2009/06/24
メールマガジン★授業成立プロジェクト★第190号
□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ メールマガジン「授業成立プロジェクト(JSP)」 第190号 2009年6月24日発行 (毎週水曜日発行) HP http://www.jugyo.jp/js-pro/ □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ ★目次★ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 1 連載「”授業成立”で眠れないあなたのための読書ノート」 第2回 向山洋一『授業の腕をあげる法則』 大西忠治『授業つくり上達法』 北海道・上士幌町立上士幌中学校 石川 晋 http://homepage1.nifty.com/maru-shin ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 今回、石川晋さんが紹介してくださっている2冊。もちろん私も持って います。そして、くり返しくり返し何度も何度も読み直した本のはずです。 それなのに、私は恥ずかしながら、マニュアル本としてしか読めていま せんでした。私の明日の授業や学級経営に即生かそうという読み方です。 しかし、晋さんの読み方は違います。本文を読んでいただければ、おっ! と思われる読者の方も多いはずです。 「掌握」「観察」をキーワードに、私ももう1度読み直してみます。「本 を読んで考えることは大だ」そんな当たり前のことを再確認しました。 (中村 健一) ------------------------------------------------------------------ 1 連載「”授業成立”で眠れないあなたのための読書ノート」 第2回 向山洋一『授業の腕をあげる法則』 大西忠治『授業つくり上達法』 北海道・上士幌町立上士幌中学校 石川 晋 http://homepage1.nifty.com/maru-shin ------------------------------------------------------------------ 教育技術の法則化運動(現在は、TOSSに発展的に継承されている) の提唱者向山洋一さんには、教育史に残る二つの本があると思う。一つは 『教師修行十年』(原題は『斎藤喜博を追って』)。そしてもう一つは 『授業の腕をあげる法則』である。共に明治図書から刊行されている。自 身は東京都内の公立小学校の教諭として長く教壇に立ち続けた方である。 現在はTOSSの活動に専心されている。 この二冊は、その文体の違いが顕著である。前者は、向山さんが「発問 ・指示四角囲み」といういわゆる法則化文体を確立する以前の、記録文体 で執筆されている。それに対して後者は、法則化文体を駆使して書かれた ものである。 このうち、授業成立ということで言えば、一般的には、後者が必読とい うことになるだろう。私などが丁寧に説明する必要もない。「一時一事の 原則」「趣意説明の原則」など、あの有名な10の原則がまとめられた一 冊であり、今も多くのベテラン教師が、若手実践者に勧める本として真っ 先にその名を上げるものだ。言わずと知れた、授業運営を考える上で、既 に古典的とも言える名著である。 実は、この本ほど話題に上ることはないが、ほぼ同時期に書かれたもう 一冊の名著がある。それが、大西忠治さんの『授業つくり上達法』。民衆 社からの刊行である。大西さんは、全国生活指導研究協議会(全生研)の 理論的支柱を成した人物である。北海道の公立中学校教諭としての仕事を 振り出しに、香川、茨城の中高教諭を経て、都留文科大学の教授として活 躍された。こちらの本にも、授業を運営するための様々な技術がまとめら れている。 全部で29の項目があげられており、教師が黒板の前に立つ時の立ち方 の基本形を示した「四分六の構え」などは有名である。29の項目は、四 つの大項目にまとめられている。すなわち、「見る・動く」「しゃべる」 「書く・つくる」「きめる・評価する」の四つである。 さて、授業を成立させる要件は、無論向山さんがあげる10だけではな い。大西さんの指摘する29でおさまるものでもない。 ただ、この二つの本の項目を比較していくと、項目に大変似通ったもの が多いことに気づく。実は上記二つのグループは、80年代後半から90年 代にかけて教育観から方法論にいたるまで、しばしば激しく対立した。し かし、この二人のすぐれた実践家の指摘に共通点は多いのだ。 無論、10本に項目を絞った向山さんの提案の精選の度合いは高い。し かし、大西さんの提案には、本数が多い分だけ、より雑多だが、実践的な 項目が多いと感じる。いずれの本も、特に若手の教師には必読だ。私は両 方を丁寧に読み比べることをお勧めしたい。 さて、私も新卒の時期から、この二つの本をくり返し読んできた。私の 授業成立の歴史の中で欠くことのできない本である。ただ、今読み直して みて、改めて考えてみたいこともたくさんある。 私見を述べれば、向山さんの提案のベースにある発想は「掌握」、大西 さんの提案のベースは「観察」であると思う。大西さんが最初の大見出し に「見る・動く」を持ってきていることは、象徴的だ。 実は中学校教育は校内暴力を経て、限りなく「掌握」に傾いた。また、 小学校教育は、一人一人を肯定的に見て個人の可能性を大切にする「観察」 ベースで動いた。小学校教諭であった向山さんが「掌握」を、中学校・高 校の実践者であった大西さんが「観察」を、志向したことは、そうした一 般的な傾向と真逆であり、それがゆえに大変示唆に富んでいる、と思う。 おそらく、向山さんも大西さんもご自分の置かれた環境の、いわば揺り 戻しの必要を痛感されていたのだろう。 * * * ところで、私はたった一度だけ、向山さんの「論文審査」を受けたこと がある。 当日「授業づくりネットワーク」の「たのしい実践」スタイルの論文を 持っていった私は、論文を読み上げてほどなく、生徒の反応が具体的に書 かれている記述の部分で止められた(ご存知の方も多いと思うが、法則化 論文審査は、論文を最初から読み上げるスタイルで進められる)。その日 は、弟子の方が審査をすることになっていたが、弟子の方の話を遮って、 向山さんが話をされた。向山さんは、私の論文について、「私もかつて同 じように、児童の反応を描写して記録していた。法則化をスタートするに あたって、その文体を捨てて、発問指示に焦点化したのです」という主旨 のことを語られた。法則化運動スタート時の思考の流れを直接お伺いする ことができて、うれしかった。 向山さんは、「教育技術」に焦点化して、法則化運動を築いていったわ けである。その過程で『教師修業十年』のあの濃密な文体を横に置いたの だ。そのことがよくわかった。もう10年ほど前のことである。 残念ながら大西さんにお会いすることはかなわなかった。 ----------------------------------------------------------------- 【編集後記】 ------------------------------------------------------------------ 「授業成立プロジェクト」のHPにもお越しください。 http://www.jugyo.jp/js-pro/ 次号は7月1日発行の予定です。お楽しみに。 ================================================================== メールマガジン「授業成立プロジェクト」 第190号(読者数1370) 2009年6月24日発行 授業成立プロジェクトリーダー 上條晴夫 haruo.kamijo@nifty.ne.jp 【本プロジェクトに関心を持った方は、ぜひメールを下さい】 編集責任者 中村健一(山口) kenek728@yahoo.co.jp 副編集長 土作 彰(奈良) tuttyan@kcn.jp 石川 晋(北海道) zvn06113@nifty.com 編集メンバー 平山 雅一(北海道) m-hira@f3.dion.ne.jp 中嶋 卓朗(宮城) nakaj@cd6.so-net.ne.jp 中條 佳記(奈良) qqvz2hg9k@lagoon.ocn.ne.jp 田中 博司(東京) o-tnk@mti.biglobe.ne.jp 青山 新吾(岡山) mxf02541@nifty.com 桑原 健介(福岡)kensuke1106@jcom.home.ne.jp メルマガ発行サポーター 佐藤 正寿(岩手) msts5sato@nifty.com 【ご意見・ご感想をお待ちしています。→中村健一 kenek728@yahoo.co.jp 校内研でワークショップをしたい等の問い合わせもお待ちしています。】 登録・解除 http://www.mag2.com/m/0000158144.html ==================================================================


