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映画フィルムを映像文化財として考える「映画保存協会」のメールマガジンです。当会の活動や催し情報などについてお伝えしていきます。映画は時代を映す貴重な文化財!観る/作る以外の映画の楽しみ方にご興味がある方はぜひ!

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2007/10/31

映画保存協会『メルマガFPS』Vol.29

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│映│画│保│存│協│会│Film Preservation Society (FPS)│
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映画保存協会メールマガジン『メルマガFPS』 Vol.29
                        (2007.10.31)   
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□■─────────────【I N D E X】───────────■□

§1.【募集】古い蔵を再生しませんか?

§2.【映画の里親】第5回作品を発表!!

§3.【連載】ちいさなちいさな「オモチャのフィルム」(最終回)

§4.【山形国際ドキュメンタリー映画祭】小型映画と“地域”への期待

§5.【研究】パテベビーフィルムの上映について

§6.【コラム】UCLAで映画保存を学ぶ!第12回

§7.【映画の里親】第3回作品のシンポジウムを報告します

§8.FPSからのお知らせ

§9.編集後記

■□──────────────────────────────□■

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§1.【募集】古い蔵を再生しませんか?
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小会の上映イベントなどで利用させていただいている築100年の「協和会
の蔵」。
このたび、古民家再生の大工さんをお迎えして、蔵の前室の修繕として「再
生ワークショップ」を行います。経験不問です!
11日はあと数名の募集となりましたが、10日はまだ人数が足りません。

修繕では床下の補強やドアのリフォームなどを行います。
古い建物に直接触れられるまたとないチャンス。ぜひご協力をお願いします!

日 時:11月10日(土)、11日(日)10:00〜15:00を予定
参加費:無料 ※昼食代500円/日を徴収します
お問い合わせ:info@filmpres.org
お申し込み:
FAXで受け付けています。下記URLから申込書をダウンロードできます。

http://www.homemovieday.jp/kura_daiku.pdf

ご記入いただき、小会までお送りください。

※鉋(かんな)やのこぎり、キリなどもご持参いただけると大変助かります。
 もしお持ちの方はぜひご持参ください。よろしくお願いいたします。

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§2.【映画の里親】第5回作品を発表!!
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市民の力で映画を復元する「映画の里親」プロジェクトは、皆さまのご協力
を得てすでに4作品をスクリーンによみがえらせることができました。

このたび、小会は第5回作品を発表しました!
【第5回作品】は林長二郎こと大スター長谷川一夫の貴重な歌舞伎映画!

『黒手組助六』[マーヴェルグラフ版]1929年/松竹キネマ下加茂撮影所/
白黒/無声/16分(16fps)
監督:冬島泰三、吉野英治 
出演:林長二郎、若水絹子

現在、この作品を復元してくださる里親を探しています。
ご関心のある方はぜひ、小会までご連絡ください。お待ちしております!
http://www.filmpres.org/archives/183

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§3.【連載】ちいさなちいさな「オモチャのフィルム」(最終回)
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小会が推進する国際的なイベント「ホームムービーの日」をきっかけに、毎
年必ずといっていいほど戦前の16ミリとの出会いがあります。
2004年は東京会場で『京都商工会の旅行』が上映され、2005年は谷
根千工房さんにご紹介いただいた『欧州旅行』に驚きの声があがり、200
6年は名古屋会場経由で届いた2本の調色16ミリを検査しました。

頼光さんのフィルム、残りの2ロールの内1本もやはり大正時代の結婚式を
記録した16ミリのホームムービーでした。

さっそく、初期調査のためフィルムを巻き取りにかけてフレームに目を凝ら
すと、野次馬整理をしている男性の法被に貴重な情報源を発見!
屋号らしきその三文字をメモして、ネット検索してみると……すぐに明治時
代に創業された、とある繊維関係の企業に行き当たりました。本社は関西の
ようです。そこで、関西在住のどなたかに尋ねれば何かわかるのではないか
?と考え、ふと思い当たったのが大阪のNPO remoさんでした。

remoさんとも、やはり「ホームムービーの日」を通して出会いました。
大阪浪速区のフェスティバルゲート内にある事務所が移転を余儀なくされ、
お忙しいとは聞いていたものの、調査・上映・記憶つむぎをremoさんにお任
せできないものかと淡い期待を抱きつつ、連絡を取ってみることにしました。

すると、この会社の創業者一族に縁のある方と、remoさんのスタッフの方が
知り合いであることがすぐに判明しました。
あまりにスムーズに事が進んで怖いほとでしたが、この作品についてはremo
さんが調査を進めてくださっています。

前述の『京都商工会の旅行』も繊維業界に関係するものでしたから、この2
本の戦前16ミリが縁あってどこかでつながっていくかもしれない、という
意見も小
会の会員から出ています。なるほど……そう考えるとわくわくします。
この調査結果はまたの機会にご報告したいと思います。

忘れることなかれ、なにしろ頼光さんのフィルムはもう1本残されているの
です。

最後の1本。それは何かといいますと、9.5ミリのフィルムです。
フランスのパテ社が販売し、戦前の日本でも伴野商店が販売して、裕福層の
趣味人に広まった黒いボビンのパテベビー。
それ自体は決して珍しいものではなく、小会の活動の中でもたびたび目にす
る形状のフィルムですが、今度の中身は何かと思ったら……。

これが曲者でした。
なんと、失われた日本の旧劇、トリック撮影のちゃんばら場面が飛び出した
のです。

そうです。この最後フィルムこそが、10月30日に「第一回ソウル・チュ
ンムロ国際映画祭」でお披露目上映された『霧隠才蔵[パテベビー版]』の
オリジナルにほかなりません。
この作品の復元にまつわるすったもんだと、映画祭当日の模様については、
お世
話になった多くの方々への感謝の気持ちを込めて、改めてご報告したいと思
います。
なお、『雲隠才蔵』の上映会&報告会が来月行われます(詳細は§8.FP
Sからのお知らせをご覧ください)

5月某日にお預かりしたフィルム10本を、それぞれふさわしい道に送り出
したつもりではいるのですが、潤沢な資金や、多彩な人脈、豊かな経験があ
れば、もっとうまい方法もあったと思います。
しかし、この10作品は本当に多くのことを我々に教えてくれ、かつ映画保
存の重要性を広く訴えるために一役も二役も買ってくれました。

皆さんだったらこの10本のフィルム、どのように調査、復元、保存された
でしょうか?(K)

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『霧隠才蔵[パテベビー版]』は制作年不明/無声/白黒/3分(16fps)

この作品の里親は「ソウル・チュンムロ国際映画祭(CHIFFS)」です。

プレスリリースはこちらです。
http://www.filmpres.org/japanese/wp-content/uploads/2007/10/adopt04press_01.pdf

同作品のDVDは小会事務所で貸し出します(有料)。ご利用の際は小会まで
ご連絡ください。(K)

≪NPO法人 記録と表現とメディアのための組織 remo≫
http://www.remo.or.jp/

≪若き活弁士、坂本頼光さんのブログはこちら!≫
坂本頼光 活弁士の分家
http://blogs.yahoo.co.jp/qfdsj940

≪ソウル・チュンムロ国際映画祭≫
http://www.chiffs.kr/
※日本語はこちら!
http://kankoku.com/chungmuro/index.html/

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§4.【山形国際ドキュメンタリー映画祭】小型映画と“地域”への期待
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2年に1回開催される山形国際ドキュメンタリー映画祭。
第10回という記念の年を迎えた映画祭に10月6日から8日に参加してき
ました。
3連休ということもあって、座席指定が必要な会場では満員が出てしまうほ
どの大盛況でした。会場では小会の会員をはじめ、たくさんの知り合いに出
会い、ご挨拶したりと、何だか東京にいるような気持ちになりました。

今回、最も楽しみにしていたのは、先月のメルマガでも紹介された「やまが
たと映画」という特集です。
この特集は今年3月、戦前からの小型映画作家で、特に山岳作品で有名な塚
本閤治さんについて、山形在住の作家の方が山形新聞に記事を掲載されたこ
とから始まりました。
蔵王山の登山とスキーを楽しむ様子を描いた『Mt.Zao』は1935年の制作
で、海外のコンクールで受賞し、蔵王山の素晴らしさを世界に初めて知らし
めた作品です。

スキーのシーンはとても爽快で、樹氷の形とあいまって幻想的でもありまし
た。
このフィルムをはじめ、塚本さんが生前に制作された約320本の作品は、
その死後、行方が分からなくなっていたそうですが、今回スタッフの方の調
査でその一部がNHKアーカイブスに所蔵されていることがわかり、ビデオ
素材で上映されました。

これらの山岳映画は、いったいどうやってこの山の中までカメラを持ち込ん
だのか、いくつのカメラで撮影したのか、見ていて不思議になりました。
切り立つ崖や危険なつり橋を渡る様子を見事に捉えていて素晴らしかったで
す。
このほかにも、戦前の東京などを撮影した帝都編というプログラムもあり、
その中にはパテニュースというものも含まれていました。

翌日は「戦前のやまがた」を観るというプログラムです。山形にお住まいの
個人の方からお預かりしたフィルムの上映と、山形県で生まれた軍人、石原
莞爾が生前に満州で撮影した9.5ミリフィルムが上映されました。
こちらは事前に新聞に大きく掲載されたようで会場は超満員でした。
唯一、16ミリで上映された『お祖父様の朝』は、外地にいる家族のために
撮影したものだそうです。
字幕の入ったきっちりした作品ですが、家族の日常や素顔が印象的でした。

また、上山市の長谷川さんという方が撮影されたフィルムは9.5ミリや8
ミリのテレシネ版で上映されました。
素材の違いを考えながらホームムービーの日のように楽しみました。こうし
て満員のお客様を見ると、地域のフィルムの力というのを改めて感じます。

今回の企画を機に、スタッフの方々は「フィルム発掘プロジェクト」を宣言
され、今後はフィルムをお持ちの地元の方に呼びかけを続けていくとのこと。
今後の展開が楽しみです。

山形国際ドキュメンタリー映画祭のプログラム等は、小会の映画保存資料室
にありますので、ぜひご覧ください。(N)

≪山形国際ドキュメンタリー映画祭オフィシャルサイト≫
http://www.yidff.jp/home.html

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§5.【研究】パテベビーフィルムの上映について
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小会ではフィルムによる上映会を定期的に開催していますが、比較的見る機
会の多い8ミリや16ミリだけでなく、不定期ながら9.5ミリ幅のパテベ
ビーフィルムの上映も行っています。

「パテベビー(Pathe-baby)」とは1922年にフランスで登場したフォー
マットで、アマチュア向けとして戦前にはホームムービーの撮影に用いられ
ました。
面白い点は購入用のプリントが数多く流通したことで、科学映画やニュース
リールのほか、劇映画を抜粋した短縮版があり、小会の「映画の里親」プロ
ジェクトのように、これらプリントから失われた映画が復元されることもあ
ります。

パテベビーフィルムには大きく2種類のものがあり、リール巻きのものと、
ボビンと呼ばれるブリキ製の缶に巻かれた短編フィルムがあります。
後にほとんどのパテベビーフィルムは8ミリと同様、リール巻きで映写され
るようになったため、1分から3分程度のこれらの短編は、パテベビー発売
当初の比較的早い時期のものに限られます。
また、映写機も後年のものはリール巻きのみに対応するようになったため、
映写には同時代の映写機を使う必要があります。

小会での上映に使用しているものは、このボビン巻きの短編の上映ができる
手回し式の家庭用映写機で、1922年頃市販されたものと思われます。
鋳物製のこの映写機は、映写・巻き戻しともに手回し(ハンドクランク)で、
長尺の作品を掛けることができない欠点はあるものの、高度成長期に量産さ
れた現在の8ミリ映写機とは異なる魅力を持っています。

80年以上前の映写機であるため、劣化していた伝導ベルトや巻き上げ部品
の破損を修繕し、ほぼ完動するかたちにしたうえ、電源と電球部分を新しく
しました。
家庭用の映写機という理由から、電圧が低い電球を光源にしており、安全で
はあるものの、暗いという欠点があり、これを解決するために、光源を換装
しています。しかし、映写機が小さいこと、古いフィルムをかけるなどの理
由から、8ミリや16ミリ映写機に使われるようなハロゲン電球では過熱し
やすく、光源として適しません。

好都合ながら、ここ数年でLED(電光掲示板に使われる発光ダイオート)
の高輝度化が進み、従来、映写機のような光学機器には向かなかった色味も
改善されました。
そこで、発熱が少なく高輝度の白色LEDを秋葉原で探して入手し、なるべ
く映写機を本来の姿にとどめるため、大掛かりな改造は避け、従来の電球が
あったランプハウス内に市販のソケットを改造して取り付けてました。
LEDの発光には定格の電圧・電流が必要であるので、映写時には専用の電
源を使用しています。

現在、小会にはこの手回し映写機以外にも、長尺リールをかけられるモータ
ー式ののパテベビー映写機も使用できる状態になっています。
今後、これらの映写機による上映会も企画予定です。

パテベビーフィルムによる上映をを実際に見てみたい、という方には、11
月と12月に川崎市民ミュージアムで実演を予定しています。
現在開催中の「映像表現の現在形2007 映像の創出−イメージと装
置」展の一環として行われます。詳しい日程に関してはホームページほかで
ご確認ください。

□■映像表現の現在形2007 「映像の創出−イメージと装置」□■
会期:2007年10月6日(土)〜12月24日(月・祝)
会場:川崎市市民ミュージアム アートギャラリー 第1、第2展示室
入場無料
URL:http://www.kawasaki-museum.jp

パテベビーの実演は11月18日(日)午後2時と、12月23日(日)午
後2時より各1回、アートギャラリー内にて。
各日とも20名程度を予定しています(予約不要)。

なお、FPSでは9.5ミリのような古いフィルムの調査や上映のために、
8ミリ・16ミリなどの機材の寄贈を受け付けています。
特に16ミリ映写機を現在探しています。古いもの、動かないものであって
も、活用できることがありますので、お心あたりのある方は小会までご一報
ください。

◇飯田 定信(イイダ サダノブ)
FPS・小型映画部メンバー。FPSでは8ミリ、16ミリの上映会にかか
わることが多いのですが、本来の専門はVFXやアニメーションの撮影です。
CM・映画制作プロダクションの撮影部を経て、現在は8ミリフィルム関連
の会社に在籍、テレシネ・ダビング等を担当。
小型映画の歴史をまとめるべく『小型映画技術史』を執筆中。

≪小型映画技術史≫ http://i2da.hp.infoseek.co.jp

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§6.【コラム】UCLAで映画保存を学ぶ!第12回
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映像アーキヴィスト協会(AMIA)は毎年秋に北米の都市で会議を開きま
す。
2007年のAMIA会議開催地はコダックの城下町、そしてLジェフリー
・セルズニック映画保存学校のあるジョージ・イーストマン・ハウス(GE
H)の所在地としても知られるニューヨーク州ロチェスターでした。

私は会議が始まる数日前、列車でニューヨーク市から7時間かけてロチェス
ターに到着しました。
ハドソン川に沿って上流へ向かうこの汽車の旅は最高で、景色の美しさに何
度も時間が経つのを忘れました。
まだ10月前でしたが、木々はすでに色づき、窓外は既に秋の様相を呈して
いました。

会議が開催されるまでの数日間はJTSで知り合ったGEHのスタッフや、
学生たちと交流しつつ気持ちよく過ごしました。
GEH見学の際にはビデオ撮影をすることができました(この映像はいずれ
FPS映画保存資料室にて閲覧していただけるようになります)。

GEH周辺はノーマン・ロックウェルの絵から抜け出したような、古きよき
アメリカの美しく牧歌的な光景ですが、ダウンタウンはすでにその機能を半
ば失っています。
広大な工場群が連なるコダックパークではありますが、建物の中に入るとす
べてが80年代でストップしてしまったような印象を受けました。
日本でも報道されている通り、コダックは工場の縮小を繰り返しています。
この8月にも工場の一部が爆破解体され、残骸が撤収された後には広大な空
き地が広がっていました。
バスやタクシーの運転手にはコダックを解雇されたという人が何人もいまし
た。

会議の参加者は去年より増え、AMIAが確実に成長している事実は確認で
きましたが、会場が三カ所(ホテル、GEH、コダックパーク)に分散して
いているにもかかわらず、スケジュール設定が曖昧で、参加者は大いに混乱
させられました。
DVDやフィルムがかからないというハプニングも多くのプレゼンテーショ
ンで起こりました。

映画修復の実例紹介が行われる《Reel Thing》は会議のハイライトの一つで
すが、機器の不具合はここでは特に目立ちました。
たまたま他の用事で、朝、ホテルのロビーに下りたところ、臨時で開催され
たIPI(イメージ・パーマネンス・インスティチュート)の見学会に思い
がけず参加することができました。
しかし皮肉なことに、今年IPIから奨学金を受賞した同級生は見学会の開
催を知らず、参加できませんでした。
こうしたことからわかるように、マネージメントに関しては色々と課題の残
る年になりました。

デジタル化に関する討議は去年にもまして積極的に行われ、IT関係者と伝
統的フィルム・アーキビスト双方がお互いの特性を理解できていない現状が
あぶりだされたような形になりました。
フォーマットはどうであれ内容が保存されれば良いというIT技術者に対し、
フィルム推進派は保存すべきフィルムの量の多さ、デジタル化に要するコス
ト、またデジタルと言う新しい媒体の不確実なクオリティなどを根拠に、夢
のデジタル・アーカイブ構築の非現実性を指摘しました。

一方、デジタル推進派からはデジタル・アーカイブの方が経済的であるとい
うモデルケースが何度か示されました。JTSでも示された通り、JPEG
2000というファイルがデジタル保存の世界的標準になると確実視されて
います。推進派の中心人物、ジム・リンダーの「Samma Systems」のサイトか
らは、この分野の最新情報が得られます。

ロチェスターの空気に確実に反映されているフィルム産業衰退の流れは、デ
ジタルがアナログを確実に凌駕しつつあるという現実を物語っています。
フィルム・アーキビストは、フィルムの供給が途絶えてしまった時に、コレ
クションを守るための対策を本気で考えなければいけない時期に来ています。

事実、ニューヨーク近代美術館(MoMA)のコレクションの大部分を扱うラボ、
「シネマ・アーツ」の代表者によると、白黒フィルムの供給は現在、深刻な
問題になっているそうです。
品質が悪くて使い物にならない製品を避け、旧東独メーカーに頼っているの
が現状だとか。
白黒作品のポジ作成は多くの場合カラー・ストックを使用しているようです
が、高品質の白黒用製品を作る技術がありながら、需要の低迷により、その
技術そのものが廃れてしまうという現実は悲しい限りです。
(つづく)

◇宮野 起(ミヤノ オキ)
日本大学芸術学部映画科卒業、2000年渡米。LAでアメリカンシネマテー
クなどの日本映画上映会にスタッフとして参加する傍ら日本特撮映画の海外
での再評価に尽力する。現在、UCLAのMoving Image Archive Studies Pro-
gram(MIAS)に在籍。

◇宮野さんにいただいたハンドアウトなどは映画保存資料室にファイルして
いく予定です。興味をお持ちの方はぜひお問合せください。

◇MOVING IMAGE ARCHIVE STUDIES, UCLA
http://www.mias.ucla.edu/

≪参考リンク≫
IPI
http://www.imagepermanenceinstitute.org/
Samma Systems
http://www.sammasystems.com/

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§7.【映画の里親】第3回作品のシンポジウムを報告します
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10月1日に京都で、第三回映画の里親作品『学生三代記[マキノ・グラフ
版]』についてのシンポジウムが行われました。

第1部は立命館大学の冨田さんから、復元について報告がありました。

(1)オリジナル(16ミリ)からのテレシネ版
(2)デジタル復元終了後の素材のデジタル映写
(3)復元版35ミリフィルムによる24コマ/秒の映写
(4)復元版35ミリフィルムによる16コマ映写/秒映写(2枚シャッタ
ー)
(5)復元版35ミリフィルムによる16コマ映写/秒映写(3枚シャッタ
ー)

という5タイプに映写が続けて行われました。
実は今年5月、東京にあるフィルムセンターで、初めて16コマ/秒映写の
フィルムで見ることになった試写の際、フリッカー(ちらつき)がかなり強
く出たという経験があります。その影響が今回の報告には強く表れていまし
た。

続く第2部は、フィルムセンターの板倉さん(アーカイヴ)、松竹で『砂の
器』や『二十四の瞳』の復元を担当された五十嵐さん(映画会社)、イマジ
カの越智さん(現像所)の3名それぞれの視点から、デジタル復元について
発表があり、最後に4人が登壇し、ディスカッションが行われました。

今回のテーマは「真正性」です。「真正性」とは、映画を復元する際、どこ
に正しい基準点を置くかという問題でした。それを映写の時点で考えた場合
に、今回のような5タイプの映写が行われたのだと思います。
フィルムセンターの板倉さんの発表の中で、アーカイヴの映写は3枚シャッ
ターがよいという研究報告あることが紹介されました。これを聞いて、映写
速度に加えて、ランプやシャッターの問題など、考えなくてはいけないこと
は多いのだと実感しました。また、デジタル以前の復元技術に関しても、考
えなくてはいけない課題が多く残ると感じたシンポジウムでした。(N)

シンポジウムに関してはこちらをご覧ください。
http://www.arc.ritsumei.ac.jp/events/071001/71001-3.pdf

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§8.FPSからのお知らせ
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□■「D坂シネマ」無事終了□■

谷根千工房さんと共催した「D坂シネマ」には、たくさんのお客さまがお越
しくださいました。
「協和会の蔵」にはじめてというた方からは、場所(とくに入口)がわかり
にくいとのご指摘を数多くいただきました。
小会では看板制作やわかりやすい地図の制作をこの春から目指しているもの
の、人員不足・資金不足のため、未だ実現に至っておりません。
ご迷惑をおかけしておりますが、何卒ご了承ください。

≪けんこう蔵部≫
http://www.homemovieday.jp/kura

ところで、D坂シネマ会期中に約14000円の蔵再生カンパが集まりまし
た。
皆さまのご協力に心より感謝いたします。
けんこう蔵部では、このカンパ金で蔵の中に書棚を増設中です(11月中旬
に完成の予定)。今後ともよろしくお願いします。


□■ゲストレクチャー「映写のお仕事」開催迫る!□■

FPSゲストレクチャーvol.5を11月17日(土)に開催します。
今回は「映写の仕事[映写室編]」と題して、東映で長年、映写に携わって
こられた横山真一氏をお迎えします。

映画を見ながらふと「映画ってどうやって映るのかな?」と、または映写室
の中ってどんなだろう…と思ったことありませんか?
今回はそんな素朴な疑問をひも解くチャンス!
ぜひお気軽にご参加ください

と き:11月17日(土)18時〜20時(17時30分開場)
ところ:協和会の蔵(FPS事務所隣)
〒113−0022 東京都文京区千駄木5−17−3
(東京メトロ千代田線「千駄木駅」下車、徒歩5分)
参加費:一般1200円、FPS会員800円

参加ご希望の方はinfo@filmpres.orgまでメールにてお申し込みください。

□■イベントを11月25日(日)に実施□■

【その1】11月の「ちいさな上映会」

「映画の里親」第4回作品『霧隠才蔵[パテベビー版]』&大阪芸大玩具映
画プロジェクトのDVDを上映します。

と き:11月25日(日)午後6時から
ところ:協和会の蔵
参加費:一般500円/FPS会員は無料
※予約は不要です

【その2】報告会

また、同日午後5時より『霧隠才蔵[パテベビー版]』についての復元報告
会を行います。こちらは入場無料ですが、事前にご予約ください。
ご予約先→ info@filmpres.org

【その3】8ミリ映写機練習会

と き:11月25日(日)午後3時より1時間を予定
参加費:500円(FPS会員は無料)
お申し込み先:メールにてご予約ください→ info@filmpres.org

【その4】資料室も開いてます

[映画保存資料室]
OPEN:11月25日(日)午前11時から午後5時30分(受付は5時
まで)
利用料:500円(セルフサービスによるお飲み物を用意しています)

□■寄付・寄贈のお願い□■

§5の「パテベビーフィルムの上映について」でも触れましたが、現在、小
会では来年の映写機講習会で使う16ミリ映写機を探しています。
動作状態などがわからなくても、小会担当者で判断可能です。
もし、寄付・寄贈OK!という方がいらっしゃいましたら、ぜひ小会までご
連絡ください。

皆さまのご協力を何卒よろしくお願いいたします。

※8ミリ/9.5ミリの映写機も探しています!特に16ミリ映写機は急募
です!

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§9.編集後記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「世界視聴覚遺産の日」というものを皆さんご存知でしょうか。
1980年10月27日に採択された「動的映像の保護及び保存に関するユ
ネスコ勧告」を記念して制定されました。
日本では知られていない記念日ですが、人類が残した貴重な財産として、遺
跡や町並みと同様、映像にも世界遺産はある!というわけです。

この記念日を普及するため、ユネスコがPR映像を制作しました。
このPR映像になんと、小会のプロジェクト「映画の里親」で復元した2作
品が参加しています。
小さな試みだった「映画の里親」が世界的に羽ばたいていくのを見て、なん
とも感無量の思いでした。

2作品は「SEAPAVAA」(東南アジア太平洋地域視聴覚アーカイヴ連合)経由
でPR作品の一部に採用されました。
映画保存に興味を持つと、まず驚かされるのが海外で同じ志を持つ人たちの
「行動の素早さ」です。
映画保存の世界に限らないかもしれませんが、外国の方はとにかくアクショ
ンを起こすのが早い。
宮野さんの連載にも時々登場するAMIAのメーリングリストでは、誰かが
一つの疑問を寄せると、すぐさま世界中のアーカイヴ関係者や研究者からレ
スポンスが届きます(その分、熱い議論も多々ありますが)。
「やるぞー」から「やったぞー」の間が、我々に比べれば数倍も短いのです。

小会も少ないメンバーで、イベントやプロジェクトを行っています。が、彼
らの活動に比べればまだまだ…。
うーん。彼らの行動力はすごい。改めて考えさせられたPR映像でした。(
A)

≪PR映像はこちら≫ World Day AV Heritage Trailer
http://www.ccaaa.org/wdavh/?c=trailer

┌─────────────────────────────────┐
 -------------------------------------------------------------------
  映画保存協会(FPS)
  発行元 :映画保存協会 Film Preservation Society 
  編集担当:天野園子
  Web    : http://www.filmpres.org/
  e-mail : info@filmpres.org
 -------------------------------------------------------------------
 ■ご意見・ご感想はinfo@filmpres.orgまでお願いいたします。

 ■このメルマガは「まぐまぐ」「melma!」を利用し配信しています。
  登録/解除は http://www.filmpres.org/info/ml.html から
  お願いいたします。

 ■原則として無断転載を禁じますが、内容を一切改変せず全文転載する
  場合は上記メールアドレスまでご連絡ください。
  Copyright (C) Film Preservation Society All right reserved. 

└─────────────────────────────────┘

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