が訪問した日 はちょうど映画館で、フィルムミュージアムで出版する「Film Curatorship - Museums, Archives, and the Digital marketplace」という新しい本の 出版イベントがあり、編者であるパオロ・ケルキ・ウザイ氏とフィルムミュ ージアムのディレクターのアレクサンダー・ホルバート氏、ミヒャエル・ロ ベンスタイン氏のシンポジウムと特別上映が行われました。 日本でも最近、デジタル時代のアーカイブについてのシンポジウムがあり、 デジタル保存・オンデマンド公開についての話を聞きましたが、ここではそ うしたデジタルのコンテンツを当たり前に享受する以前に、フィルムアーカ イブ・ミュージアムに何ができるのか、どういう意思をもって受け入れてい くのかということについて改めて考えさせられました。 彼らの話を聞いて、アーカイヴの仕事がただの映画保存機関ではなく、映画 制作同様にこれからの映画史を作っていく役割も担う、とても創作的で責任 ある仕事であるという誇りが伝わってきました。 なお、上映された映画は『アンダルシアの犬』やローレル&ハーディの作品 など。ポルデノーネ映画祭の前夜祭として、楽しい一夜を過ごしました。 (以下、後篇につづく)(M) オーストリア国立フィルムミュージアム(ウィーン) http://www.filmmuseum.at/jart/prj3/filmmuseum/main.jart?rel=en 「Film Curatorship - Museums, Archives, and the Digital marketplace」 (FPS資料室に所蔵あり)http://d.hatena.ne.jp/filmpres/08730001 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ §5.第1回 恵比寿映像祭に行きました ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2月20日(金)、東京都写真美術館で開かれた第1回恵比寿映像祭のレセ プションに参加しました。今回、映画保存協会HPと相互リンクをはらせてい ただいた関係でご招待をいただきました 冒頭、開会のあいさつに間に合わなかったのですが、以下リーフレット(F PS資料室にあります)より抜粋します。 ---------- 恵比寿映像祭は年に一度、10日間にわたり東京都写真美術館全館を使って、 展示、上映、ライブ、イヴェント、講演、トーク・セッションなどを複合的 に行うことを通じて、映像分野における創造活動の活性化と優れた映像表現 やメディアの発展を過去から現在、そして未来へといかに継承していくかと いう課題について、今あらためて問い直し、対話を重ね、広く共有する場と なることを目指します。 (中略) 会場(リアルサイト)で実施する10日間だけに留まらず、次回までの35 5日間、公式ウェブサイト上で継続されます。 また、公共機関によるものか私的組織によるものかを問わず、映画祭、映像 祭、展覧会、コレクションやアーカイヴの形成、アワードや助成などといっ た方法で営まれる、映像をめぐる国内外大小の活動を相互リンクしていきま す。 レセプションのしめくくりはツインドラム+VJユニット、d.v.dのライブア クト。 世界的な評価が高く、インタラクティブなメディアミックスに挑み続ける彼 らのアクトはオープニングにふさわしい内容でした。 最後にディレクターの学芸員岡村様より、「これで今回、写真美術館がいか に本気であるかお分かりいただけたかと思います」とあいさつがありました。 テーマが「映像」と壮大ではありますが、無料の展示だけでも一見の価値あ りでした。 なお、会場(リアルサイト)での実施は3/1(日)で終了しています。(O) ≪恵比寿映像祭≫ http://www.yebizo.com/ ≪d.v.d≫ http://www.dvd-3.com/index.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ §6.【ショートショート書評】 第9回『映画で学ぶエスニック・アメリカ』 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 1月20日、アメリカ史上初の黒人大統領が誕生した。 1862年の奴隷解放宣言から実に147年。随分長い時間がかかったもの だ。『オバマ・ショック』(越智道雄、町山智浩著、集英社新書)の中で、 現在アメリカに住む町山氏は、オバマ氏が大統領に決まった時数多くの人々 の口から「Finally」(やっとだよ…)という言葉を聞いたというエピソード を紹介している(ただ、これは「やっとブッシュの時代が終わってくれた」 という意味も含まれている)。 アメリカには様々な人種、宗教、民族が存在する。肌はブラックで生まれた のはアフリカだが、ヨーロッパで教育を受け、アメリカで働いているという 人などアメリカには普通に存在する。そして彼らは同族でのコミュニティを 形成し、時に協調し、時に反目する。 本著はアメリカ先住民/ヒスパニック系/黒人/ユダヤ教徒/反ユダヤ主義 者/アジア系/ホワイト・エスニック/異人種・異教徒間カップルをテーマ に、映画の中で彼らがどのように描かれているか、また彼らがどのような考 えで映画を作ったのかを紹介している。 一つ一つのエピソードが短いのは残念だが、それだけ掛け算の対象が多いの だ。多くの民族、多くの歴史、伝統。本著を読むと、アメリカが世界一の映 画大国になった理由がよくわかる。上述したように、一人の人間を描写する だけでも何通りもの掛け合わせができる。アメリカ映画の奥深さ、幅広さを 感じられる本だ。 文章は平易で読みやすい。この本に出てくる映画をメモしてDVDを借りに 行くのも面白そうだ(例えば今回は「アジア系」をテーマにしようとか)。 巻末には文章で触れた作品の一覧が収められているので、映画を観る際のガ イド本としても役に立つ一冊でもある。(A) 『映画で学ぶエスニック・アメリカ』佐藤唯行著 単行本:239ページ 出版社:エヌティティ出版(2008/7/30) ※FPS資料室に所蔵はありません。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ §7.FPSからのお知らせ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ □■「やねせん餅つき大会」「谷根千無声映画の会」は3月15日!□■ 昨年も好評を博しました「やねせん餅つき大会」「谷根千無声映画の会」を 今年も開催いたします。 みなさまお誘いあわせの上、是非ご来場ください! ※無声映画の会の方は事前にメールにてご予約ください。 メールはこちらまで→ info@filmpres.org (定員になり次第 締め切りとさせていただきます。) 日時:2009年3月15日(日) 場所:東京・千駄木「協和会の蔵」http://www.filmpres.org/kura ≪やねせん餅つき大会≫ ・午前11時開始 ・つきたて餅(あん、きな粉、海苔、納豆、菜餅)と豚汁を80食分ご用意 します。 ※マイ箸ある方はお持ちください。 ※雨天の場合は縮小して決行します。 ・参加費・おとな300円/こども100円 ・主催 けんこう蔵部 ・協力 東京在宅看護協和会/映画保存協会 ≪谷根千無声映画の会≫ ・午後1時半開場/2時開映 ・活動映画弁士:坂本頼光 ・伴奏:柳下美恵 ・上映作品(覆面上映) 16ミリフィルム1作品、DVD3作品(傑作時代劇、お子さまも楽しめ るカートゥーンなどを予定) ・料金 一般800円/会員500円/こども100円 ・主催 映画保存協会/谷根千工房 □■ボランティア募集中!□■ 1.奇数月第3土曜日の「会員リレートーク/ちいさな上映会」ではボラン ティア・スタッフを募集しています。午後3時頃から上映終了まで約6時間 ほど、半年(3回)続けられる方を希望します。 2.映画保存資料室でもボランティア・スタッフを募集しています。本好な 方、歓迎いたします! 3.蔵部では、蔵の再生を長期的にお手伝いいただける個人・団体を募集し ています。DIYが得意な方歓迎いたします。事務所シェアも検討いたしま す。 以上、詳しくはinfo@filmpres.orgまでお問合せください(FPSにご入会の 必要はありません)。 どうぞよろしくお願い申し上げます。 □■お悔やみ申し上げます□■ 映画保存見聞録・第1回でご紹介した武蔵野美術大学イメージライブラリー (メルマガ41号に見学記を掲載)の下川久美香様が2月に他界されました。 見学会以降、お世話になった下川様の突然の訃報に接し、会員一同、心より お悔やみ申し上げます。ご冥福をお祈りいたします。映画保存協会会員一同 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ §9.編集後記 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 今年のアカデミー賞は『スラムドック$ミリオネア』が作品賞、監督賞など 8冠に輝きました。 撮影地はインドのスラム街。セリフは英語とヒンディー語のミックス。キャ ストはインド人。監督のダニー・ボイルはかつての宗主国イギリス出身です。 インドは世界でも有数の映画大国。歌と踊りが大好きなインド人にとっては、 同国の人気作曲家A・R・ラフマーンが作曲賞と歌曲賞を受賞したことも大 きな喜びとなりました。“ボリウッド”と呼ばれるインドパワーを使ったボ イル監督の手腕に高い評価が集まったのも受賞理由でしょう。 「ショートショート書評」でも触れましたが、映画の世界では、現実にある ボーダーを排除し、また意識することで多種多様な作品が生まれました。今 回の『スラムドック$ミリオネア』はその成功例といえます。 映像にボーダーはありません。だからこそ自分の背景、文化は何なのかとい う興味を持つことができます。そして、忘れていけないのは『スラムドック $ミリオネア』に出てくるスラムの子供たちは今もなお、実際にスラムで厳 しい生活を続けているということです(現地では「ハリウッドがインドを食 い物にして金儲けをした」との批判もあります)。 ボーダーレスと実際に今そこにあるボーダー。映画はいつもこのことを教え てくれます。(天野) ≪お知らせ≫ 【映画保存見聞録 第4回】と”【FIAFサマースクール報告】その4第 二部 ボローニャ復元映画祭とレクチャー(下)は休載します。 ┌─────────────────────────────────┐ ------------------------------------------------------------------- 映画保存協会(FPS) 発行元 :映画保存協会 Film Preservation Society 編集担当:天野園子 Web : http://www.filmpres.org/ e-mail : info@filmpres.org ------------------------------------------------------------------- ■ご意見・ご感想はinfo@filmpres.orgまでお願いいたします。 ■このメルマガは「まぐまぐ」「melma!」を利用し配信しています。 登録/解除は http://www.filmpres.org/info/ml.html から お願いいたします。 ■原則として無断転載を禁じますが、内容を一切改変せず全文転載する 場合は上記メールアドレスまでご連絡ください。 Copyright (C) Film Preservation Society All right reserved. └─────────────────────────────────┘


